お一人様には慣れています。
朝食を終え、マリさんと共に部屋を後にする。
アレックスは体が治ると、そそくさと出て行ってしまった。
エントランスでマリさんとも離れ、ホテルの施設を見て回ることにした。
大型の高級ホテルはそれだけで街のような様相を呈している。
しっかりと位置を把握しておかないと、迷子になりかねない。
フロントでマップでも貰おうかと思い、ホテルマンに話しかけると奥から支配人が慌ただしく出てきた。
知った顔なので、会釈をすると深々と礼を返されてしまった。
「この施設のマップでございますか? どうぞ、こちらです。……つかぬことをお伺いしますが、何か必要なものがございましたか?」
「いえ、至れり尽くせりで快適ですよ」
「ありがとうございます。ちなみにVIPエリアはカードキーでゲートが開きますので、ご注意ください」
VIPエリア? ほほう、普通の宿泊客では入れないエリアがあるのか。
って、私が泊まったフロアもそうだった。
エントランスまで直通エレベーターで、ボタンなんてものが無かったではないか。
知らず知らず、VIP待遇を味わっていたことに気付くと、どんなものがあるのか俄然興味が沸いてきた。
フロント横のラウンジで、コーヒーを飲みながらマップを広げ、作戦会議を始める。
添えられていた焼き菓子を煙草のように加えながら、まずは手持ちのペンで現在地を書き込む。
さて、ここから手近なところはどこだろうか? VIP施設を備えたものには、紫色の丸で印があった。
やっぱり多いのは高層階だ。
ジム施設が近いといえば近いが、そんな態勢で出てきていない。
うーん、一度高層階に戻るか? あの直通高速エレベーターなら直ぐだろうし。
まぁ、上がったところで、専用の飲食店とラウンジスペースがあるくらいで、朝食後には相応しくない。
やはり街に出た方がいいだろうか?
「あれ? なんでしょうね、これ」
今居るフロアに入っているお店には、お店の枠の中に更に枠が有り、紫の丸が記されている。
もしや、これもVIPな体験が出来てしまうのか?
見たところ、食品店のような冷やかしやすいにも備えられている。
近くてハードルも低いとなれば、これは行くしかない!
まずは、リカーショップと書かれているところへ行こう!
手頃なものがあればお土産がてら買ってもいいし、高級ホテルのものならば変なものではないだろう。
手早くウェイターにチェックを告げ、広げていたパンフレットをしまい込む。
制限時間はおよそ二時間。
探索を始めていこう。




