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「まあぶっちゃけ舐められてンだな、そりゃ」
「歯に衣着せない物言いどうも」
言われんでもわかってますよ、わかってますって。
呆れながらもその物言いこそが王弟殿下だなあとどこか安心してしまうこの悲しさよ!
いえ、こういう言い合いができるのが楽しいんですけどね。
「……いくら陛下にお認めいただいたとしても、諸貴族たちの中で私たちに対しての印象は庶子と弱小子爵家の令嬢、そして与えられる爵位も子爵。いきなり意識改革は無理でしょうからね」
「まあそうだな。だがまあ表立って文句を言わないだけまだマシってやつだろうさ。ただアルダールの愛人に納まろうとか、それ狙いでお前ンちの使用人になろうとしている連中はともかく……そうだな、脅迫の類いに関しちゃ婚約祝いってことで俺の方でなんとかしといてやろーか」
「なんとかできるんですか」
「そりゃお前……俺をなんだと思ってんだ?」
「頼りになる王弟殿下ですね」
わぁお、いきなり解決しちゃった☆
さすが権力者は言うことが違いますね。
まあ、実のところそれを期待していたっていう面も否めませんので……はい。
「とはいえアルダールにはまだ何も言っていないので、ご相談した旨はきちんと話しておきたいと思います」
「おう、そうしろそうしろ。アイツの立場もあるだろうからな、近衛騎士隊側にも一応話は通しておいてやる」
「ありがとうございます」
「しかしアルダールじゃなくてお前に脅迫ってあたりが見当違いも甚だしくて笑っちまうなあ」
「あら、私の方が弱者ですから」
にっこりと笑ってみせれば王弟殿下も笑いました。
ええ、弱者ですけど何か?
物理的には、ですがね。
「お前の人脈考えたらそっちの方が厄介極まりねえってわかってんだから、抱き込む方が早いだろうに。まあそれはそれで難易度高ぇけど」
「私の愛人に……というお手紙もありましたが」
「おっ、どうだ? 好みのやついたか?」
「止めてくださいよ、面倒くさいんですから」
「ははっ、ちったぁモテる側の苦労ってのもわかるようになったろう」
「それとこれとは違う気もしますが……ええ、なんとなくは」
前世も今世も、私はモテ期なんてものはなかった。
アルダールと会ってからは一応モテ期……? っていうのはあったけど。
(いや、あれはないな。脳筋公爵のプロポーズは恋愛感情じゃないし)
脳裏に浮かんだのは脳筋公爵の高笑いでしたね。
いやあ、あれはないわ。あれはカウントしちゃダメでしょう。
あれは義務と責任だった。うん。
そういう意味では実際にモテたのはアルダールだけというオチじゃなかろうか……?
(あれ、初めての恋から自分にとって最大の大物が釣れた感……?)
まあそれはともかくとして!
確かにモテるってのは大変だってのはよく聞く話ですよね。
前世でも部署の先輩に超モッテモテの美女がいて、この人が彼氏いるのに毎日どっかからかラブレターとかもらっちゃってうんざりしていたのを思い出しますよ。
今世では……まあなんとなく噂話で『どこそこのご令嬢が毎日のように贈り物をされて困っている』だとか『お断りしてもしつこくて難儀をしているお嬢様がいらっしゃる』だとか、そんな感じのことを耳にはしましたね。
残念ながらそこまで親しく互いのコイバナしちゃう相手はいませんでしたので……。
ビアンカさまはもう親しくなった頃には既婚者でしたからね!
あ、でもあの方は常にモテていそうですが……宰相閣下を出し抜いてビアンカさまに言い寄ろうなんて強者がいるとは思えないので、やはり参考にはならないかな……。
(あのお二人はそもそも幼少期からの婚約者だって話だったしね)
そもそも前提が違うか。いやモテるのはまた別の話なのか?
まあそんなことはどうでもいい。
確かに今ある意味で私はモテ期なんだろう。
私っていう人間ではなくその付加価値に対してだけどな!
「……それにしても愛人候補に名乗りを上げた方って、そういえば私は名前すら知らない方々だったんですが」
「うん?」
「自分がアルダールよりどこかしら優れていると思ったから私の愛人に立候補したんですよねえ」
「……ああ、うん。まあそうなるか?」
私の言葉に王弟殿下も首を傾げる。
だってそうでしょう、要するに『夫に不満があるだろうからそのスキマを埋めて差し上げます』的な立場で名乗りを上げているんですから。
私からの愛情を受け取って何かしらの旨みをゲット! ってするんだからそれはつまり夫(予定)よりも何かしら上でないとアピールにならないと思うんですよね。
そもそもアルダールと私は恋愛結婚になるわけですし、愛のない結婚で寂しい思いを……っていうのは見当違いも甚だしい。
政略的な物って噂は流れていますが、王城内ではもうそんな話消えてなくなってますしね。
そりゃ婚約する前から城内であれだけデートしていれば消えるのは当然でしょう。
アルダールによる囲い込み作戦(?)のおかげで夜に私の私室に向かうアルダールの姿を見られたりなんかしちゃってればそりゃ『あれ? 上辺だけの恋人じゃなかった……?』ってなる上にどうやらハンスさんや近衛騎士の方々が『あいつらラブラブなんだよね!』的な感じであちこちに話をしてくれたらしく、いつのまにか生温い視線を向けられるように……。
ありがたいが大変恥ずかしいです。はい。
「おいユリア、そいつらからの手紙ないのかよ? 俺がチェックしてきてやるからさ」
「笑いものにしたいだけですよね?」
「いやあ、どんなツラ下げてそいつら物を言って来てるのか気になるじゃねえか」
アルダールよりも私に愛情を注ぐ?
まあ無理ですよね、自分で言うのも何ですが、私は溺愛されていると思うんですよ。
さすがに自覚は最近できておりますので……。
アルダールよりも顔がいい。
これは……まあいなくもないと思いますが、それでもあのイケメン中のイケメンであるアルダールを見ていたら、私の目が相当肥えているってことを理解していただきたい。
アルダールより稼ぎがいい。
愛人なんかしてないで暮らしていけるだろう(真理)。
近衛騎士のお給料も相当いいですし、私も彼も散財癖は今のところないのでお金をちらつかされてもなあ……って感じです。
後は何かある?
アルダールより強い? さすがにこれは無理がありますね!
「まあ、そちらに関しては、アルダールに直接相談いたしますので」
「……お前ひどいやつだな?」
「あらそうでしょうか」
楽しそうに笑いながら言うことですかね!
でもまあ、私としてはこれが最適解だと思うんですよ。
なんにも相談しなかったら、アルダールだっていやでしょう?
私だって何も言われないのはやっぱり癪ですからね。
できるできないはともかく、あったことや対処については二人で話し合う必要があると私は考えています。
だって夫婦って、そういうものだと思うので。
いやまあ私の理想論ですけど!
祝500話!°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°




