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こちら異世界移民局!~転生・転移チートを許さない世界の物語〜  作者: ひろほ
第七章 セレブの意味とは何でしょう?
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タワー攻防戦7

さて、曲がりなりにもマリさんと同じ能力の持ち主だ。

もしかしたら、まだ倒れていないかもしれない。

すかさず吹っ飛んだ先に飛び込むと、男は金属製のオブジェに引っ掛かっていた。

ふむ、これなら大丈夫かな? と思いつつも、念の為、ぶら下がっていた男の顎先に拳を再度当てておく。

ついでに鞘を腰から外し、そこら辺に落ちていた剣を収める。

期せずして近接武器を手に入れられた。


「アンタッチャブル、先輩の方は!?」

『戦闘中です』

「え!? まだなの? 先輩が!?」

『はい』

「アレックスは?」

『戦闘の数値は出ていません』


先輩が苦戦している? そんな馬鹿な。

とにかく居ても立っても居られず駆け出した。

轟音は絶えず続いている。

一先ず生きているのは間違いない。


「どうかご無事で……」


つい心の声が漏れてしまう。

マリさんの対策も当然しているはずだ。

どういうものかも分からないが、無策は有り得ない。

逸る心が自分の足をさらに加速させる。

すぐそこだけれども、その距離が遠く感じ、時間がゆっくりに感じながら、ようやく着いた。

そこは、阿鼻叫喚の地獄絵図と言っても良い惨状であった。

―――――――――――敵がね。

テロ組織が考えたマリさん対策、それは人海戦術であった。


「きっとお手上げだったんだろうなぁ……」


転移陣が展開され続け、その度に刺客が現れる。

一斉に出てこないのは、一蹴されない為だろう。

であれば、私は転移陣を展開している大本を見つけた方がいい?

どうせ安全なところで能力を使っているのだろう。

問題はどの程度の距離を空けているか、だ。


「おっと!」


私の近くに転移してきた奴が、襲い掛かってくる。

とはいえ、質より量なのだろう、ぶっちゃけ雑魚であった。

一人払うと私に気付いた人間が更に襲い掛かってくる。

いやいや、目的はマリさんじゃないのかよ? と思ったが、直ぐにマリさんを助ける為に来たのだからこれで良いのだと思い直す。

しかし、まぁ、よくもこれだけ集めたものだ。


「こんな規模の戦闘は、軍の仕事なんじゃない?」


と一人愚痴る。

組織だって動く以上、こういったゲリラ戦なんかは向いていないのも分かるけども。

個人で何とかしなくてはならないケースが多い移民局の方が、こういった対人戦が向いてるってのもある。

科学技術や魔法によって装備が発達すると、個々の力量の影響が大きいのも皮肉なものである。

蛇口を捻れば水が出る、呪文を唱えると魔術が使える、そういった技術の発展は誰しもが出来る事になってしまったが、それを過ぎると今度はどのように使うか、個人の力量によって大きく性能を変える。

ブックマンの傑物であるウチのジジイも、最先端の端末に対しては疎いのも良い例だろう。


「ブックマンの長! キーヨ・エイプリルが直系っ、レミリア・エイプリル! ミストラル家打倒を企む不届き者に、天誅を下す!」


二、三人薙ぎ払った後、剣を地面に立て、時代がかった言葉を発する。

これで私に注目がいくだろう。

私がコソコソと転移を仕掛けている人間を探すよりも、マリさんに任せた方が早い。

しかし、私の予想に反して、マリさんは私に襲い掛かってくる輩を横から一蹴してしまった。


「レミちゃん、大丈夫!?」


持ち場を離れた私を叱責するでもなく、心配されてしまう。

そうか、そうだった。

マリさんの性格を忘れていた。

私みたいな『か弱い乙女』が戦場に来たら、間違いなく助けようとするのがマリさんだ。


「ええ、おかげさまで。手短に言いますが、狙いはマリさんだと思います。で、転移させてる奴を叩きのめしてほしいです。私囮しますので。」

「んー、却下!」

「は?」

「たまには共闘を楽しみましょう?」


この、バトルジャンキーめっ!

と思ったが、ちょっと嬉しいかも。

何も言わずに、自然と背中を合わせて、私達は構える。


「さ、かかってきなさい? この二人、控えめに言って無敵よ?」


いえ、貴女単体でも無敵だと思います。

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