615
「……なるほど、それでできたのがこれってことか」
「ええ……ちょっと調子にのってあれこれ作ってしまったものだから、たくさんできてしまって……」
いやはや、お恥ずかしい!!
フルーツだけのものから始まり、きゅうりやレモン、ミントといろいろ掛け合わせてどの配合がいいかなってメッタボンと話しながら作っていたらついつい……ですね。
さすがに試作品として作ったというには量ができてしまい、もう夜だったこともあって警備の人に渡すのは躊躇われましたし。
冷たい飲み物もどうかなって……まだちょっと季節的に早いですからね。
日中の訓練後とかだったらきっとゴクゴク飲めると思いますけども。
一部は私が冷凍しておきました。
これを紅茶に入れたら美味しいフルーツアイスティーができるのかどうかとか、お菓子に応用できるのかとか、削ったら氷菓子として出せるのか……要するにかき氷ですね!
そういうのをメッタボンが実験したいというので……。
ちなみに王女宮では侍女たち好みはやっぱりベリー系かなという結論に達しました。
使ったフルーツはそのまま食べてもいいし、煮てジャムにしてもいいですしね……私が近くにいるなら小さな氷状に凍らせてそれを口の中に放り込むなんてのも真夏日にはいいかもしれません。
お行儀は悪いですが。
で、一部を私とメッタボンでお持ち帰りです。
マーニャさんとカルムさん夫妻にも感想を聞いてみたかったので!
常時飲むというよりはお仕事のご褒美とか、ティータイムってほどではないけど……っていうタイミングでこれがあったら夏場は嬉しいなというご意見でした。
あとはレモンとミントときゅうりで作ったものは夏場で疲れている時には楽しみになるんじゃないかってカルムさんは大絶賛でしたね……。
カルムさんはさっぱりめがお好き、と。
メッタボンはミントときゅうりだけの方が好きだった。
(やっぱり好みはいろいろね!)
一種類に限って大量に作るのは止めた方がいいかなと思っております。
日持ちするものでもありませんし……。
「それで、どう……? アルダールの口には合った?」
「ああ、美味しい。レモンと……少しだけオレンジも入っているのかな。後味のミントが爽やかだね」
「そう。さっぱりしているのを作ってみたんだけど……」
「きゅうりが飲み物に入るというのは初めて知ったなあ、でも合うね。また飲みたい」
「そう? じゃあ今度アルダールが日中の訓練がある時は事前に作っておくね。凍らせておけば飲む時にはちょうどいい冷たさになると思うし……」
「本当にユリアの魔法は便利で羨ましいよ」
「ふふ」
まあそんなに活用はしていませんが、今まで使いどころもあまりなかったですからね……。
アイスを作る時にちょいちょい使ってた程度です。
あっ、アイスティー作るのにもこっそり使ってました。はい。
「これなら貴族のお茶会でも話題になるんじゃないかな? さっぱりと楽しめるだろう」
「そうねえ。……もうちょっと考えてから、ビアンカさまに相談してみるわ」
ビアンカさまあたりが気に入ったら貴族たちの間でも流行しそうですが、食品ロスに繋がりそうな気もしたので当面、王女宮限定にしようと思っております。
あの方ならレシピを渡すのは問題ありませんし、なんだったら上手に活用してくれて広め方だって考えてくれると思いますが……。
(……園遊会前ですし、ね)
身内でしばらくは楽しんで、来年以降よろしくお願いしますでぶん投げたいなって正直思っております。
「ユリア」
「なあに? 飲み終わったの?」
「うん、だからこっちに来てほしいな」
「え?」
「帰ってきて早々笑顔で呼ぶからきっとまた何か楽しいことを思いついたんだろうなとは思っていたから期待もしていないし落胆もないけどやっぱり少し悔しいから」
「何が!?」
ノンブレス怖いんですけど?
あっ、ちょっ、抱き上げられるとか体重バレそうなんでやめていただきたくてですね……!
「今日はしっかりきみを補充させてもらおうかな」
「ひえっ……」
うちの旦那様、容赦ない色気で迫るのだめです。
まだ結婚式挙げてませんよ!!
単なるいちゃつき回。