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こちら異世界移民局!~転生・転移チートを許さない世界の物語〜  作者: ひろほ
第七章 セレブの意味とは何でしょう?
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タワー攻防戦11

「お見事。苦戦すらしないなんてねぇ、成長したものね」


どういう意図があったのかは分からないけど、満足そうな顔から察するに、及第点は越えたようだ。


「ありがとうございます」

「これで転移は終わりになるかしらねぇ?」


辺りは魔界の公務員たちが慌ただしく行動しているようだ。

あちこちから日常とかけ離れた爆音や機械音、破裂音などが聞こえてくる。


「他の手段が本命かもしれないですしね」

「もしそうなら、随分と手間をかけること……」

「ぶっちゃけ、テロ組織にしても規模が大きすぎますよね」

「国が後ろに居たとしても異常よ」

「私はそこいら辺の事よく分からないのですが、警察、公安、軍まで出動してこんな感じですもんね」

「実際よく防いでいると思うけどね。そこかしこに魔力の発動しているのを見ると」

「ここまでくると、戦争じみていませんか?」

「ま、戦争するのが目的だからね、テロって」

「また乱暴な認識で……私が考える事ではないですが、報復したりとかするなら複雑になりそうですよね」

「魔界が動くとなると、同盟国のウチも考えないといけないのよねぇ。お父様だけでどうにかならないかしら」

「あー……マリさん、今回関わってしまいましたからね、割とガッツリ。なので、駆り出される可能性は高そうです」

「あ、そういえば、戦闘中、『先輩』って言ったでしょ?」


自分では意識していなかったが、冷静であろうと思うと仕事のスイッチが入っていたようだ。


「つい、癖で……仕事病の一種ですかね」

「ま、仕事にしようとは私も思っていたけどね。良さそうな連中は皆、皇国で引き取りましょう」

「という事は、一度、この人たちは回収しますか? といっても、何処に運びましょうか」

「このまま皇国の移民局に運んでしまいましょう。さっき係長に連絡したから、入国手続きに手間取らなければ、お昼ご飯くらいには着くんじゃないかしら? お昼ご飯の後に着いてくれるとゆっくり出来るのだけれど」

「おっと、早く着きすぎてしまったか?」

「はっや!」


つい声が漏れる。

涼しい顔で、サイジ係長がいつの間にか横に立っていた。

一体いつ連絡をしたのか分からないが、早すぎる。

航空機で行く距離なんだよ、魔界って?


「流石に早いですね、身一つですか?」


マリさんに驚いた表情は見られない。


「いや、空港までは移民局の一番速い機で来た。魔界のテロと言っていたから、なるべく早く現着した方が良いと思ってな」

「お気遣いありがとうございます。一番速いものとなると、あまり大きいサイズの物ではありませんよね」

「そうだな、五人……いや、何せテロ組織だからな、四人までにしておきたいな」

「四人ですね、分かりました。レミちゃん?」

「あ、はい!」


呆気に取られていた為、声をかけられ、少し驚く。


「目ぼしいのは居た?」

「目ぼしいとなると……今の転移能力者と、私に差し向けられた男でしょうか」

「どんな能力者?」

「マリさんと同じような能力でした」

「あら、珍しいわね」

「とはいえ、基本スペックは遥かに劣りましたが」

「ほう、ミストラルと同じ能力か、技術局は研究のし甲斐があるだろうな」

「ただ、強力な能力を持っているテロリストを、国に入れて良いのかという疑問もあります」

「移民契約がもしかしたら通じないかもしれないものね」


紙っぺら一枚で簡略化されているが、指紋認証やデータ転送だったりのハイテク、精霊や土地神を宿す高等魔法が使われている。


「そこが不安要素なんですよねー」

「とはいえ、だ。レミリアでも確保できるレベルというのなら、さして問題はあるまい」

「ちょっと複雑ですが、そういう事でしたら、まぁ……」

「にしても、どんな口車に乗ったのか分からんが、異世界からの移民がテロに利用されるというのは、可哀想に思わんでもないな」

「係長もそう思う事あるんですね?」


少し、驚いたような表情でマリさんは訊ねる。


「これが、俺達の世界での戦闘であれば、こんな穏やかな結果になってはいなかっただろう? 所詮は捨て駒にしか思われていないのだろう」


そう言う係長の横顔は、悲哀と一緒に怒りを孕んでいたように見えた。

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