白昼ガールズトーク
<報告書>
氏名 不明 年齢 不明 健康状態 良好
文明の無い世界からの移民と思われる。
サイジ係長に随行し、現場にて確保。
激しい敵意を向け、当方への攻撃を加えたため、強制的な拘束を行った。
身体能力は高いものの、コミュニケーション能力や知性の点で就労は難しいと判断。
よって、保護局への引き渡しを行う。
「……んー……こんなもんですかね……」
「あら、レミちゃん、眉間にシワ寄せてどうしたのかしら?」
向かいのデスクに座るマリ先輩がこちらへ話しかけてくる。
「あー、朝一の件の報告書でちょっと……」
「何だか大変だったみたいね」
「ええ、現場に行くのはそもそも面倒くさいのですが」
「それも問題ね」
「その確保した後、係長と保護局が少し小競り合いしてですね。いやまぁ、一方的に叱られただけなのでしょうけど」
「保護局……あー、レイと係長ね」
「で、さっき揉めたばっかりだもんで、なるべく角の立たない報告書を。と思いまして」
「うーん……。それはそれとして、今日はレミちゃんお昼は社食?」
「あ、はい、そうですね」
「なら、一緒にしましょ。レイが連れてこいって」
「それはそれとしてませんよね、それ」
「大丈夫、レイが何か言ってきてら私がとっちめちゃうから!」
「そうならないように善処します」
「良し、じゃあ早速食堂にいきましょ!」
先輩に手を引かれ、席を立つ。
レイさんが居なかったらもっと良いのにな。
「あ、居た居た!」
食堂につくと、直ぐに先輩がレイさんを見つける。
黒髪、色白の純粋たる人間種。
切れ長のスラッとした目に、長い手足と身長。
そして、ナイスバディなシルエットは、先輩とのツーショットがとても似合う。悔しいけど。
そのレイさんは、どうやら先に席を確保してもらったみたいだ。
「遅いでー」
独特の訛りのある言葉で、話しかけてくるレイさん。
「ごめんごめん、報告書が時間かかっちゃって。レミちゃん連れてきたわよ?」
「あ、お疲れ様です。レイさん」
先輩の背後から会釈をする。
「おう、お疲れー、レミちゃん。今朝は大変やったなー」
「いえ、レイさんにご迷惑をおかけしてしまったみたいで」
「この子、さっきからずーーっとそのこと気にしてるんだからね。優しくしてあげてよね?」
「ああ、せやったんか、すまんなー。あの唐変木が悪いんであって、レミちゃんは悪くないからな?」
「ええ、係長がまた何か怒らせたのかな、とは分かっているんですが、報告書あげるのがちょっと気まずかったです」
「せや、なーんで喋れない、頭も悪い、平和的でない、そんな輩を保護局で預からなあかんねん! 非戦闘部署やぞウチらは!」
「そうなんですけどねー、融通が利かない人でして……」
「その癖、仕事が早いから困っちゃうのよねー」
「ホンマ困ったやつやで!」
「ふふ、けど、好きなんでしょ?」
先輩、いきなりぶっこみすぎです。