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プログラミング・ア・マジック  作者: 砂井裏鍵
こんにちわのための先生にこんにちわ
1/3

Line.1 日常の終わりと日常の始まり

――パチリ、パチリと。回線がショートしてる時みたいな音がした。

面倒事は目の前のよく寝かされたソース(スパゲティ)だけで充分だ。こんな時にハード的なトラブルは勘弁して欲しい。

まぁ、毎日スパゲティとにらめっこする仕事だから、何かが壊れる時に誰かが書いたクソコードと向き合っているのも必然だけど――

一瞬、視界が白に染まった。

ここ数日ろくに眠ってないし、目も酷使してたからそろそろ来ると思った。未だに片目だけ近眼になってるのがおかしいぐらいだなー……って。


気付けば俺は、檻の中にいた。


……え?ちょっと待って。さっきまで椅子に座って……え?檻?檻だよねこれ?下半身から伝わること鉄の床みたいな感触は間違っても自腹を切って買った10万円もする椅子じゃないよね?なんで、仕事中の俺は、いきなり鉄の檻の中にへたり込んでるんだ……?


『ア、****!?』

『**、***!?****、***コン*****!』


すぐ近くに人の声が聞こえる。目を向けると、驚いた顔してる女性が二人いた。こっちを指差して、何やら騒いでる。


『チ****、****!』

『ザ、ザー!』


聞いたこと無い言葉だ。年上の方に怒鳴られて、若い方の子がドタタタとどこかへ走っていく。それを見送って、残った人がこっちに向いて、目を合わせてくる。


『**…アイン?*******。****?』

「に、日本語でおk?」


きょとんってされた。ですよねーそりゃ通じませんよねー。見た目はちょっと輪郭が深くて、肌の色も日本人よりちょっと黒いだけだから、もしかしたら言葉通じるかも?と思ったけどそりゃ通じませんよねー!


「えーえっと。とりあえず、これ。なんとかしてください?」


檻を揺らしてみる。とても頑丈そうだ。ドアらしいところはしっかりと施錠されており、サーカスとかで猛獣を閉じ込めるやつそのものだ。こんなか弱い文明人を捕まえるには明らかに大袈裟すぎる。閉じ込められた方は堪ったものではないのでとりあえず解放を求めてみる。


『***。******、**********。』


首を横に振られた。あ、これもしかしてジェスチャーなら通るやつ?ていうか普通に考えて、俺、誘拐された?そして檻に入れられて海外に売り飛ばされて、いま目が覚めたって感じ?ここは既に北朝鮮だったりする?

技術者誘拐はニュースで見たことあるけど、まさか自分の身に起きるとは。ちょっと名は売れてるけど、俺はあくまでただのプログラマーなのに。もっとこう、核ミサイルを作るための科学者を攫ってるイメージだったわ。いやまあ北朝鮮に攫われたと決まったわけじゃないが。

それにしても眼の前のこの女性。見た感じ二十歳ぐらいか?キリッとした目つきに、整った面容。サーカスに出てくる猛獣使いみたいな服を着て、鞭を腰にぶら下げてる。見張りにしては美人すぎる気が……じゃなくて。なに冷静に分析してるんだ、俺。誘拐されたんだよ?もっと慌ててもいいのよ?あ、いや慌ててるのかしっかりと、そうかそうかー


ドタタタ。

『**、******!』

『***……ハ!?*******!?』

『*****―!』


女の子が中年の男を連れて戻ってきた。ガタイのいい男は俺を見てぎょとした後、話しかけてくる。


『*********、****ニェ!』


なるほどわからん。彼は手のひらを鍵に向け、もしかしたら出してくれるのかと思ったけど、鍵っぽいものは握っていない。まぁそりゃパーなら何も握れな――


ガチャリ。


「え?」

『*******。』


北朝鮮の人は鍵を手品に開けるのか、とどうしようもないことを考えていた。

夜に眠れなくて思いついたもの。見切り発車の非情に遅いペースで不定期更新の予定です。

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