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「転生しまして、現在は侍女でございます。」1巻

6/12に電子書籍版も発売開始です!よろしくお願いしまぁぁぁす!

 なんと! ビアンカさまからのお手紙は!!

 お茶会の招待状でしたー。


 ファンディッド子爵令嬢ユリアさま、なんて書いてありましたよ。

 うわあ、正式なお茶会の招待状だ……なんかキラキラしてた……。良い匂いもした……すごい、これが大人のオンナのなせるわざ……。こっそり見習おうと思いました。


 ビアンカさまの綺麗な字で、『私のサロンでひっそりしたお茶会を開いて、その時に貴女の誕生日をお祝いしたいと思っているの、勿論強制じゃないし参加してくれたら嬉しいわ』っていう優しいお言葉が添えてあってだね……嬉しいなあ。でもビアンカさまのサロンって高位貴族のご令嬢ばっかりじゃないですか……大丈夫かな。

 ビアンカさまも新年祭からずれて、お祝いをいつも言ってくださるのよね。

 公爵夫人っていう立場からすると、新年祭は大忙しだからむしろその後で遅れてごめんねって言いながらでもお祝いしてくれるその気持ちだけですごくすごく嬉しいよね!!

 はあ……ビアンカさまも大人のレディらしいこう、気遣いとか……カッコいいわあ。

 結構からかってくるけど。それも私に対する親愛の情だって伝わってるからいいんだけど。友達って言ってくださってるしね!


 クリストファが去った後にしばらくその招待状をいろんな角度から眺めて楽しんでたらぐっすり眠れましたよ。ふう、ちょっと浮かれてしまいましたね。まあほら、社交界デビューしたからってお茶会のお誘いが今までなかったからちょっとテンション上がったんですよ。

 行きたかったわけじゃないですが、憧れってありますよねー。

 いえ、勿論ボロが出ないように来たとしても参加しちゃだめですよと王太后さまから前もって言われていたので色々お断りの言葉も考えたりした時期もありました! まああちらで手を回してくれたんだと思ってます。

 ビアンカさまはデビューにまつわるエトセトラの事情もご存知ですので、きっとお許しいただけるでしょう! でも一応確認とってからお返事を出すことにします。

 きっとそれをビアンカさまもご理解してくださっているからこそ返事は必要ないとクリストファも言っていたのでしょう。直ぐに確認が取れるとは限りませんから。


(と、なると……年明けは忙しくなるなあ)


 朝礼を終えて、私なりにざっくり予定を考えてみる。

 あ、勿論お仕事はひと段落してますよ。忙しくないから執務室で座って考え事をする余裕もあるってだけです。


 まずは新年祭でしょ、プリメラさまは神殿にお籠りになる時間が殆どになるわけだけど、仕事がないわけじゃないんですよ!

 朝のご起床をお手伝いして身支度を整えさせていただいて、神殿までついて行くまでが宮の侍女がする仕事。そこから神殿内部は統括侍女さまと神官たちにお願いする形になるので、そうしたら王女宮内の清掃指示ですとかそういう雑事をいつも通りこなして……。

 次にアルダールと誕生日を過ごすわけでしょ。

 服はクリストファのおかげで決まったし、眼鏡はなしで、髪の毛は下ろして……プレゼントも用意してあるし、これはあと自分の中で、そうです! ミッションを作ろう!!

 

(と言っても何があるかな……?)


 ……プレゼントを渡す。うんうん、このくらいはイージー。

 名前を呼び捨てで呼ぶ。出来ないことはない! 大丈夫!!

 後は何がある? うーん……あ、そうだ、自分から手を繋ぎに行く。

 ふっふっふ、いつまでも受け身で成長がないというわけじゃありませんよ!

 あとは……まあ、ケースバイケース?

 できたらこの時に実家に帰る時のお土産も買いたいな!


 そしたら次は実家に帰る手筈ですね。

 お土産も持っていることですし、貴族用乗合馬車でもちょっとお高めのやつに乗っていけば乗り心地も抜群! あら安心!

 そうしたら顔合わせの打ち合わせして……多分そんなに間隔開けずに顔合わせはするでしょうからそれに向けて準備すればよいですね。


 それが終わったら今度はビアンカさまのお茶会、と……よし予定は決まりましたよ!!


「……プレゼント、喜んでくれるのかな」


 いや、そこに今更考えが戻るのかよ!

 って言われるかもしれませんけどね。こういうのって悩みが尽きないものですよねー。

 でも一生懸命選んだわけですし、気持ちが伝わるといいなあ。


(さすがにとんでもないデザインとかじゃないし大丈夫だと思うけど)


 アルダールに贈るプレゼントは、色々考えたけどペーパーナイフです。普段から使えるものって良いよねって話。実用性は大事ですよ?

