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こちら異世界移民局!~転生・転移チートを許さない世界の物語〜  作者: ひろほ
第七章 セレブの意味とは何でしょう?
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隣に立ちたい

マリさんが移民局を辞める。

そうなれば、当然離れ離れになってしまう。

普通であれば、考えるまでもなくついていくけれど、脳裏にチラっと浮かんでしまった。

今憧れている『移民局のマリさん』を超えていきたい、と。

もちろん、実力も資格も役職も遥かに上ではあるのだけれど。

先日打診された昇進試験も、実は前向きに考えている。

そう、背中を追い続けた憧れは、横に並びたいと思える存在に変化した。

仲間として、同志として、友達として。

私なんかが言うのもおこがましいとは思うけど、嘘偽りの無い感情だ。

だから、マリさんの役職に部下ではなく、同僚と言えるまで出世しようなんて考えていたりして。

具体的には、マリさんは入局二年で今の資格を得た。

資格と言っても、局内資格で国家資格ではないが、『どんな移民が来ても対応して良いですよ、責任は局、国が負いますよ』という、下手な国家資格よりも力を持っていたりする。

当然、案件は厄介になるし、急な呼び出しも増えるけれど、私はとりあえず、そこまで追いつこうかな、と。

そして、タイミングも悪かった。

決意したのが、実は昨夜である。

ショッピングモールでマリさんと遊んでいると、楽しかった。

語彙力が低下するくらいには楽しかったのだ。

その時にふと思った、『この人と友達になりたい』と。

だから、仕事で肩を並べる存在になれば、先輩後輩、上司と部下という関係が薄れるのではないかと考え、昇進する気概になっていた。

そんな矢先、転職するなんて話が舞い込んだものだから、思考がショートしてしまうというもの。

それにそれに、直属って事は、マリさんが失脚でもしない限り、ずーっと上司と部下って事でしょ? 言ってしまえば。

…………まぁ、冷静に考えてみれば、マリさんが移民局から居なくなった時点で、居る必要もなくなるんだけどね、ただ面を食らっただけで。

だが、いつになるかは分からないけれど、辞めるまでに出来る限り昇進試験は受けよう。


「あの、具体的にはいつになりますかね?」

「そうねぇ、お隣の国次第だから、はっきりとは言えないけれど、そう遠くないと思うわ。今日明日でどうこうって事もないでしょうけど」

「あの、私、マリさんと一緒に居たいです。だから、そのお話、受けようかと思っています」

「本当!?」


パァっと花が開いたような表情を見せてくれるマリさん。


「ただ、それまでは、移民局の試験受けて、出来る限り上に行きたいんです」

「え?」

「お?」


マリさんのみならず、係長までもが驚いている。

そりゃそうだ、今まで頑なに昇進試験を断ってきたんだから。


「マリさんの横に立てるような……そんな人間になりたくてですね……なので、マリさんの階級にあがりたいなー、なんて」

「係長、私の階級って、一発で行けましたよね?」

「……まぁ、特例ではあるがな。お前の場合は、家柄も実力も含めて、お国の為になる、害にならないと判断された上で、受験が認められたな。まぁ、入局してしばらくは試験を断り続けていたが、最初から大丈夫だっただろう」

「ということみたい。レミちゃんなら、こっちの生活も長いし、移民局での業務も真面目しているから、大丈夫なんじゃないかしらね? 何だったらウチから書状を送るし」

「……え、一発で最上位の試験受けるんですか?」

「大丈夫! そこまで難しくないし、私と係長が指導するから!」

「……俺もか……まぁ、良いだろう。筆記は問題無いとして、実技だな」

「係長が居るなら安心安全! なんたって、試験官の指導員ですもんね」

「去年たまたまやっただけだ。本来なら課長より上がやるんだが、縁あってな」


さて、何だか大事になってきたような気がする。

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