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転生しまして、現在は侍女でございます。  作者: 玉響なつめ


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 それから私はセバスチャンさん経由でニコラスさんに連絡をしてもらい、その日のうちにお返事をいただきました。

 まあ、本人が直接来て報告してくれたわけですが……。

 

 会わないで済ませたいからセバスチャンさん経由にしたんですけど!?


 笑顔はしっかり維持しましたが、きっと私のそんな心はあちらに筒抜けだったのでしょうね。

 ニコラスさんはとても楽しそうに笑っていましたよ!


 で、まあ彼曰く〝気にしなくていい〟とのことでした。

 

 一応、ご令嬢たちが親切を装って話を聞いてあげて愚痴を言ったら広められた被害者という扱いになるそうで……。

 問題(?)になったご令嬢たちは社交界側でなんとか(・・・・)するそうです。


 え、何それこっわ……。


 その流れで〝ミュリエッタさんを担当した家庭教師を通じて注意をした〟ということで、結局そんな感じで収めるんだそうです。

 まあそんなこと言っても結局家庭教師イコールで公爵家……宰相閣下が後ろに見えてますけども。


(……家庭教師はあくまで教え子が不利になるから教えたってことになっていれば誰も悪くないですもんね)


 建前だけで見れば、ミュリエッタさんの失言を家庭教師から、ご令嬢方はご家族が……ということで落ち着いたのでしょう。

 まあ、今までのやらかしを考えたら可愛いモノなのか?

 一応タルボット商会が彼女の後見役のような立場であることから、あちらからも彼女は何かしら注意があるのか、それともこれもミュリエッタさんを大人しくさせるためにあれこれ画策されたことなのか……真相はわかりません。

 

 いや、わからない方がいいんでしょうね!

 とりあえず私はこれからも彼女に関してはノータッチ、そういうことで。

 あちらから関わってきたら今回のように知らせておしまい……だそうです。


(助かるけど、なんだかなあ)


 巻き込んでおいて蚊帳の外っていう雰囲気は相変わらずですよね。

 最近は負担がないようにと配慮はされている……ようですけど。


 気にしすぎてもしょうがないってわかっちゃいますけどね!

 でも配慮してくれるんだったら完全シャットアウトくらいのことをしてくれよと思わなくもないんですよ、これが!!


 中途半端に聞こえてくる話が私に関係しているとか、どうなのよ?


「ユリアさん、手が止まっておりますぞ」


「……セバスチャンさん」


「先ほどまでニコラスが来ていた件ですかな?」


「ええ、まあ……」


 いけない、日誌を書いている途中でため息ばかり。


 実はニコラスさんと入れ違いに実家から手紙が届き、アルダールと私の婚約についての話し合いをする日が決まったとの連絡がありました。

 その件でスケジュールを調整するためにセバスチャンさんにも来ていただいて日誌を書きながら他の書類などをまとめていたのですが、ついイラッとして……。


 小さなストレスの積み重ねって総じて大きなストレスだってことを上の人たちはご理解いただきたいモノです!


(だからってそれを言い訳にしちゃいけないわよね)


 大人として、責任ある立場にいる人間として、シャキッとしなければ!

 私は気合いを入れ直して日誌を書き終え、セバスチャンさんが調整してくれたスケジュールを確認しました。


 ミスがあるなんて思っちゃいませんが、こういうのは複数の目で確認するのが大事なんだって前世でよく先輩が言ってましたし私もそうだと思っております。


「セバスチャンさん、ありがとうございます。こちらで決定といたしましょう」


「かしこまりました」


「プリメラさまには私の方で報告をいたします。セバスチャンさんはメイナとスカーレットに説明を、それから以降の配送についてはメッタボンと手分けして行っていただいても?」


「承りました」


 配送系は私とセバスチャンさんが基本手分けして確認しているので、今はまだメイナとスカーレットには任せていません。

 王城内の配送係を信頼していないとかそういう意味ではなく、最近王女宮は注目を浴びているのか彼女たちに声をかけようとしている人たちが増えている……という話を小耳に挟みまして。

 うちのコワモテ要員を見ても怯まずあの子たちに交際を申し込めるような気概ある男性が望ましいかなと思っております!


