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転生しまして、現在は侍女でございます。  作者: 玉響なつめ


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「さてと、これで婚約式の準備は粗方終わったし……あとは日取りかあ」


 アルダールのお師匠さまの件がはっきりしてから婚約式を執り行う……といっても身内だけですからね。

 とはいえその日に神殿で誓いを立てるために神父さまに時間を取っていただくわけですし、貴族の式ともなると思い立ったが吉日! ってわけにはいかないので事前に予約を取ってお布施を用意しその教会がある土地の貴族にも連絡とお礼状とお礼の品を届けて……ああ面倒くさい!


 ただの騎士爵や貴族籍にあるってだけならそうではありませんが、爵位持ちには国から手当が出ることもあってそういう部分で使わないといけないルールがあってですね。

 明文化されているわけではないですが、今後の付き合いとか周囲の目を考えるとしっかりやっておかなくちゃいけないこの部分……お義母さまに教わりつつ、きちんと準備をいたしましたとも!


「ギルデロックからは連絡がまだない。師匠は気まぐれなところもあるから、狩りをしたからといってすぐにこちらに来るのではないかもしれない」


 おや、と思いました。

 アルダールったらすっかりギルデロック呼びが定着しましたね。

 以前もそうやって呼び捨てにしていることが幾度かありましたが、基本的に少し距離感のある雰囲気でしたが……思うところでもあったのでしょうか、少し親しくなれたのでしょうか。


 まあちょくちょく付き合うには暑苦しい相手ではありますが、悪い人じゃありませんからね……脳筋なだけで。

 ええ、脳筋なだけで。

 ちょっとばかり手合わせを未だに諦めていないところが厄介ではありますが、基本的には今後もお付き合いしていけるのではないでしょうか?


 それはともかく、お師匠さまの件は確かに気になるところ。

 剣聖としての立場を隠さず、むしろどんどん宣伝してくれってタイプの方らしいのでどこに出没した、何をしていたっていうのは割と見かけた人たちの間ですぐ話題になるらしいのですが……やはり〝狩りに出た〟あたりからぷつりとその目撃情報が途絶え、今はバルムンク公爵家の騎士が行方を追っている最中なのだそうです。


 最初は人をつけていたようですが、途中で置いてけぼりを食らったそうで……たるんでいるから鍛え直す、と脳筋公爵からのお手紙にはあったようでした。


 私にはわかりませんが、剣聖ともなれば並の騎士では追いつけないものなのかもしれません。

 

「でも獲物を狩ったのなら、その処理があるのだからすぐに持ってくるのでは?」


「大物を獲った場合、それを見せるというのも一つのパフォーマンスにはなるだろうけれど……師匠のように単独で行動をする人からすれば、ただ荷物が大きくて邪魔なだけだからね。獲物から出る素材と引き換えに解体や運搬しやすい形に変えて配達を頼むのが一般的だと思うよ」


「そうなのね」


 確かにメッタボンもそんなこと言ってました!

 そしてその素材があれこれいろんなものになってまたお金が回るんだって聞いてすごいなあと月並みな感想を抱いたものですよ!

 もっとないのかって、ありませんよそんなの。

 凄いなとは思いますけど……モンスターってあの小型? って言われていた飛ぶヤツですら火を噴いて襲いかかってくるだけでも恐ろしいんだからそりゃ高額で素材も取引されるでしょうよってくらいの気持ちです。


 いやあ、退治に奔走してくれる軍や冒険者の方々にはつくづく頭が下がる思いです。


(でもちょっとモンスターのお肉には興味があるのよねえ)


 美味しいってあのメッタボンが太鼓判を押してくれたんだもの、相当なものでは!?

 もしお師匠さまがくださるモンスターが食肉に適しているようであれば、是非プリメラさまにも召し上がっていただきたいなあなんて思っておりますよ。


「アルダールの誕生日が来るより前には婚約式をしたいわねえ」


「……私としてはもう婚約者だから焦るつもりはないし、園遊会の後でもいいかなと思っているんだけど」


「それだと遅いって陛下から怒られてしまいそう!」


 アルダールは割とロマンチストなところがあるから、きっと私たちが恋人同士になった日に婚約式を迎えたいんだろうなとは思います。

 でもあえてそこには触れませんよ!

 恥ずかしいですからね!!


 まあ私としてはアルダールの誕生日を昨年は祝えなかったので、今年はしっかり祝いたいのです。

 その日はプリメラさまの誕生日、つまり生誕祭で開かれるパーティーの前なので王女宮を率いる立場としては少々慌ただしくはあるのですが、できたらそのパーティーに私も貴族令嬢として参加したいなと思っております。


 その際、婚約者として認められているとはいえ、貴族社会では婚約式をしてこそ認められるものでもありますから……堂々とね、アルダールの婚約者として指輪を見せびらかしたいなって! 野望が! あるんですよ!!


