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「まあ簡単にまとめると、ウィナー嬢とお付き合いしたいっていう奇特な人がいてね」


「え?」


「リジル商会は大商会とはいえ平民は平民。自分は貴族だし話し合いでどうにかできるかもしれないが、まずもって取り合ってもらえず話し合いの席にすら着いてもらえない。とある筋から聞いた話で私がリジル商会に恩を売ったことがあるということを小耳に挟んだから――」


「……今後ミスルトゥ子爵家に対して社交界で便宜を図るから、間を取り持て、ですか……」


「まあまとめるとそんな感じ」


「ばっっっ……」


 かじゃねえの!

 と叫びたくなるのを必死で堪えました。


 どこの誰だめんどくさいことすんなまずもって貴族との話し合いを拒否できるってことで察しなさいよこの婚約は国が後押ししてんだよオ!


 脳内で一通り荒ぶりつつも表面上は冷静に。

 侍女スキル、今日もお役立ちです。


 とはいえアルダールも私の言いたいことや考えていることなどお見通しなのでしょう、苦笑しながら疲れたようにワインを呷りました。

 普段はゆったりと飲んでリラックスしたがる人なのにこの行動は珍しいです。


 ということは相当食い下がられて面倒な思いをしたんですね……!!


「お疲れさま、アルダール」


「うん。まあちょっと厄介な立場の方だったのでね。まあどこのとは言わないけれど、高位貴族の三男で……遅くにできた子な上に跡取りではないからと甘やかされて育ったらしい」


「まあ」


 よく聞くヤツですね!

 あんまり聞きたくないヤツですけど!!


 跡取りは厳しく育てなきゃって思考から次男、三男と甘やかす傾向にある人たちがいるってのは私も知っています。

 以前私たちに絡んできたフィッシャー男爵とかと同じような……ね。


 勿論、みんながみんなそうではありませんよ!

 むしろそうでない人たちが大半ですけどね……それでも全員が全員人格者じゃありませんから……。

 世の中人格者だらけだったら争いも起きず平和な気もしますが、それはそれで息苦しそうだな……なんてちょっぴり思ったりなんかもします。


「どうやら今日もリジル商会に行って会えなかったようでね。花束はユリアにあげると言われたんだ。まあ花に罪はないから受け取っておけとハンスにも言われて……近くの侍女に渡すのもまた変な話だし、帰り際だったからそのまま……ね」


「そう……まあ、花に罪はないものね……」


「ハンスを通じてその親や隊長に働きかけた。だからもう私には接触してこないと思う。親御さんは良識ある人たちだから問題ないんだけどね……息子に甘いってところを除けば……」


「どこの誰かは聞かない方がいいのね?」


「さすがに王女宮には行かないだろう。……とはいえ、こちらもセバスチャンさんに話を通しておいたから、ユリアは心配しなくていいよ」


 わあ、私の婚約者ったら有能すぎません……?

 しかしミュリエッタさんも『好きじゃない人と婚約させられた!』ってだけでストレスマッハだったのに、好きでもない人にしつこくつきまとわれるとか……彼女、今年厄年かなんかなんでしょうかね……? 

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