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転生しまして、現在は侍女でございます。  作者: 玉響なつめ


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書籍版「転生しまして、現在は侍女でございます。」8巻が7/12発売となります。

いつも応援してくださるみなさんのおかげです、ありがとうございます!!

 ビアンカさまとのお茶の翌日、私は昼食を共にした際にアルダールにそのことを話しました。

 どうやらアルダールは私が覚えているだろうという前提で、お互いに表彰式に参加するので、懇談会の前に部屋に迎えに行けばいいと思っていたそうで……。


 いやまあ、普通はそうだよね……。

 式が終わってそれぞれ自分の支度を調えて、各自パートナーと落ち合って会場へ向かう段取りですもんね!


 今まで女性で表彰式に参加した人ってのがいないですが、パートナーの待機場所ってのは王城に限ったことではないのでそこそこ時間がとられています。

 貴族でしたら町屋敷を借りていることも多いですから、そちらの方が待機する方々も安心でしょうし……王城でも一応待機は出来ますが、そちらには高位貴族の奥方たちがいると思うと気も休まらない人だっているはずです。

 

 更に言えば、平民の身分で表彰される人の家族は貴族と一緒の空間ってだけで萎縮しちゃう方もいるそうですのでね。

 そういう方々のために支度金が準備されています。

 そこから衣装や城下町での宿代なんかにしてもらうわけです。といっても指定の店になりますが……当然ですが、代金は国が持つんですから結構いいところのお店ですよ?

 そちらを利用すると王城に請求書が届くって手筈です。


 便利でしょう?

 まあこれ、どんだけ散財したのかチェックは勿論されているので、表彰されたからってはっちゃけた人には今後厳しい目が向けられるってなもんですけどね……。


「そうか、ドレスとアクセサリーを新しく贈っても良かったんだなあ」


「アルダール!?」


「まあそれは次回の楽しみにしておくよ」


「……は、はあ……」


 まあそれはともかく、ドレスとアクセサリーをビアンカさまが用意して下さることになった、という話をしたらアルダールがそんなことを言い出すからびっくりするわ。

 

(おいおい、私もらってばっかりですけど……? どうお返ししろって……?)

 

 何言い出してんだこの人……と思いましたが婚約者に対してドレスやらアクセサリーをプレゼントするのは一般的なので、アルダールの発言はおかしなものではありません。

 ただ私が正式な婚約者とはまだ言えないことと、私自身がそこまで着飾るものに対して欲がないことを知っているから今回は見送ろうと思っていたんだそうです。


 なんでしょう、私だけ貴族としてこれでいいのかという案件発生な気がします。


(もうね、全部侍女服で参加したらだめなのかしら。仕事の正装よ? ……いやわかってますよだめですよね!!)


 筆頭侍女としての制服だから良いものには間違いないんですけど場違いですね! はい!!


「それで、どんなドレスなのかは私もまだ知らないの。当日、お互いにびっくりするわねきっと」


「はは、それは楽しみだなあ。……それじゃ、午後も頑張って」


「ええ、アルダールも」


「送っていけないけど大丈夫?」


「大丈夫よ、すぐそこだもの」


「何かあったらすぐそこいらにいる衛兵を頼るんだよ」


「はいはい」


 一緒に昼食をとって、それからそれぞれ職場へと別れる。

 うーん、なんというリア充!


 若干アルダールの過保護が爆発しているような気もしますが、どうやら私を口説こうという人もいるようですし……婚約者としては気分の良いものではないってことくらいわかるので、私もあまり言わないようにしています。


 なんせ、一応っていうか口説かれた? ことはあったので。

 正確には『噂と違わず真面目そうだから妻にはもってこいだ、どうだろう』的な……一応、これは口説かれるにカウントしていいと思います。

 まあ勿論お断りしましたけどね!


 婚約内定してますとお断りしたことも含めてアルダールには報告済みです。

 その話をしてきた男性はショックを受けてしょげながら去って行ったので、若干申し訳ない気持ちにはなりましたが……。


(まあもしアルダールとお付き合いをしていない状態だったとしても、多分私はオッケーとは言わないなあ)


 地方領主の妻として働けって言われるより、プリメラさまのお傍に仕えていた方が何千倍も楽しいと思いますからね!!

