一語一語
一語一語があたりに散らばって
なかなか言葉になってくれません
いつも痛みかなしみ、喜び笑って
過ぎてゆく瞬間を見送るのさえ
忘れてしまって
まとまりません
散らばった一語を手にとってみれば
ただの道具であって部品であって
さあ、どうしましょうとなって
釘一本から家をイメージするように
一語から言葉をイメージできなければと
唸りながら考えていました
考えれば考えるほど、言葉は遠くなって
一語は一語のまま、はて、何でしょう?と
小首を傾げています
一語を白紙の上にのせ
指でそっと配置しながら、この迷いを
戸惑いを、焦りを綴っています
動かなければ何も変わらない
考えて唸っても傍目からみれば
眉間に皺寄せた疲れきったおばさんです
動き出せば
生き生きと見えるはずです、おそらく
眉間に皺寄せた疲れきったおばさんが
何やら必死に綴っている姿は
ちょっとこわいかもしれませんね