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 ライアンが戻ってくるのを待つことにして、私は手紙を脇に置いておりました。


 その間に私は秋の園遊会に向けて、王女宮全員のエプロンを新調することにしたので布地の種類を見比べですよ!


 さすがに去年のような大惨事には至らないでしょうが、それでもガーデンパーティーですからね。

 多少は汚れても洗い替えがしやすいものが良いでしょうが、それと同時に名のある方々を前にどうせだったら新品のエプロンでみんなに頑張ってもらえたらと思うわけです。

 あ、ちなみに執事服にはエプロンはないので、彼らにはポケットハンカチーフとネクタイがいいかなと思っております。


 デザインは王宮のものからはみ出ることはできませんが、布地については宮ごとで責任者にある程度の裁量があるのです!

 去年まではプリメラさまのデビュー前ということでスタンダードなものを選択しておりましたが、今年からはまた様相が変化しますからね……!

 王女宮はこれからが躍進なのです!!


(私たちにとって制服はある意味での戦闘服。あの子たちも今や立派な侍女なのだから、こうしたところでアピールしていかないと……!)


 うーん、どの布地も捨てがたい……悩ましいですね。

 こっちは手触りもいいし糸そのものの艶が素晴らしい。

 エプロンとして真っ白に映えるだけじゃなく、きっとこの布地の良さをわかる人はわかるはず……!

 同じ布地だと少しばかりハンカチやネクタイではごわつくでしょうから、そちらはまた別の産地の……。


「戻りました、ユリアさま」


「おかりなさいライアン。ニコラス殿は大人しく……?」


「はい。グチグチと文句は言っておりましたが、休暇は本当のようです」


「そうですか」


 ちょっとホッとしましたね。

 いやあニコラスさんを疑うわけじゃないんですがいえ疑ってますごめんなさい。

 とにかくですね、あの人が来るといっつも裏があるかもって思っちゃうじゃないですかー、これまでの付き合いのせいですよ!

 日頃の行いって大事ですよね!!


 さてまあそれはそれとして。

 私はちらりと手紙に視線を向けました。


「……ニコラス殿が持ってきたことに、意味はあると思いますか?」


「お疑いになるのはわかりますが、今回に限っては本当にただ雑用を買って出たと見てよろしいかと」


「ふむ……」


 そう、私がフィライラ=ディルネさまからのお手紙を後回しにしていたのにはきちんとした理由があるんですよ。

 だってほら、フィライラ=ディルネさま付きの侍女であるルネさんじゃなくてニコラスさんが持ってきたって……怪しいじゃないですか。怪しさ満載じゃないですか。


 まーたなんか王太子殿下の思惑が……なんて思っちゃったりするじゃないですか!


 そういう意味も含めて、ライアンを近くに置いて牽制したわけですが……。

 どうやら今回は私の心配しすぎだったようで、少しだけホッとしました。


「久々の休暇をこちらに自慢したかったのと、隙あらばユリアさまを外出に誘いたかったのでは。フィライラ=ディルネさまのお手紙は、その口実かと」


「はあ……?」


 なんでしょうか、外出に誘われるいわれはないんですけども?

 やっぱり何か企んでいたとしか思えないんですが……ってライアンに対して変な声を上げてしまいました。反省。


「やつなりに婚約の祝いの品を贈りたかったようで……それで連れ回すようでは問題だと思いますが、そこはバウム卿に対するちょっかいと申しましょうか、歪んだ男ですので許してやっていただけると」


「ライアン、ものすごい表情になってますよ」


 そんな代わりに弁明とか擁護とかしたくもないけどせざるを得ない……みたいな悲痛な表情浮かべられたらこっちが困っちゃいますからね!?


 というか、ニコラスさんがお祝いするとか明日は雨かな……なんて思っちゃった私も大概ですけども!


「ま、まあ……気を取り直して手紙を見てみましょうか!」


 そう、特に裏がなさそうなら安心して手紙も読めるってもんですよ! ね!

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