ほほえみとCherry Blossoms
そうして、和解してから約三か月、色々あった二年生も終わり、春休みに入りました。春休みに入っても私たちは毎日のように連絡を取り合い、遊んでいました。
そんなある日、萌愛からの電話で
萌愛 「わたしね、まだやらなくちゃいけないことがあったんだ・・・それはとっても大切なこと・・・」
智佳 「それっていったい・・・?」
萌愛 「ある人に謝らなくちゃいけないんだ。前に話したわたしのせいで不登校になってしまった昔の親友、奈江って子になんだけどね」
その名前は前にいぶきさんの話で聞いていたのですぐにわかりました。椿 奈江という人のことである。
智佳 「そっか、それじゃあ会いにいかないとね」
と、思ったのですが、
萌愛 「その子、引っ越したらしいから、会いに行けないの。どうしよう・・・わたし、取り返しのつかないことをしちゃったって、智佳にいろいろ教わってから気づけたのに・・・ッ」
萌愛は悔しそうに話していました。ですが、私は引っ越し先を知ってそうな人を一人知っています。
智佳 「そうだ!いぶきさんなら知ってるかもしれない!」
萌愛 「そうなの?」
智佳 「うん!それじゃあちょっと聞いてみるね!」
萌愛 「お願い!」
そして、電話を切ると、すぐにいぶきさんに連絡を入れました。すると、三人で話し合いたいという連絡が返ってきたので、萌愛を連れて指定された場所に行くことになりました。
そして、萌愛と二人で指定された場所に向かいました。すると、すでにいぶきさんは着いており、私たちを確認するやいなや、
いぶき 「こういう状況になったってことは、桜 萌愛は自分の過ちに気付いたってことだね」
萌愛 「・・・うん」
いぶき 「それじゃあ、椿 奈江の住所と行き方を教えるけど、もしも椿 奈江にこれ以上何かあったら、あたしは本当にあんたを許さないから」
萌愛 「・・・うん」
そして、私たちはいぶきさんに椿 奈江という人の住所を教えてもらいました。それは電車で数時間ほどのある場所です。今から行くと、帰りにはもう暗くなってる時間になりそうだったので、私は日を改めてもいいと言ったのですが、萌愛はすぐに謝りに行きたいと飛び出していきました。そうして、去り際に
智佳 「いぶきさん、ありがとうね」
いぶき 「あたしは、別に・・・」
そうして、私たちは椿 奈江さんの家に向かいました。電車に揺られながら数時間後、目的地の駅につきました。そして、聞いた行き方のメモを見ながら進んでいると、萌愛がいつになく真剣に
萌愛 「ねぇ智佳、お願いがあるんだけど、謝りに行くとき、智佳は遠くで待っててほしいな」
智佳 「でも、萌愛って人見知りでしょ?大丈夫?」
萌愛 「大丈夫大丈夫!それに、わたしのと信じてるんでしょ!まかせて!」
智佳 「うん、わかった、頑張ってね!」
そうして、ちょうどいいタイミングで目的の家が見えてきました。
萌愛 「それじゃあ、行ってくる!」
萌愛はツインテールを揺らしながら駆けていきました。私はただ祈るばっかりです。
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ピンポーン
萌愛 「ごめんください」
奈江 「はい、」
萌愛は緊張が止まりません。ですが、智佳が信じてくれていると思うと、自然と平常心が保てるのでした。
奈江 「どちらさまですか?」
やはり数年が経っているので奈江は萌愛のことを忘れてしまっているようだ。
萌愛 「桜 萌愛です」
奈江 「あ・・・」
その言葉を聞いた途端、奈江の雰囲気が一変し、恐怖とも恨みとも取れないようなオーラを漂わせ始めました。ですが、萌愛はそれに屈することなく
萌愛 「ごめんなさい!!!」
と、萌愛は土下座に近い形で頭を下げました。