 まあそれは冗談で、彼女たちも王城内を書類や手続きの関係で歩いているから出会いなんていくらでもあります。

 配送関係をお願いする理由は、内容物の確認ですから。

 茶葉や食品の目利きってなると、やはりセバスチャンさんとメッタボンにお願いした方が早いっていうか……。


(同席させるのも経験だけど、私がいない時にわざわざやらなくてもいいしね!)


 それぞれ得意分野があって、結構二人も目利きができるようになったと私としては思いますが……。


 基本的に王城内に配送される品で粗悪品ってのはないですが、時には不良品が交じることがあります。

 それと新規開拓としてこれまでと違う業者の品を頼んだ際は注意ですよね。


 この辺りはどこの業種でも同じなんでしょうが……。


(私も初めのうちはセバスチャンさんに厳しく教わったもんです)


 思い出すとあの日々は脳内フル回転でしたね……。

 あの頃は今以上に人がいなかったから、しっかりしないと! って思いが強かったです。


「……どうかしましたかな?」


「ああ、いえ。王女宮も賑やかになったものだと思っただけです」


「そうですなあ」


「とはいえ、王女宮が少人数での運営なのには変りませんけれどね!」


「増員は相変わらずお認めいただけないので?」


「……国王陛下がそうするようにと仰せなので……」


 そうなんですよね、相変わらず王女宮は少数精鋭ですよ!!


 私とメイナ、スカーレット、執事はセバスチャンさん、料理人としてメッタボン。

 これが王女宮専属ですからね!!


 他に働いてくれているメンツは王宮の侍女というなんとも大雑把な役職にある……まあ言っちゃえばどの宮っていうんじゃなくて、王族が暮らすエリアを担当する侍女っていう立場の人たちが人手不足の王宮内にある後宮・王子宮・王女宮の手伝いをしてくれる仕組みになっている。

 なのでその王宮の侍女たちがうちには来てくれているんだけど……。


 公式行事を含む公務も増えてきた今、もっと人員が居てくれた方がプリメラさまのお世話は勿論のこと、対外的な問題としてある程度の人数は必要だってきちんと申請は定期的に出しているんですよ、ええ。


(陛下もなんでこんな、ねえ……)


 王女宮発足したばかりの頃は、母親を亡くしたばかりの王女っていう弱い立場でもあったから、少人数でも仕方がないとは思ったことがあります。

 ですが今のプリメラさまはバウム伯爵家への降嫁がほぼ決定しているのだから、後ろ盾だってしっかりしているし……ナシャンダ侯爵さまとも交流を重ねていらっしゃる。


 そのことを考えれば!

 ってこの間も統括侍女さまに訴えてお認めいただいたんですが、肝心の国王陛下にノーと言われりゃ我々にはどうすることもできないんですよね。


(人員増やさない代わりに調度品や食料品、予算の増加が決定しましたけど。それから、ディーン・デインさまとの外出許可って……)


 そりゃプリメラさまはお喜びでしょうけど。

 ホント何考えてるかわかんないわ!


「悩ましい父親心というやつなのでしょうなあ」


「まあ、許可が下りなかった以上は今の体制のままで遣り繰りするしかありません。調度品や予算が増えたことで地方の特産品などにも注目しやすくなりましたし……プリメラさまの見識を広げていただくにも良いかもしれません」

 

「では地方の珍しい食材などについてはメッタボンに任せますかな?」


「そうですね。……そうなんですが」


 イイヨって言ったら際限なく選び出しそうなんだよなあ、メッタボン!

 前の蜂蜜を勝手に定期購入しちゃったこととかを考えると、やはり簡単には言えないですかね。


「……セバスチャンさん。彼が新しい食材を買う際は、セバスチャンさんに許可を得るようにしましょう」


「賢明な判断ですな」


 コレで心置きなく結婚についての一歩を踏み出せるってものですよ!

 まあ、やること山積みなんですけどね!!


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[良い点] ユリアが可愛いくて、ええ子なところ。 [一言] マンガから小説を読んでこちらに辿り着きました。 最新話まで楽しく読ませていただきました。 引き続きよろしくお願いします。 頑張ってください。…
[一言] 〉もっと人員が居てくれた方がプリメラさまのお世話は勿論のこと、対外的な問題としてある程度の人数は必要 「もっと人員が居てくれた方が」を受ける部分がないです(例えば「もっと人員が居てくれた方が…
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