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転生しまして、現在は侍女でございます。  作者: 玉響なつめ


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「ということだから」


「ははあ。なるほど……道理でベイツ隊長が一度呼び出されたと思ったら、その後ちらちらとこちらを見てくるわけだ」


「まあ、そんなことがあったの?」


「結局何も言われなかったけどね」


 夜遅くに帰ってきたアルダールに昼間のことを話せば、彼もそんな話を聞かせてくれました。

 よっぽど隊長さんが困った顔でもしていたのか、アルダールは思い出してクスクスと笑っています。


 今はゆっくりとしたリラックスタイムなのかアルダールもラフな格好で、ソファに座る私の膝に頭を預ける……いわゆる膝枕ですね!

 お腹のお肉に気づかれませんようにと願いつつ、私は目を閉じるアルダールに声をかけました。


「……寝るならベッドで寝てね?」


「今は愛しの婚約者に少しでも甘えて癒やされたいんだ」


「またそういうことを言って……」


 一緒に暮らし始めてわかったのだけれど、アルダールは存外甘えたがりなんですよ。

 もしかしたら幼少期、上手に甘えられなかった反動なのかな? とも思うけど、なんだか可愛いので好きにさせているわけですが……。


(そうよね、よく私のこと抱き枕のようにして寝ることもあるし……)


 高身長のイケメンで働いている時は凜々しいのに、家の中では甘えたがりだなんてギャップ萌え……くぅ、ずるすぎる男ですねアルダール!

 まあ我々は婚約者ですもの。しかも結婚間近の。

 

 このくらいのスキンシップは一般的でしょう! 多分!!


「……今は何の書類を見ているんだい」


「これ? お披露目式の料理について」


 私たちはとにかく早く結婚式を挙げなくちゃいけなくて、叙爵前の最初の予定では身内だけの婚約式、近しい人を招いての結婚式の予定でした。

 お披露目式はなしの方向でね。


 だってただの爵位なし貴族ならその程度で十分ですからね!?


 ところが叙爵でいきなり子爵位をいただいちゃったわけですから、そうもいかないわけですよ。

 とはいえ結婚式に誰を招くのかってのはまた派閥とか、実家の都合とか、あれこれ出てくるから結局身内だけの式です。


(そもそもバウム伯爵家とファンディッド子爵家でも釣り合いとしては……難しいところだから……)


 お互い親しくしている人たちが社交界で有名人ということもあって、彼らが参加するなら是非自分たちもお近づきになりたい! って人たちが集まって来ちゃうわけです。

 そりゃね、社交界の華であるビアンカさまとかを筆頭に、ベイツ隊長さんとか……それこそ義父となるバウム伯爵さまにだって近づきたい人はいるでしょう。

 ジェンダ商会の会頭さんとかも繋がりは強いですものね! お買い物していた時は知らなかったけど!!


 しかしながら国王陛下に指名されての婚姻ですし、その親しい人たちを結婚式に呼べないならお披露目式に来てもらいたいと思うのは人情というもの。

 かといって予算は限られており、出発したての新・子爵家にはそこまで予算があるわけでなし……。


 創意工夫でなんとか乗り越えろったって、なんとかするための先立つものは空から降ってはこないんですよ!


 まあお披露目式と言ってもご挨拶の場ですし、簡単なガーデンパーティーにしてその後は社交を頑張るのが一番です……。


「眉間に皺が寄ってる」


「あっ」


 考えれば考えるほど頭が痛いな……と思っていたらアルダールが書類を私の手からパッと取って「これは明日にでも私が片付けるよ」と言って体を起こしました。


「もう寝るの?」


「ユリアを寝かせないとね。……それにしても膝枕は大丈夫なのか……」


「何が?」


「いいや、なんでも?」


「?」


 にっこり笑うアルダール、最近こういうことが多いんですよね……。

 いったい何がしたいんでしょう。


 まあアルダールが書類を片付けてくれるっていうならお任せすることにして、私も大きく伸びをして寝ることにしたのでした。

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