萌愛 「わたし・・・やっと気づいたの!取り返しのつかないことをしてしまったって!だから、謝りにきたのッ!許してもらえなくてもいい!どんなに恨まれても構わないッ!だけど、反省してるってことだけは受け取ってほしい!ごめんなさいッ!!!!!」
萌愛は心の底から出た言葉なので、言いながら泣いてしまいました。すると、奈江が口を開き、
奈江 「どうして、こんな時期に突然・・・」
萌愛 「わたしね、大切な人ができたの。その人に本当の愛情を教えてもらった!信じることが大切って教えてもらた!だけど、あの頃のわたしは奈江を信じることができてなかった!だから自分だけのものにしようとしてたの!ごめんなさいッ!!」
言い終わると同時に萌愛の頭を奈江が撫でました。
奈江 「萌愛、もういいよ、顔を上げて」
萌愛 「え・・・?」
奈江 「萌愛が正直に言ってくれてたんだから私も言わないとね、ごめんなさい」
萌愛 「なんで奈江が?悪いのは全部わたしだよ!」
奈江 「ううん、私にも悪いところがあったんだ。私ね、裏でよく萌愛の悪口を言ってたの。きっとそれの罰が当たっちゃったんだね。ごめんなさい・・・」
今度は奈江が頭を下げました。
萌愛 「違うよ!あんなに付きまとわれてたら、悪口も出ちゃうよ!だからごめんなさいするのは私だけでいいんだって」
奈江 「悪口を言うのは人としてあってはならないことだよ。だから私も悪いんだって!」
そんなこんなだとらちが明かないので、萌愛が
萌愛 「じゃあ、二人同時にごめんなさいで解決じゃ、ダメかな?」
突然の提案に奈江は多少驚いたが、すぐに了承し、
二人 『ごめんなさい』
そして、二人は笑い出しました。
奈江 「こんなふうに笑いあうの、何年振りだろうね?」
萌愛 「なんだか最近のようでもだいぶ昔のようでもあるね」
奈江 「萌愛、なんか雰囲気変わったね、やっぱりその大切な人のおかげ?」
萌愛 「うん!」
その時の笑顔はかつて智佳にも褒められた桜の満開のような笑顔でした。そうして目的を果たし、萌愛は智佳のもとへ帰っていきました。
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一方その頃
智佳 「あぁ~・・・萌愛、大丈夫かなぁ?全然戻ってこないし・・・」
でも、信じて待たないと!萌愛ならきっと大丈夫・・・きっと
でも、不安でいっぱいです。早く戻ってこないかなぁ?などと、ずっと考えている中、お待ちかねの足音、ツインテール姿の少女が駆けてきました。行く時とはうって違って、心の中のもやもやが晴れたような雰囲気でした。
萌愛 「智佳ー!おまたせー!」
智佳 「おかえり!どうだった?って聞かなくてもわかるよ!お疲れ!」
萌愛 「約束通り待っててくれてありがとうね!」
智佳 「それじゃあ帰ろっか」
萌愛 「うん!」
そして、過去を乗り越えることのできた萌愛と、彼女の闇を切り開いた智佳は帰りの夜道を二人、手をつなぎながら帰った。
その帰りに、二人は早咲きの夜桜を見た。淡く明るく美しい桜色だった。それはまるで、明るい萌愛のほほえみを思い出すかのようだった。桜はいずれ散ってしまうのだが、智佳はその散ることのないほほえみをずっと見ることができるのだ。これからも、ずっと
~ほほえみとCherry Blossoms~完~
長い間お付き合いありがとうございました。
始めの投稿から、はや3か月ですね。
まさかのクリスマスイブ前日と、クリスマス回が重なるという
偶然には自分でも驚きました(笑)
一つだけだとわかりにくいですが、百合ゲーをイメージして
この「純潔のLily」を書いていました。
今回は萌愛ルートでしたが、機会があればほかの主要キャラの話も
書いていけたらな、と思っています。
それでは、本当にありがとうございました!




