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 今日も今日とて結婚を急かすメモが書類に挟まってたんですが、国王陛下って暇なんですかね……?

 結婚の準備って大変なんですよ……?


(前世みたいに書類出して終わりとかそんなことができたらいいのに……!)


 正直なところ、アルダールも私も結婚式そのものにはそこまで拘りは……嘘ですやりたいです。

 でもだからって仕事しながら(決して仕事量は減っているわけではない)並行で準備を行っている以上、そう簡単には終わらないんですよ!

 新興貴族だからって知り合いが少ないわけじゃないって言うかむしろ新興貴族だからこそあちこちに気を使って招待客や席次などを決めていくこの苦労、ご理解いただきたいです……。


「お疲れですねえ、ユリアさま」


「これはこれはニコラス殿ではありませんか。どうなさいました?」


「せっかくですから世間話でもいかがかと思いまして!」


 ぱあーっと笑顔を浮かべるニコラスさんですが、相変わらず胡散臭い……。

 なんでしょうね、ミュリエッタさんという接点が減ってあまり顔を合わせなくなりましたし、彼が私を利用することもなくなったので他部署の人ってだけなんですけど……。


 これまでがこれまでだからか、どうあっても胡散臭いってイメージが拭いきれないんですよね。

 いやそもそも影出身だから胡散臭いのは当然なのか!?


(でもセバスチャンさんとライアンが笑顔を浮かべてもここまで胡散臭くならないから、ある意味この胡散臭さは天性のもの……ってことなのかしら)


「ユリアさま、今なんだかすごく失礼なことを考えてらっしゃいません?」


「そんなことありませんよ。それにしてもわざわざ王女宮まで世間話に来るだなんて、暇なんですか?」


「いつも思いますがユリアさま、ボクに辛辣すぎません……?」


「あらいやだ、そんなことは決して」


 そうされるだけの覚えありますよね? あるでしょう?

 忘れたとは言わせませんよ!

 たとえ自分の主人のためとはいえ、いろいろと私を利用したりいいように使ったりしたことは!!


 まあニコラスさん個人に対して思うところは多々ありますが、それでも彼がもたらしてくれた情報その他は役立つものばかりだった……という点において、感謝はしておりますけども。


「それで? 世間話程度に面白い話を聞かせてくださるのかしら」


「ははっ、そうですねえ。どんなのがいいでしょう」


 私の言葉にニコニコと機嫌良さそうな笑みを見せるニコラスさんですが、コレは逆ですね……何か嫌なことでもあったんでしょうか?


「このところ我が主人がとてもとてもこき使ってくるんですよ。未来の妻のために環境を整えるためだって張り切っておられるので」


「まあ、素敵なことですね」


 どうやら王太子殿下はフィライラ・ディルネさまのことを大事に思っておられるらしい。

 政略結婚だから……というのは大前提ですが、それでもやはり上の人たちがギスギスしていたらやりづらいですからね!

 将来的なことを考えたら、仲良くしていただいた方が王家の今後も安心というものです。


(まあ、あの陛下のことだからあと何十年もいけそうですけど)


 いや待て?

 プリメラさまが結婚したら早々に王太子殿下に玉座を譲って隠居、バウム家にちょくちょく遊びに行く……なんて未来もあるかもしれません。

 だってプリメラさま溺愛ですからね! 陛下!!


(わあ……そんな未来がきたらディーン・デインさまがストレスで大変なことになりそうだなあ)


 そして、そんなディーン・デインさまを見てプリメラさまが陛下をお叱りになるまでがワンセットですね……ふふ、微笑ましい。


「そうですねえ、とあるご令息がウィナー男爵令嬢に治療されて恋心を抱いた、なんて話はいかがですかねえ」


「……あら、その話はどこかで聞きましたね。でも彼女には婚約者がいるのですし、あまりこうして話題にするべきではないのでは?」


「ええ、ええ、わかりますとも。ただそのご令息が他国との繋がりもあってフィライラ・ディルネさまともご縁があるのだとか。それで今度開かれるお茶会にウィナー男爵令嬢も誘われるというもっぱらの話ですよ」


 なるほど、フィライラ・ディルネさまもこの国の社交界に馴染むために社交を重ねなければならず、プリメラさまの誕生日パーティーでも仲睦まじいお姿を見せているので、正式に結婚する前にお立場を盤石なものにするためでしょう。

 高位貴族令嬢たちの茶会にはすでに幾度か足を運ばれているという話を耳に致しましたが、今度は彼女が招く側になったと。


 ただまあ、例の……どなたかは存じませんが、アルダールに仲介をお願いしたという人がまさかのフィライラ・ディルネさまに繋がりがあるとは思いもよりませんでしたけど。


 というか、今更ですがアルダールに仲介を求めるってのも変な話ですよね。

 確かにリジル商会に対しては貸しがありますけど、それと婚約については……ねえ。


 私がその人なら、まずは婚約者との関係を調べて同じ商人であるタルボットさんに協力をお願いするところですが……まあ、いろいろ横の繋がりってありますし、そう簡単な話じゃないのでしょう。


(茶会、茶会か……)


 未来の王太子妃が開く茶会なら、王太子殿下の妹であるプリメラさまを招待するのはまあ目に見えてますよね。

 妹姫とも仲良くしているっていうのを周囲に知らしめるのは、社交界にとってプラス要因ですから。


「……当日が楽しみですね」


 果たして、ミュリエッタさんとそのミュリエッタさんに恋するという男性は、フィライラ・ディルネさまのお茶会に参加できるのか。

 ハンスさんたちが動いているなら、何も起きずに終わる気がしますけどね!

胡散臭いを連呼しながらもなんだかんだニコラスに対して一目置いている主人公……

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