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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ごちそうさま

作者: 山田さん

カニバリズムをテーマにした掌編です。

 暴れだすと危険ですから、まずは四肢を切断してください。

 そうそう、お上手です。

 いやぁ、本当によく切れる包丁ですね。

 次に全体を軽く焼いてください。

 軽くですよ、今は中まで火を通さないように。

 そうそう、ゆっくりと回しながら全体をくまなく焼いてくださいね。

 さてと、全体が黒くなりましたから、次にすりこぎで軽くたたいてください。

 ボロボロと黒くなった皮が落ちますよね。

 日焼けのはがれた黒皮のようなものが表面に残らないように、まんべんなくたたいてください。

 はい、とてもお上手です。

 これで表面の皮が全部はがれました。

 白い脂肪が丸見えですよね。

 ちょっと千切りにして食べてみましょうか。

 はいはい、おいしいですか?

 見た目はいかそーめんみたいですけど、かなり油っぽいでしょ。

 おっと、おいしいからってあまり食べ過ぎないように。

 メインはこれからですよ。

 次は中まで火が通るように強火にしてください。

 腹黒いといわれていましたから、悪いものが中にいっぱいつまっているはずです。

 その悪いものをすべて焼き尽くすつもりで……そうです、不浄滅却の精神です。

 え? いやいや、ご心配なく。

 どうせわたしなんか希望の欠片ももっていません。

 無希望な人生をずっとずっと歩んできました。

 でもこうやってあなたのお役に立てるときがきた。

 これでわたしも後世の方々から菩薩と呼ばれるでしょう。

 え? いやいや、本当にご心配なく。

 結局はわたしもあなたも強烈な刺激が欲しかったわけですから。

 ね、すごいでしょ。

 これこそ怒涛の刺激ってやつですよ。

 さてと……焼きあがったようですね。

 あ、顔は最後まで残しておいてくださいね。

 あなたの食べているときの幸せそうな顔を見ていたいんですよ。

 それにグチャグチャと肉を噛む音を聞いていたいんです。

 そしてあなたの「ごちそうさま」を聞きたいんです。

 それがわたしへの最後のはなむけの言葉になるでしょうから。

 さて、顔以外の場所はもういいですよ。

 下痢をするかもしれませんが、恨みっこなしですからね、へへへ。

 それではどうぞ……ささ、お食べください。

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