始まりは突然に
蝉の煩い鳴き声が聞こえる。
七月上旬、空には雲一つなく綺麗な青色が広がっていだ。
大都会東京のアスファルトは熱を帯び、下からくる熱気で足から徐々に溶けていきそう。上からは太陽からの攻撃。避けることは出来ない。
「暑いなぁ」
とのんびりとした声が耳元で聞こえた気がした。気のせいか。
今年の春に高校一年生になった柏木 命は、名前が女の子らしいせいかよく性別を間違われる。昔から運動することが好きでスポーツなら何でもやってきた。人並外れた運動神経で瞬く間に日本中の視線を集めた、実は物凄い男子高校生。
しかし、彼には1つ欠点があった。あまりにも運動することが好き過ぎるせいか
「あ、バスケのコート」
とそんな感じに、取り敢えずスポーツ出来るところなら何処にだって飛び込むようなそんな体質になっていたからだ。
「柏木!今日も遅刻よ!!またどっかによって遊んでたわね?!」
鬼の形相をしながら柏木を怒るこの女は、南條 明。男らしい性格には似つかわない、色っぽい唇に長い黒髪を風になびかせて、八頭身ぐらいあるであろうナイスバディの持ち主である。
「明センセ、僕急いでいるんで。サヨナラ」
「こらー!待てェ!!」と明先生の叫び声を背中に受けながら、命は教室へ向かって行く。