 

 ただまあ、今回はあっさりと引いてくださったからいいものの、食い下がるような人がいては迷惑です。

 朝っぱらから外宮の廊下で口説かれても迷惑ですけど。

 なので、こういったことが起きないようにするため各所で衛兵の数を増やしてもらえることになりました。


 なんせ私を口説こうって人以外にも、今回の表彰式に参加するため来ている方々が城内の侍女や女性職員に声をかける事例が増えているんですって。

 何やってんだ? 王城は婚活の場と違いますけど?


 まあこれはスカーレットから聞いた話ではあるんですが、地方貴族の男性って王城、もしくは王都で働いている女性と結婚するのが一種のステータスに思っているらしいんですよね。

 私もあまり理解できませんでしたが、スカーレットは『別に結婚したら同じなのに失礼ですわ!』ってめっちゃくちゃ怒ってました。

 

 折角エイリップ・カリアンさま問題も消えたし、ミュリエッタさんの問題? も一応今後関与しなくても良いと言われているしで城内は前のように平穏な日々なのです。

 それを乱さないでいただきたいものですよね!!


 普段の王城で真面目に働けること、それが一番なんですよ。

 平穏、大事。


 勿論、だからといって暇ってわけでもないですよ?

 プリメラさまの公務が増えることによって成長に伴うだけでなく衣装やらアクセサリー、公務先の情報収集、接待する相手について調べるなど忙しさも増してはいます。

 でも今や王女宮は私とセバスチャンさんだけではなく、頼りになる後輩たちもいますし……王女騎士団の団員もいるのです。


 全てが良い方向に向かっていると思えば、足取りも軽くなるというもの。

 私は侍女としての仕事に邁進できるし、表彰式に参加するくらい評価があるんだから今年のボーナスだって期待できるわけですよ。

 ってことは、結婚に向けて新しい家具なんかもちょっとくらいは奮発したっていいと思いませんか! 思いますよね!!


(取らぬ狸の皮算用、なんてことにならないように気をつけないと)


 こういうのはやっぱりジェンダ商会に問い合わせた方が良い家具屋とかを紹介してもらえる気がします。

 リジル商会でもいいんですけど、高級家具とか「お安くしますよ?」ってあの笑顔で迫られたらと思うと胃がね……。


(さてと、今日はプリメラさまの夏に向けての衣装の素材を決めるんだったっけ……)


 まだ春ですけどね、夏素材について新しい生地も出てきたし採寸前にいくつかサンプルが届く予定となっております。

 本来なら業者をそのまま宮に迎え入れて生地を見ながらあれこれとデザインやら何やらお話をするのですが、国王陛下があまりプリメラさまが疲れてはならないということで事前に私がサンプルチェックをですね……まったく過保護か!

 いや、過保護だったわ。


(……そういえば表彰式が済んだら、みんなでナシャンダ領にも行くのよね)


 きっとプリメラさまはそちらも楽しみにしていらっしゃるので、その分のドレスも今から作れないか相談しましょう。

 持っているもので良いとプリメラさまは仰いましたが、当日はディーン・デインさまも是非と侯爵さまは仰っているらしいですもの。

 可愛い装いでお会いしたいでしょうからね! 張り切っちゃいますよ!!


 しかし問題は、来週に控えた表彰式。

 まずはそれをきっちりとこなしたいと思います。


(気合いを! 入れねば!!)


 私は人知れず、自分の執務室で気合いを入れるのでした。


表彰式が始まりますが、なるべくさくさくいけるよう頑張ります°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°

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[一言] 〉地方貴族の男性って王都、もしくは王都で働いている女性と 「王都、もしくは王都で」のところ、前者は「王宮」又は「王城」の間違いでしょうか?
[一言] >表彰式が始まりますが、なるべくさくさくいけるよう え?  え?   え? イベントはサクっと終わらせないで! m(_ _)m
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