白昼ガールズトーク3
「ぶっちゃけアイツは性欲あるんか?」
「あるとは思いますよ?」
「既成事実作っちゃえば、お堅い係長のことだからちゃんと付き合ってくれると思うのよね」
昼間からこんな下世話な話をしているというのは、公僕としていかがなものと思うが、1度話に火が付けば止められない。
「ほら、今度、意見交換会だか報告会だかがあるじゃない?」
「先輩、法規遵守業務の講習会です」
「そうそう、それそれ。それの後で飲みにでも行っちゃう?」
「あ、それ良いですね。そうしましょう」
「せやけどアイツ来るんか?」
「押しに弱いから大丈夫! テキトーに飲ませて酔わせて持って帰っちゃいなさい!」
グッと親指を立てて、自信満々な表情をしているけど、上司なんですよねー。
「あーそろそろ話変えておかないと、犯罪くさい話になりそうなので、ご報告しますね。係長やっぱり相手はいません」
「ホンマか!」
「はい、結婚の相手は?と聞いたら、『今のところ、する相手が居ない。まぁ、夜勤が性に合うからな、する気も無いのだが。…………強がりではないぞ?』とのことでした」
「レミちゃん、係長のマネ上手いわね」
「ありがとうございます」
「〜〜〜〜〜〜〜っでかした!」
「わっ」
両手をガシッと捕まれ、ブンブン上下に振られる。
あの、ちょっと周りの目が恥ずかしいです。
「あとは、やるかやられるか……ね」
「あの、先輩、それ、死闘みたいですし、さっきからそっち方面に話が行き過ぎです」
「そっち方面に持っていきたいんですもの」
「やめてください」
「せやけど、飲み会でもないと他局、他部署とは繋がりづらいわなぁ……」
とくに私達の部署は、3交代制の現場主体。
局に一日居ない日もある。
「共通の趣味とかないの?」
「あー、係長の趣味ですか……」
「あ、寝ることと急ぐことね」
「何自己完結してんねん。ホンマに何かしらの繋がり持たんとアカンでしかし」
「まぁ、その講習会?までは直ぐだし、それまでになにか対策しましょう?」
「あぁ、もうこんな時間か。よろしゅうに」
3人とも立ち上がり、トレイを下げにいく。
「あ、レミちゃん、この後私と随行よ」
「また現場ですか?」
「といっても、そんな危険では無いことが分かっているから安心して。ちょっと教育機関の方に行くだけだから」
「分かりました」
「また厄介ごと持ち込まんどいてなー」
ニヒヒとイタズラっぽく笑うレイさん。
こーゆーところ見せれば可愛いと思ってくれるだろうになぁ……。
「んじゃ、また何かおうたら伝えてや」
「はい、ごちそうさまでした」
「ごちそうさま」
「あぁ、せや……」
マリ先輩に向き直り、ずいっと顔を近づける。
「私の端末返せや」