(きっとプリメラさまも、ディーン・デインさまも公の場に私たちが出向くことを喜んでくださるでしょうし……)


 それに伴いドレスと社交について改めて考えなくちゃいけないわけですが、それはそれ、これはこれ!

 いいじゃないですかそのくらい楽しみがなくちゃやってられませんよこの強行軍!!


「婚約式を終えればナシャンダ侯爵領に行っても大丈夫かしら」


「……式を終えれば一つの節目だし、挨拶回りだと言えば周りも納得するだろうさ」


 婚約したらあれをしようこれをしよう、そうアルダールと話していたことの一つにナシャンダ侯爵さまにご挨拶、というものがあります。

 勿論この家を格安でお譲りいただいたことも、マーニャさんとカルムさんのご夫妻と縁を繋いでいただいたこともそうですが、これまでもこれからも仲良くしてくださったら嬉しいお相手ですもの!


 あの薔薇の庭をアルダールと散策したいっていう気持ちもありますけども。


 ただ、どうしてもオリビアさまの義父ということもあって王家と外戚関係にあるナシャンダ侯爵さまと、そして国王陛下が直に指名したアルダールが親しくする……というのはナシャンダ侯爵家は一歩引いた中立ではなく、政治に口出しをするために国王がアルダールを使って何かを考えているのでは!?

 なーんて噂がまことしやかに囁かれちゃいまして。

 それもこれもちょっと前にいろいろと(・・・・・)あの国王陛下が私たちの婚約を認めた勲章の授賞式前後で粛正っぽいことが裏で行われていた諸々のせいで貴族たちが神経質になっているんですよね……。


 私がナシャンダ侯爵さまと親しくしているということもあってプリメラさまを通じてバウム家が……! とか言っている人たちが一定数いることはすでに知っておりましたが、国王陛下がナシャンダ侯爵さまを引きずり出すってなんだそれって話なんですけども……。


 ただ穏やかに薔薇を愛でていたいナシャンダ侯爵さまからするととっても迷惑な話だってことで、今はちょっとおとなしくしておこうかって感じなんですよね。

 うーん……本当に困ったものです。


(プリメラさまも行きたいって仰ってたけど陛下がお許しくださるかどうかなんだよなあ、生誕祭の折にはナシャンダ侯爵さまも来てくださるとは思うけれど……)


 公の場ではなく私的に会うのも難しいとか、本当に面倒です。

 とはいえビアンカさまにご相談してみるってのも手ではあるんですが……。


「ある程度めどは立ったし、結婚式までの間にしたいこととかまとめておく?」


「とはいえ夏は王女殿下の誕生祭、秋には園遊会とくるからね……そういったことを片付けた新年祭の後に結婚式だろう?」


「そうなるわよねえ」


 うーん、予定が詰まってるなあ!!

 いえ、充実したラインナップだと思いますよ。うん。


 婚約式と結婚式に向けて、肌荒れしないように睡眠と栄養はしっかり取ることにしましょう。

 

 ……ヘチマパックでも今から始めたらいいんですかね……?

 前世の記憶よ、今こそ美容知識を……って持ってませんでした。とほほ。

年内最後の転生侍女の更新ですが、来年も毎週水曜日の0時に更新です。

今年も一年ありがとうございました。

進みが遅々としたものでモヤモヤしている方もいらっしゃるかもしれませんが、穏やかな日常パートだと思って楽しんでいただければ幸いです。


また来年3月には書籍版の11巻も発売となります。

プロポーズのあれやこれやの巻ですので、是非お手にとっていただけたら幸いです!

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[一言] アルダールとの会話、この辺りずっと「予定確認」みたいな事務的?なの多くてどんな会話してたか頭に残らないんですけど。 ユリアが脳内で1人で喋ってる、脳筋伯爵と仲良くなったんですか、とか生誕祭…
[一言] アルダールさんが脳筋公爵を面倒くさい知人から友達認定したよギルデロック良かったね!でもこれで他国の公爵との親交が深まったと周囲の貴族がまた変な勘ぐりしそう。 ナシャンダ侯爵領に行く話がないの…
[一言] 大変失礼ながらこのカップルに対し「警戒」する貴族のことは馬鹿には出来ないですよねぇ…。 隣国の公爵もお友達確定かぁ…。 王女とはほぼ身内、王弟には妹扱い、その他王族との覚えもだいぶめでたく、…
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