表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/127

教育機関訪問2

五人の資料をざっと見ていく。

その間、先輩は校長と談笑している。

つまりはある程度まで考えをまとめろ、何か違和感を覚えろ、ということだろう。

コンテストや大会の受賞歴を見るに。とても優秀な子どもたちだ。

流石に皇国立に通うだけのことはある。

そして気付く。


「ああ、これ、資料というより、報告書ですね。しかも監視しているみたいな」

「流石、気付いたみたいね」

「あとは、この件って基本的にはオフレコ案件ですか?」

「そういうこと。いいわよー、レミちゃん!」


これだけ魔術と機械の発展したこの世界において手書きとは……。

それだけデータに残したくない、ということだろう。

紙ならば簡単な初級魔法でも直ぐに燃やせる。


「そしたら、まずは何故、この子たちが怪しい、と?」

「この学校は全国でも選りすぐりのエリート候補生たちが通っているわね。その子たち以外も秀才揃い」

「そのようですね」

「その中で、試験においてとても優秀な成績を修めたのがこの子たちなの」

「ですが、それは毎年居る成績優秀者というわけではないのですか?」

「確かに、成績優秀者は毎年居るけども、この子たちは少し違うのよ」

「違う?」

「成績の配分が偏り過ぎているの」

「なるほど、そういうことですか」


転生して人生をやり直す人間は、元いた世界で学んだこと、出来たことの分、アドバンテージがある。

例えば、大魔導士が転生すれば、魔術に関してアドバンテージが。

天才科学者が転生すれば、科学にアドバンテージが。

反対に、自分たちが経験していないものに関しては、当然ハンデがある。


「つまり、飛びぬけて一つの科目に特化はしているものの、それ以外は良いとこ秀才どまり、ということですか」

「そういうこと。下手したら、平均を下回るっていうのも有り得るの」

「確かに、この『報告書』に、その記録が残っていますね」

「だから、この子たちをピックアップしたってわけ」

「確かに優秀ですから、転生者がいるなら、国の機関に入れてしまいたいですよねー」

「そうなのです。ミストラルさんからお話を頂いた時には、こちらの方からお願いしたいくらいでした」

「先輩から?」

「全国統一試験の結果を、毎年確認しているの。こんな風に転生者が見つかったりもするからね」

「真面目ですねぇ」

「いやはや、その熱意、素晴らしいですな」

「うーん、でも、この子たち、普通の子なら、まぁ大したもんですねぇ」


『報告書』の記録を再度見返すと、大人に混じった大会などでもいい結果を残している。


「そうなのです。私が校長になって以来の秀才、天才です。まだ10歳に満たない子たちではありますが、きっと国を背負って立つ人間となるでしょう」

「あ、8歳とか9歳とかなのか、基本的なこと見落としてました」

「レミちゃん、本当に基本的なところなのに……」


はぁ、とため息をつかれてしまった。

いや、何か謎かけみたいなことしてくるものだから、そんな基本的なところが答えとか思わないじゃないですか……。


「そういえば、レミちゃんは10歳前後の頃って、何していたのかしら?」

「んー、そうですねー10歳くらいか……こっちの大学に行ってた時期ですね」

「なんと! 大学ですか!?」

「そうなんです。私、こう見えても人間の血も入っていますのでー」

「レミちゃん、校長先生はそういうことに驚いているんじゃないわよ?」

「え?」

「いやはや、この時代によもや飛び級とは……恐れ入りました」

「そうそう。凄いことなのよ、レミちゃん」


科学と魔法の融合は、学ぶ量と求める才能の種類を増やし、飛び級という制度はあるにはあるものの、人間にはほぼ不可能に近いものとなった。


「ほら、人と魔族で時間の流れ方が違いますから、そんな大したことないですよ。私の種族は生まれた時から知性と知識がありますし、一年やそこらで成体にもなります。ですから、まっとうに9年間も勉強すれば、大学にも入れますってー」

「それでもなお素晴らしいことだと思いますぞ」

「褒められているのだから、素直に喜んでおきなさい、ね?」


少しむずがゆいが、嬉しくないわけでもない。

下手な謙遜をするくらいなら、受け入れてしまった方が、先輩も喜ぶのかもしれない。


「んじゃあ……わーい……」


こんなもんでいかがでしょう?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