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メッタボンのおかげでゼラチン使い放題な王女宮では、夏が近づくとゼリーだのババロアだのが人気なわけですが……。
今日は苺のババロアを作りましたよ!!
王城内には苺が育てられていて、年中何かしらの品種が用意されているのです。
それもこれもプリメラさまがお好きだからなんですけどね……陛下がお小さい頃のプリメラさまに『プリメラ、いちごがいちばんすき!』って言われた翌日には作らせてましたからね……。ははっ。
(まあそのおかげでこちらもこうして楽しめるんだから、感謝感謝っと……)
魔法が弱くてショックだった過去もありますが、今では急速冷蔵できる自分の魔法って便利でいいなと心底思っております。
生活魔法最高。
ちなみにこの魔法の応用で、洋服を一部冷やして夏場を乗り切るのもできるんですよね……。
(そういえばアルダールも夏場は大変だって言ってたしなあ)
騎士たちはあの装備ですからね。
それでも表面上涼やかに見せているんだからすごいなと尊敬ですよ。
今年はせっかくだし、彼を労う意味でも美味しいフレーバーウォーターを作ってみたいなとちょっと思いました。
上手にできたら半分凍らせるようにしてシャーベットを楽しむとか、よくないですか?
(だとしたら試作でいくつか用意してみるのもいいかもしれない)
果実水はプリメラさまもお好きですしね。
きっとフレーバーウォーターもお楽しみいただけることでしょう。
この国では果実水と言えば果実は一種類で作る、仄かなものですが……さっぱりして確かに暑い時期には楽しめるものですが、ちょっぴり味気ないのも事実。
朝の起き抜けなどに呑む分にはいいですが、ティータイムで〝お茶の代わりに〟って出るには物足りない……そんな感じですね!
なので私が今回作るのは、複数種類のフルーツで作るフルーツウォーターですよ。
前世では瓶にこれでもかってフルーツが入っているのをカフェで見かけてお値段に慄いたものですが。
それに常飲するにはちょっと甘いですしね、ちょっとしたおやつ代わりっていうか?
これまではお茶とお茶菓子っていうのがやはり貴族の定番だったので私も思い至りませんでしたが、閃いちゃったからには作りたい。
(とはいえ日持ちするもんじゃないからな……)
フルーツティーの方もしっかり考えていきたいですね!
そういやシャーベットで思い出しましたが、一口ゼリーを凍らせたら美味しいとかありましたね……?
(それならお手軽にできる、かしら?)
アイスとはまた違った楽しみ方ってことでこれはこれで夏の楽しみがまた一つ増えるでしょうかね。
寒天ゼリーは凍らせるのには適していないってことは覚えていますが、あれはなんでだったっけなあ……。
「まあいいわ、試せるものはメッタボンとやってみましょう!」
そして上手く行ったなら、もしかしたら園遊会の一部で披露できてプリメラさまの株もあがるってもんですよ!!
「あ、きゅうりも用意してもらわなくちゃ」
意外とフルーツときゅうりの入ったヤツが美味しいんですよね。
私はあれが好きだったんだよなあ!
「メッタボン、今夜試作に付き合ってくださいな!」
「おうよ! 何用意しとけばいいんだ?」
打てば響く……最高ですよメッタボン。
果物類とミントときゅうりをお願いしたら首を傾げられましたけど、ああ、夜がたのしみだなあ!!




