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転生しまして、現在は侍女でございます。  作者: 玉響なつめ


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 ニコラスさんが不穏な雰囲気を出して去って行った後ですが、特に何もありませんでした。紛らわしいな、もう!!


 まあ、注意しておくに越したことはないのでいいんですけどね、ええ。

 アルダールとは話し合いについての約束が決まったからか、素直に休憩時間に逢瀬を重ねて穏やかに過ごしていますし。


(……結局ミュリエッタさんが王城に来ているかどうかとか、その辺も聞こえてこないしね)


 街中での話題はさすがに王女宮まで届きにくいですが、王城内でなにかあればどこからか聞こえてくるものです。

 それがないのですから彼女はもしかすると王城に来ていないのでしょうか?

 いえ、マナーレッスンの成果を見せるために来るという点では来ているはずなのできちんとやることやったら帰宅するとか、単純に話題に上がらないだけなのでしょう。


 マナーレッスンの成果が上々で回復魔法の使い手としても評価されたなら、きっとあの美貌も相俟ってさぞかし引く手数多となって忙しい生活になるでしょうしね。

 今の所ニコラスさんの言い方から察するに、回復魔法の使い手として名を馳せようとしているとかそんな感じなのかしら?


(うーん)


 別にそれでなにかがあったとしてもやはり私がミュリエッタさんと顔を合わせる確率って相当低いのでは?

 わざわざ私に面会を申し込んでくるとかしてこない限り、王城ですれ違うとしても彼女はなにかしらの理由があって王城に来ているのだからのんびり立ち話なんてしている暇もないだろうし。


(……ミュリエッタさんが、まだアルダールに気持ちがあると仮定して)


 いやまあ、十中八九あるんだろうけど。

 そんな簡単に諦められるんだったらあれだけ冷たくされたらとっとと心が折れると思うんだよね……ある意味あの強メンタル羨ましい。


 まあそれはともかく!


 今までの彼女は正規ヒロインという立場でごり押ししようとして失敗していた感じがある。だからストーリーよりも前に回復魔法という切り札を切って来た、と仮定しよう。

 私がプレイしていなかった隠しストーリーも多分彼女はクリアしているんだろうけど、いかんせんここが【ゲーム】と似ていて異なるっていうのはもう理解しているんじゃないのかな……?


 だとしたら今の段階でかなり人生ハードモードなんですけどね!

 まあリカバリーがきかないとは思わないので、若さも才能もあるんだから地道に頑張ってくれたらだけど。


(……もし私が、彼女の立場だったらどうするかな)


 まあ私がもし彼女の立場だったらとっくに心折れてるな!

 仮定をするベースが間違っている、なんてことでしょうか。

 

 それはともかく。


(回復魔法を使いこなして、作法をマスターしたなら確かに貴族社会ではある程度重宝されるとは思う。だけどバウム家や一部の貴族は彼女の失態を忘れないだろうから、すぐにはそこを挽回はできない)


 その上で私という恋人がいて、それもお付き合いが順調だというアルダールをどう攻略する? 突撃は下策だってのはさすがにミュリエッタさんだってわかっているなら、何かしら搦め手で来るとは思うんだけど。


(まあ妥当な線としては、私にあらぬ噂を立ててアルダールの好感度を下げた隙に付け入るのが一つ)


 まあでもこれはかなり難易度が高い。

 だって私は王女宮筆頭として品行方正を心掛けている身ですからね!


 報・連・相をきっちりしてエイリップ・カリアンさまとの件も痴話げんかと一切思わせずに済ませましたしね! 絶対あの男とそんな関係だとカケラでも思われたくない一心でもありましたが。


(そう考えれば、回復魔法の関係やお茶会に顔を出すことでよその貴族たちからミュリエッタさんがとても良い子だと言わせて地道に好感度を上げていくっていうのもあるか)


 でもそれだとものすごく地道で効果が目に見えないから大変そうだ。

 むしろそんな良い子ならって目当ての人物以外からのアプローチが増えそうだし、その方が本命の好感度下がりそう。


(……そう考えるとやっぱり何も起きないんじゃないかなあ)


 つまり私はいつも通りに過ごしていればいいってことですね!

 はい、シミュレーション終了!!


 とりあえず私の胃に直接ダメージ的なイベントは起きない。そう判断します!

 あとはプリメラさまに迷惑がかからなければ良い。そこ大事。

 普通に考えれば王族に突撃してくるなんてないでしょうし、彼女だってそこは難しいと知っている……だろうと思うので、王女宮にいれば基本安心安全!


(アルダールに突撃するとか、プレゼント攻撃するとかはあり得るのかもしれないけど)


 でも大丈夫。

 うん……大丈夫です。自分でも驚くほど、その様子を想像してみたところ動揺しませんでした。


(うん? あれ? そう考えたら私に養子縁組とかそんなこと考えなくても良かったんじゃないって思うんだけど)


 まあやらかし具合がやらかし具合って判断なんでしょう!

 色々ぼんやり考えながらも仕事はしているわけですが、一通り片づけた所で私個人に届いていた手紙にようやく目を通すことができました。


 リジル商会からの新作紅茶のご案内、ミッチェラン製菓店からの新作チョコレートのご案内。セレッセ伯爵領の布地工房からもお得意さま限定と銘打った招待状とかも来てましたね……。


 その中に、気になるものが三つありました。

 一つ目はジェンダ商会の会頭さん。どうやらこれはジェンダ商会のご案内ではなく個人的なお手紙のようです。

 二つ目はタルボット商会から新作ジュエリーのご案内。本当に送ってきやがりました。


 そして三つ目は、お義母さまからでした。

 お父さまとの連名ではありません。

 内容的には多分パーバス伯爵さまの件についてだと思いますが、お父さまと連名ではなく私に知らせてくるような何かがあったのでしょうか?


(どれから読むかな)


 少しだけ考えてから、私はタルボット商会の案内状を取りました。

 特に目立つメッセージカードなどは入っておらず、シャグラン産出の良質な宝石を用いたハイジュエリーのご案内でした。

 下の方に小さく、特別価格でご案内をいたしますのでこのカードをお持ちくださいって書かれているところにちょっと心惹かれましたが行きませんよ!

 アクセサリーは幸いにも(?)先日、侯爵さまからたくさんいただいてしまいましたからね……あと、変にミュリエッタさん絡みのことを告げられても困っちゃいますしね!!


 あれだけ悩んでいた割に、割り切ってしまえばこんなもんですよね。

 若干自分が薄情なのかなと思いますが、こういうもんなんでしょう。

 何度か年若い彼女を見放すことに、なんていうか……自己嫌悪というか、これで良いのかと思い悩むことはありましたが最近ではそれもなくなってきたような気がします。


 まあ、もし目の前で泣かれたりしたらきっと動揺してしまうんだと思いますが……そういえばそういうところは見ていません。

 むしろ(したた)かな面ばかり見ているような……。

 

 とりあえず一度は目を通したので義理は果たした! そういうことで良いでしょう。


(次はどっちにするかだけど……)


 少しだけ悩んでからジェンダ商会の会頭さんからの手紙の封を切りました。


 そこには侯爵さまからの贈り物の件がいくつか書かれていて、まだ贈り物をする気みたいだから一応こちらでも諫めてみるけどごめんねという内容でした。

 いやいやそこは頑張って!?


 私が盛大にため息を吐き出したとしても、仕方ないことです……。

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