感想戦
ついに成功させる事が出来た新技術。
双剣にしたが、槍や斧、鎌なんかも出来るだろう。
けれども、どの程度の威力や強度を持っているのかも把握しなければ。
「不可視の剣って、ちょっと反則ですねー。でも、なんで係長は剣の切れ味まで分かるんですか?」
「ああ、以前、分子すら切れるという刀を見た事があってな、その刀と気流が似ているんだ」
「気流? 気流が見えるってどういう事です?」
「俺の特性の副産物なんだろうな、視力というもの全般がやたらと良いんだ」
「それもチートくさいですね」
何とも言えない表情でヤスモトさんはため息まじりにそう言った。
うん、私もそう思う。
ただでさえ訳の分からないスピードだというのに、その上視力全般だと?
「とはいえ、初めからそうだった訳ではない。俺のスピードに対応しようと、体が成長したんだと思っている。単純な視力も上がるっていうのは、よく分からないがな」
「そっか、速けりゃいいって訳じゃないですもんね、体がそれに慣れないと、宝の持ち腐れですもんね」
「能力に振り回されて、自分も周りにも被害を出したからな。危機回避のために、という事だろう」
私も、あのまま訓練を続けていたら、いらぬ事故を起こしていたかもしれない。
「私があの力を使うには、どういった訓練をすれば良いと思います?」
「剣ならば剣の訓練だろうな。特に真剣の扱い方だ」
「なら、素振りからでしょうか?」
「型をこなすのも良いだろう、後は試し切りもしてみると良い」
「試し切りですか? 見立てでは何でも切れるんですよね?」
「とはいえ、抵抗が無いわけではないし、硬いという事は割れやすいという事でもある。刃こぼれする、何てこともあるかもしれないしな」
不可視の刃が飛んで来るというのは、なかなか恐ろしい。
それも含めて試し切りも必要なのか……。
「ちなみに、私はどういった方向で訓練すればいいでしょうかね?」
「ヤスモトの特性であれば、能動的に動く事が可能だ。であれば、その特性が通じない場合、どういった行動を取っていくか、それが肝要だろうな」
「つまりは応用力とサブプラン、という事か」
「ああ、試しにアンタッチャブルの障壁を相手にしてみると良い」
「確かに、あの障壁は攻略難しいですね。というか、攻略できる人居るのか? って思います」
何だか褒められているようで嬉しい。
が、先ほどコテンパンにされた後ではあるのだが。
「そうだな……アンタッチャブルの弱点として、エネルギー効率が悪い事だろうな。装備無しで、どのくらい展開出来る?」
「えーと、一時間くらいでしょうか」
「なっが! 係長、それ、普通の戦闘時間じゃないですって」
「最大出力ならどうだ?」
「半分でしょうかねぇ……あまりやった事ないですし」
「半分でも、三十分ですよね……長い長い」
「それに加えて、ところどころ強い攻撃というのならどうだろうか?」
「う……アンタッチャブルの機嫌次第になりますが、グッと減ると思います……」
「つまり、全周囲に気を張らせながら、攻撃を加えていく、というのが攻略法になる、と……」
「これは、アンタッチャブルのみならず、防御する能力全般に通じる方法だ。何処かしらに穴がある、欠点がある。それを常に思考し続ける事、そうすれば、必ず突破口が開かれる」
どんな能力にも欠点がある、か。
まぁ、そう思わないとやっていられないけれど。
「反対に、ヤスモトさんの欠点って何処ですかね?」
「確かに、汎用性の高い能力だからな、欠点は無いように思えるな。しかし、決め手にかけるの事実だ。大質量、もしくは大規模な攻撃に対する受けは弱いだろう、と考えている」
「あー確かに。私の能力でミサイルだの主砲だのっていうのは受けきれないかもしれませんね、魔力付与されていたら尚更」
「つまり、ゴリ押しに弱い?」
「レミリアさん、ぶっちゃけ過ぎです」
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