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こちら異世界移民局!~転生・転移チートを許さない世界の物語〜  作者: ひろほ
第七章 セレブの意味とは何でしょう?
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タワー攻防戦8

敵は私達二人を取り囲む。

遠距離からの攻撃を考えているのなら、同士討ちになるだろう配置から、敵の練度が低い事が読み取れる。

所詮は寄せ集め、か。

しかし、そんな事はお構いなしに、いや、練度が低いからこそだろうか、銃器に魔術、魔法を駆使して攻撃を仕掛けてきた。

いやいや、ダメですって。


「―――アンタッチャブル」


私に遠距離攻撃は通じないんですから。

同士討ちの心配なんて毛ほどしていない。いや、する必要なんてない。

装備のブーストも手伝って、障壁は余裕をもって受け止められた。


「マリさん、この銃なんですけど、簡単にやれちゃいますよね?」

「そりゃ、銃だからね」

「手足とか、簡単に消し飛びそうなんで、どうにかなりませんかね?」

「再生医療でも受けさせればいいじゃない?」

「ちょっと考えが魔族じみてますね……エネルギー式ですよね?」

「光学式のが良かった?」

「いえ、そういう事ではなく……まぁ、光学式の方が私はコントロールしやすいですけれども……」


アンタッチャブルの障壁を銃口辺りに展開。

それをクッション代わりに威力を抑えた射撃をした。

遠距離攻撃から近接攻撃に切り替えようとした男達に面白いように命中する。

どうやら貫通はしていないようだ。

とはいえ、エネルギーの奔流を叩き込まれ、無事な訳も無いが。


「やるわねぇ。麻酔銃とは勝手が違うっていうのに」

「今度、係長に調節できる光線銃の支給をお願いしておきます」


一方的に攻撃されているだけではないだろう。

そろそろ何か策を講じてくるとは思うけど……。


「!? 先輩!」

「ええ」


ライフルを手に持った男に気付く。

恐らくは障壁対策の貫通弾か何かだろう。

それを直ぐにマリさんは察知して、障壁の外へあっという間に出て行った。

さらに、私だけが感じられる障壁が消え去るのが分かる。


「アンチ特性、ですか」


能力を無効化する特性。

まぁ、そりゃ居るよね。

さて、その範囲はどの程度のものだろうか。

指定した対象の能力か、それとも指定した人物か。

人やものではなく、空間自体という事も考えられる。


「先輩、障壁無くなってます!」

「了解」


一声告げると、私はマリさんの方へ駆け出す。

走りながらの射撃はなかなかの難しさだけれども、威嚇みたいなものだ。

当たらずとも良い。

マリさんに群がる敵の数を減らす。

優先度が高いのは、コピー、反射の特性持ちを筆頭に、何かしらの搦め手に使えそうな能力の人間。

俗に言うデバフを掛ける連中だ。

マリさんもそれは分かっているようで、『それっぽい』奴から潰していく。

傍から見ると、攻撃よりもとにかく触ろうみたいな動きをしているから、分かりやすい。

まぁ、それも触る事すら叶わないのだけど。

次に私がとった行動は、転移したての敵を出落ちさせる事だ。

アンタッチャブルが丁寧にガイドをしてくれるので、素手でも銃でも容易だった。

何処から出てくるか分かっている転移なんて、もはや不意打ちにはなり得ない。


「モグラたたきみたい」


マリさんが余裕のある声で通信してくる。


「異世界のゲームですよねー。大分物騒ですが」

「ふふ、そうね。レミちゃん、やった事ある?」

「ええ、小さい頃に」

「今度、童心に帰ってやってみない?」

「あー、最新機種なら……旧型だと、何回かやるとパターン覚えてしまって、面白くなくなってしまうんですよねぇ」

「パターンが複雑化しているやつって事ね。けど、玩具にそこまでハイテク使うかしら?」

「玩具もそこまで捨てたもんじゃないですよ…………さて、お待たせしました」


左拳をマリさんが大きく突き出す。

地面をえぐる見えない何かが一直線上に突き進み、『一列に並んでいた』男達を薙ぎ払った。

ただただ、マリさんがカラテで言うところの正拳突きをしただけである。

これが、この世界の最大戦力、マリ・ミストラルの基本スペックだ。

利き腕ではない左で繰り出す手加減をして、これである。


「誘導ありがとう、レミちゃん」


マリさんの攻撃範囲や手段を知っている私は、マリさんの狙いがよく分かった。

きっと、転移の大本を叩く提案を却下したのも、動きや連携についていけるかの試験でもあったのだろう。


「いえいえ、御見事でした。転移の人間も巻き込めましたでしょうかね?」

「どうかしら? 一発は使っているみたいだけど……まさか爆発を転移させてくるとはねぇ」

「そもそも、あと一発だけかも怪しいです。タワーの攻撃っていう目的すら嘘だったんですから……あの、そういえばなんですけど、爆発をどうやって凌いだんですか?」

「まぁ、レミちゃんも出来るような事だけどねー。ちょっと爆発魔法で相殺したってだけ」

「兵器をちょっとって程度の爆発魔法で相殺出来ませんって」

「アンタッチャブルなら、もっと簡単に防げたと思うけどね?」

「私にとって、それが一番防ぎやすいってだけですよ。それに、タワーまで影響が無いように抑え込んだりしたんですよね?」

「そうねぇ、結構な規模だったと思うし」


つくづく人間じゃねぇと思わざるを得ない。


『やぁやぁ、お二人さん、終わったみたいだね。一つ思い付いたんだけど、良いかな?』

「アレックス、そっちも息災なようですね」

「言ってごらんなさい?」

『タワー内部とか地下に転移させるというのなら、ちょっと厄介だよな、って思って』

「あー、確かに。タワー内部なら壁ぶち抜かないといけないですね」

「んー、機密エリアには遮断の力とか働いていると思うけれど、他のエリアは分からないわね」

『だろう? 内部に行こうかなって思うけど、どうだろう?』

「――――――いえ、ちょっと様子見で」


転移の予兆がまたも見られる。

いよいよ本命の登場か?

いやしかし、どれにしたって……数が多すぎる。


『ああ、どうやらその方が良さそうだ』

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