 本当はハンカチとか剣の飾り紐とか色々考えていたんですが、私があげたハンカチを使ってくれているのを見てハンカチは止めようと思った次第! あれは嬉しかったよね……うん、素直に。惚気ではありません。

 出入りの商人が持ち込んだ品の中にあったペーパーナイフがシンプルなシルバーの逸品で、ちょっとお値段張ったんですけどこれはアルダールに似合うだろうなあって思ったんですよ。

 これなら邪魔にならないだろうし、お仕事にも使えるだろうし……危なくないし。

 プレゼント用の包装もしてもらったので、本当、後は渡すだけなんです。


「あーダメだダメだ」


 余計なことを考えてたら不安方向に思考が向かう!

 私は元々ネガティブなんだから、そっちに向かわないようにする努力をしなくちゃいけないんですよ!

 それが信頼に応えるってものでしょう。あれ? なんか違うな。


「……えーと、ユリア?」


「え?」


「その、さっきから声をかけていたんだけどね?」


「えっ、あ、アルダールさま!? いつからそこに……?」


「今だよ。ちょっと時間が空いたから会いに来たんだ。……なにか考え込んでいたみたいだったけど、どうかした?」


「えっ、いえ、大したことじゃないです!」


 リアル『アナタのことを考えていたの☆』状態でした。

 勿論そんなこっぱずかしい事言いませんよ。

 いやあ、なんていうタイミング!


「公爵夫人が、私の誕生日をお祝いしてくださるそうで……お茶会に招待されたんです」


「へえ……それは良かったね」


「ええ、でもほら、お茶会に今まで参加したことがなかったから着ていく服をどうしようかと思って……それに、メレクの婚約の方でも新しく服を用意しなくちゃって少し悩んでいたんです」


「なるほどね」


 いやぁ口からするするっと言い訳が出るものですよ……仕事で鍛えたこのスキル! 使い方を大きく間違えている気がしますが保身のためです気にしない。

 私の言葉も大きく嘘ではありませんしね。お茶会のお誘いは嬉しいけど着ていくドレスどうしよう。さすがに今まで着ていた地味系ドレスというわけにはいかないです、ビアンカさまの顔に泥を塗るわけにはいきません。

 それにメレクの婚約だって、その姉がみっともない恰好するわけにはいかないでしょう。


 ああああ、園遊会ボーナスが、あっという間に羽生えて飛んでいくイメージしかない……!!

 なんて悲しいイメージ!

 前回の観劇で使った手を再利用で安いドレスを買って針子のおばあちゃんに相談するのが一番でしょうか……いえ、ここは奮発するべき……?

 毎回おばあちゃん頼ってたらあちらだって困ってしまいますよね。っていうか前回の代金はきちんと払いましたけど、個人的におばあちゃんにお礼の品も渡したいんですよ、そちらも用意しないと……。

 あれ、結構細々やることあるよ? やばいね?


「それじゃあ、新年祭の時は一緒に見に行こうか」


「えっ」


「いやかい?」


「え、いえ、嫌じゃないですけど、でも、あの……あんまり男性の方って女性の服とか、そういう買い物にお付き合いするのって苦手ってよく聞きますけど」


 前世でも今世でも『女性の買い物は長い』って男性が愚痴を溢すのをちょいちょい耳にしますからね!

 まあ今世の女性、特に貴族女性の買い物が長い理由は試着とかがとても手がかかるとか、商人たちも裕福なお貴族さまにたくさんお買い上げいただきたいという売り込みとかが結構あるからってのもあるんでしょうが……。

 私としてはそんなに手間をかけるつもりはありませんけど、どうせなら新年祭で楽しく過ごしたいのにアルダールが気を遣ってしまうというのはちょっと。


 そう思ったけど、アルダールはきょとんとしてからくすくす笑っているのでそうじゃないらしい。


「どうせなら、私好みの服を贈らせてもらおうかなと思ってね。ユリアだったらプレゼントしたドレスを大切に着てくれるだろう?」


「そりゃそうですけど、えっ、贈らせてって……自分のですからちゃんと買いますよ!」


「まあまあ、良いじゃないか。たまにはね」


「たまにはって……もう!」


「あ、そろそろ行かなきゃ。それじゃあまた、時間ができたら来てもいいかな」


 さらっと笑って否定とか相変わらずこういう所頑固だよね!?

 まあ私としても黙って買ってもらうつもりはないので当日はじゃあ選んでもらって財布をどちらが先に出すかの勝負ですね! わかりました、受けて立ちましょう。


「……会いに来てくれるなら、いつでもお待ちしてます。できたら、仕事が終わった時間の方が良いですけど」


「ありがとう」


 眩しい笑顔で去って行く姿は相変わらずイケメンだなあ……。

 くっ、負けないですよ。ちゃんと目を見てお話しできるよう、今から新年祭に向けて気合を入れなければなりません……!!


 見てらっしゃいアルダール!

 私だってやる時はやるんですからね!

いつから勝負になったと錯覚していた……?

スカーレットのことをもうどうこう言えない筆頭侍女なのでした。

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