アレックスの去就
「そんなもの、聞くまでもないじゃないか。事実上魔界には居られなくなったんだ、受けるしかないだろう」
「あら、良かったわ」
しんどそうに体を起こしながら、アレックスは答える。
よし、返答は済んだな。話は終わり。朝食に集中しよう。
そもそも、マリさんの依頼を断るなんて勿体ないこと、天地がひっくり返っても有り得ない。
しかも、御召し抱えだ。私なら刹那の間を置かず快諾しているだろう。
ん? マテ、オメシカカエ、ダト?
忘れていた! そういう話だったんだ!
つまり、アレックスが常にマリさんのお傍に居るってことじゃないか!
で、身の回りのこともするわけでしょ? は? アレックスが? マリさんとプライベートを? ふざけんなマジで。うらやま……違う、命を狙った分際で御召し抱えになる資格なんてない!
「私は反対です! ダメです! 危険です! 変態です! 不審者です! バーカバーカ!」
「レミちゃん、ちょーっと小学生みたいになってるかなー? ぶっちゃけ、アレックスくらい私のことが嫌いな人の方が都合が良いのよね。私のことに過干渉になっても困るし、私も使いやすいし」
「おや、ボクは少なからず興味は有るよ?」
「ふふ、好意に関してはコメントしないのね。とにかく、よろしくねアレックス」
「グスン……」
えー、決まりなんですかー。それよりも私っていう四六時中呼びつけても良い人材が居るんですけれどもー。
覆らなさそうなのでベソをかいたら、マリさんが頭を撫でてくれた。でへへへへ……。
「ただ、給与や福利厚生に関しては今と同程度のもの希望したいんだけど?」
「公安の諜報員でしょ? 色々なことを考えると、安くないと思うのだけれど?」
「まぁ、普通の公務員よりは貰っているだろうね」
「一応、公費での雇用になるから、あまり高収入っていうのも世間の目がねぇ……。それに見合った働きはしてもらうわ」
頬に手を当て、困ったような表情で演技臭い溜息混じりに言い放つ。
意外とマリさんはこういうところはキッチリしている。
「自分でいうのもなんだけど、優秀な方だよ、ボクは。個人的な感情を言わせてもらうと、盆暗な上司につくより、ミストラル嬢に仕えた方が面白そうだ」
「給与の話は皇国に着いてから詳しく決めるけれど、貴女の方から要望も考えておいてね」
「さっそく何ですが、一つ要望が……」
「あら、流石に速い思考ね。なにかしら?」
「体の治療をお願いしたいな。指一本動かすだけで全身が痛い」
「ダメよ、レミちゃんを危ない目に合わせた罰よ。半日は激痛と戦ってなさい」
やーいやーい、ざまぁみろー!
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