表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生しまして、現在は侍女でございます。  作者: 玉響なつめ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

595/647

592

 あ~~~~~~~~~~~~可愛い~~~~~~~!!

 試着をなさったところも拝見しておりますし、我ら王女宮の総力を挙げてプリメラさまが最高に輝ける一日を送れるようにと日々お手入れも頑張ってきた結果がここに!

 

 元より大天使としてそのお心の美しさが表に出ていたプリメラさまですが、今日の美しさは! 神がかっておられますとも!!


 輝く金の髪にはオレンジの薔薇を模した髪飾りと真珠を飾り、ドレスは白を基調としたレースの下に淡い色合いが見えるというふんわりと可愛らしくもありながら清楚かつその華奢さも相俟って儚さもありつつ、年頃の少女としての溌剌(はつらつ)とした雰囲気に加えて以前よりも成長したそのお姿は王女としての気品に満ち溢れ輝くばかりです。


 女の子の一年という成長は、なんとあっという間なのでしょう。

 昨年は天使や花の妖精かと見まごうばかりでしたが、今年はもう……女神降臨なのでは?

 年々輝きを増すプリメラさまのその目映いお姿に、感動を禁じ得ません。


(あっ、こっちに気がついた!)


 ふわっと微笑みを浮かべるプリメラさまに心の中で大きく手を振り返しつつ、私はただただ感無量です。


(昨年はまだ仮面があったからお化粧も控えめだったけれど、今年はばっちりアイメイクもして……メイナ、また腕を上げたわね……!!)


 プリメラさまが元々素晴らしいってのは大前提ですが、メイナのお化粧の技術、スカーレットの髪結いといった積み重ねが今の輝きとなっているのです。

 なんと誇らしいことでしょう!


(私が最後まで携われなかったことが悔やまれる……!!)


 ああでも安心して仕事を託せるまでに成長した後輩たちに対するこの喜びも味わえたのだからどちらがいいなんて選べません。

 上司としても先輩としても、誇らしいの一言ですよ!!


「……ユリア嬢の視界にお前はまるで入っていないみたいだけど、大丈夫か?」


「隣は私の指定席ですから大丈夫ですよ、先輩」


「ちょ、何仰ってるんです!?」


 小声でぼそぼそとキース・レッスさまとアルダールが変なことを言っているからつい突っ込んでしまいましたが、私は小さく咳払いして他の人々と同じように王族の皆さまが所定の位置についたのを見計らってから頭を下げました。


 これは一つの決まりごとみたいなもので、入場の際は頭を下げる必要はありませんが所定の位置についてからご挨拶をいただき許しを得て頭を上げるといった儀礼的なものですね。

 なんで所定の位置につくまでなのかとか、過去には細やかな理由もあったのでしょうが……今となっては特にそれを記されたり伝えられることもなく、ただなんとなく有事があった時には近くの貴族が肉盾になれるよう周囲をお互いに監視しろよってことなのかなって侍女たちの間ではそんなことが語られているのです。


 騎士隊とかだとまた違う話かもしれませんね!

 アルダールはそういうのに興味がなさそうなので、聞くならキース・レッスさまかハンスさんですかね……。


 国王陛下のお言葉の後には……そう!

 待ちに待った、プリメラさまへのお祝いと共に婚約発表なのですからね!!


「皆の者、顔を上げよ。今日は第一王女プリメラのために集まってくれたことをまずは感謝しよう」


 陛下のそのお言葉に、私たちはみんな顔を上げます。

 壇上では誰よりもニッコニコの陛下が傍らに立つプリメラさまの肩を抱きつつ、祝辞を述べられました。


 ありがたいお言葉を右から左に聞き流して……なんてことはいたしませんが、まあ要約すると『うちの可愛い娘が健やかに成長して亡き妻の面影もありつつ自分と似ているところを見つける度にデレデレしちゃうけど親なんてそんなもんだよね』って感じの内容ですね。

 若干、後方で王太后さまが遠い目をしていらっしゃる気がしますが気のせいでしょうかそうであってほしいですね……!


「そして我が娘プリメラは今日の良き日を機会に、これより本格的に社交を行うこととする。また同時に皆に伝えたいことがある」


 陛下はそこで言葉を切り、会場全体を見回すようにして微笑みを浮かべました。

 なんとなく強張っていたのは気のせいですよね。うん。


「バウム伯爵家のディーン・デインを我が娘プリメラの婚約者として正式に認めることと相成った。この喜ばしい発表を今日、この場で諸君らと分かち合えることを余も嬉しく思う!」


 陛下のお言葉に、ディーン・デインさまが人々の前に進み出ました。

 そして膝をつき頭を下げるその姿を、みんな、ただ見守るしかできないのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらもよろしくお願いします!

魔法使いの名付け親完結済
天涯孤独になったと思ったら、名付け親だと名乗る魔法使いが現れた。
魔法使いに吸血鬼、果てには片思いの彼まで実はあやかしで……!?

悪役令嬢、拾いました!~しかも可愛いので、妹として大事にしたいと思います~完結済
転生者である主人公が拾ったのは、前世見た漫画の『悪役令嬢』だった……!?
しかし、その悪役令嬢はまったくもって可愛くって仕方がないので、全力で甘やかしたいと思います!

あなたと、恋がしたいです。完結済
現代恋愛、高校生男児のちょっと不思議な恋模様。
優しい気持ちになれる作品を目指しております!

ゴブリンさんは助けて欲しい!完結済

最弱モンスターがまさかの男前!? 濃ゆいキャラが当たり前!?
ファンタジーコメディです。
― 新着の感想 ―
プリメラさま愛が溢れかえるユリアさんにはもう慣れきっているアルダールさんww ディーンくんがやっとプリメラさまの正式な婚約者に!おめでとう!
めでたい!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