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腐った魚の目をした俺は、テンプレ少女と出会う

ぶっちゃけ、よく小説や漫画で見るけど実際にこの場面に遭遇するなんて思ってもなかったからどうしようかな。

てか、ファンタジー世界ってテンプレが結構あるよな。

……よし、俺はそのテンプレ展開の行く末を見届けることにした。


「お前は【天竜の翼】に必要ないって言っているんだよ!」


とリーダーらしき男が怒鳴り、元パーティーメンバーとなった少女に剣を向ける。


「なんで……どうしてよ~」


少女は涙を流しながらリーダーに向かって問いかけるが、リーダーは舌打ちをしてから少女を突き飛ばした。


「チッ!お前みたいな無能な魔法使いはウチのパーティーにはいらん!!さっさとどっか行きやがれ!」


「……うぐっ……ひっく……うわぁぁぁん」


と泣きながら走り去る少女を、俺は黙って見届けたのだった。

この光景を見た俺の感想としては、テンプレ展開って本当にあるんだなぁと思ったね。


さて、このあとどうすっかな~。


あの少女がテンプレでいう追放ものの主人公で何やかんやで急成長して元パーティーメンバー達にざまぁでもするかもしれない。


よし、しばらく暇だしテンプレに首を突っ込んで見ようじゃないか。


俺は少し考えた後、少女が走り去った方角に向かって歩きだした。


案の定、少女は数件先の路地裏で号泣していた。


さて、どう声をかけようかな。


「ねぇ君、大丈夫かい?」


俺は少女の側によると出来るだけ優しーい声で話しかけた。


少女は声をかけられたことに驚いたが、俺を見るなり


「誰よアンタ?」


と涙目で睨んできた。

解せぬ。


「いやぁさ、たまた~まここを通りかかったら君がいてね声をかけたのさ。んで、どうしたの?」


出来るだけ愛想よく、そしてなるべく警戒されないような口調で話しかける。


「アンタには関係ないでしょうが!!」


と少女はいきなり俺に掴みかかってきた。


わぁーお、ヒステリックな女だぜw


少女が俺を掴んだ瞬間、俺は反射的に少女の腕を逆関節に極めたのだった。


「いぎぃっ?!」


「あ、ごめんつい。」


「もう放しなさいよ!何なのよアンタ!」


俺は少女を放したが、少女は猫みたいにフシュー!っと威嚇して距離をあけられた。


「何なのよって、君が掴みかかってきたんだろ?」


「だって……あんな場面見られたら誰だって恥ずかしいじゃない。」


少女は顔を真っ赤にしながらそう言った。

まぁ、路地裏でいい年した少女が号泣していたら恥ずかしいか?


「ま、確かにそうだな……?」


俺は少女の気持ちに同意した(?)あと、本題に入ることにした。


「んでさ、なんで泣いていたの?」


いやさ、追放してたところを目撃してるから泣いていた理由知ってるけどさ。


「うっさいわね!関係ないって言ってるでしょ!」


と少女は怒ったが、俺は気にせず理由を言った。


「いやいや、泣いてるかわいい女の子をほっとくほど人間腐ってないよ俺?」


俺がそう言うと、少女はポカーンとした顔をしたあとに急に笑いだした。


「……あははははは!!何それ?アンタもしかしてアタシにナンパしてる?」


そこまで笑わなくてもよくね?


何がそこまでツボにハマったのか少女はしばらく笑っていた。

そして、おちついてから自分が冒険者パーティーを追放されるまでのことを話してくれた。


少女の名前は、『アルカ』。

この町出身の冒険者でランクはD。

駆け出し冒険者を卒業してギルドから【天竜の翼】を紹介されたらしい。

アルカが魔法使いとして加入してからの活躍でこのパーティーはAランクに上り詰めたのだが、ここ数ヶ月で突然、リーダーの【オリバー】からクビ宣言されて今に至るらしい。


「なるほどね。大変だっ「慰めはよしてくれる?」……ゴホン。で、これからアルカはどうするの?」


と俺が聞くと、アルカは少し考えた後こう答えた。


「アタシは……まだ、冒険者として冒険したい。でも…」


そう言ったあと、またアルカは泣き出した。

どうやら、オリバーにクビを宣言されたショックが未だに大きいようだ。


「じゃあ、俺とパーティー組まない?」


俺はアルカにそう提案した。


「へ?」


俺の提案にアルカはキョトンとした顔をした。


「いやさ、俺は今までソロで冒険しててさそろそろ仲間が欲しいなぁって思ってたんだよね。でもパーティー経験とかないから経験がある人が仲間になってくれたらありがたいなぁてきな?」


実は、冒険者になってからまだ1ヶ月ちょいなんだとは言わないぜw


俺がそう言うと、アルカは急に不安な顔になり


「アンタのこと……信用していいの?」

と聞いてきた。


「おうよ!かわいい女の子を裏切るなんてことはしないさ!」


と俺はサムズアップして返した。

これは繰り返した人生のひとつ、チャラ男の時の記憶からだな。


「ふふふ、なにそれ……うん、いいわ。アンタのパーティーに入ってあげるわ!」


「おう、サンキューな。俺の名前はトキワタリ ケンタだ好きに読んでくれ。」


「アタシはアルカよ。よろしくね、トキワタリ!」

「トキワタリって言いにくいからトッキーって呼んでもいい?」


「え、普通そこはケンタじゃなくて?まぁ、いいけど。」


こうして、俺は冒険者パーティー【天竜の翼】をテンプレ追放をされた少女、アルカとパーティーを組むことになったのだった。


ふっ、テンプレに首突っ込んでやったぜw


あの後、早速ギルドでパーティー申請を受けに行ったら受付嬢のエリザが驚いていた。


おっと、エリザは一番最初に俺があった方の受付嬢だぞ。

クールな受付嬢アリシアさんは今は休憩時間中だそうだ。


「えっ?!トキワタリさんパーティー組むんですか?!」


「あー、うん。まぁ成り行きでね?」


とエリザのテンションに俺は苦笑しつつ返事をする。


「えぇー!トキワタリさんがパーティーを組むなんて初めてじゃないです?いったい誰なんですかそのかわいい女の子は!」


エリザのテンション高ぇなぁ。


俺は、エリザのテンションを流しながらアルカを紹介しつつ、申請手続きを済ませたのだった。


「トッキーってCランクなんだね。アタシまだDなんだけど、足手まといにならないかしら?」


ポツリとアルカが俺に言ってきた。


「気にすんなよ。CランクとDランクなんて一つしか違わないだろ?」


「でも……アタシ、前のパーティーで無能魔法使いだったらしいし。」


「それは向こうのリーダーが言ったんだろ?そのオリバーってリーダー見る目がないんだよ。」


アルカが入ってから【天竜の翼】がAになったのってさ絶対にアルカのお陰だと思うんだよね。

そんなアルカを追放するとかバカだよなぁ。


「ま、これから一緒に頑張ろうぜ!」


「……うん!ありがとうトッキー。」


それから俺とアルカはパーティー申請後、ギルドで今後について話し合っていた。



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