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第13話

というわけで、美少女を拾った。


泣いてる姿も凄く可愛かった。

精神年齢10000歳以上なのに、ときめいて抱き締めたくなった。

やはり、物事の捉え方は実年齢に引っ張られるらしい。


というか、この子すごい軽い。

ぜんぜん食べていなかったのか?

取り敢えず自分の部屋にお持ち帰りしよう。


ついでに《完全鑑定》も使用した。

《世界の瞳》からの鑑定では、細かいところは解らないのだ。


名前:アルクシュッド・エルヴェナン 14歳 女 Lv.18

称号:『転生者』『元ヤマト王国貴族エルヴェナン家長女』『創作者』

状態:空腹 栄養失調

スキル:《魔法改造》

《近代魔法》Lv.5

《無魔法》Lv.3

《空間魔法》Lv.4

《社交》Lv.2

《舞踏》Lv.2


《魔法改造》解説

魔法を限度は有るものの自分に合ったように改造出来る。

《近代魔法》解説

自分と自然の魔力と、物事の意味を抽出したものを合わせて使用される魔法の総称。

既存の魔法よりコストが低く威力も高く、使える魔法の種類も豊富でその場新しい魔法を生み出すことも可能で、自分の魔力が切れてもある程度は戦える。ただし意味の抽出や儀式に時間がかかったり、意味を抽出したものを消費したりするがそれ以上に大きなメリットがある。



素晴らしいと言えよう。

たった14歳で、ユニークスキルの補助があったとは言え魔法の1つを創り出したのだ。

いや、これは魔法といえるかどうかも怪しい。

だとしてもこれまで無かった、新しい物であることには違いはないだろう。


俺がこの少女のように、新しい法則を発見するのに2000年もの時間をかけたというのに…。

大きな才能に嫉妬してしまう。

凡人と天才の差が疎ましい。

俺がこの子のように才能に溢れていればどれ程良かったか。

どうにもならない、後悔とも言えないナニかが胸中を渦巻く。


と、思案している内に朝焼け亭に到着した。


カウンターには誰も居ない。


階段を上って自分の部屋の鍵をあけて、自分のベッドに寝かせる。

階段を上る際に、部屋から出てきたおっさんに見られたが仕方があるまい。



額と額をつけて熱を測ったり、心臓近くを触って脈拍を調べたりした。

自分のベッドに寝ている少女の顔は、何処か満足したように見えた。


少女には毛布をかけて、自分はイスの上で座りながら寝ることにした。





◇◇◇◇◇◇


朝になった。

窓の外から小鳥の鳴き声が聞こえる。

視界の端にある時計は5時28分を指している。

イスに座りながら寝てたので身体中が痛い。


少女が寝ているベッドの隣にある窓を開く。

薄暗かった部屋に眩しい朝日が射し込む。

暖かい日の光を浴びると、身体中の細胞が目覚めるような気がしてとても心地よい。


「んっ……むぅ…ふぁぁ。」


少女を起こしてしまったらしい。


「おはよう、気分はどうだい?」


優しく微笑みながら話しかける。

初対面の日本人にはこれがいちばんだ。


「うん…おはよ……ってあれ!?」


自分の置かれている状況を理解したようだ。

誰だって 寝て、起きたら別の場所だった! なんてことになったら混乱するだろう。


「えぇ!?は…うぇ?ふぇ!?」


俺の顔を見ると同時に顔を紅くした。

まだ混乱から抜け出せないらしい。

意味の解らない言葉を発している。


「落ち着いて…。君の名前は?」


スキルで判っていても、それで得た情報を言ったりはしない。

下手なことを言って自分を信用しなくなると、色々と困るからだ。


深呼吸をして気持ちを整えている。

しかし、整えても頬は紅くなったままだ。


「えっと…。私の名前はアルクシュッド・エルヴェナン。アルクと呼んでくれ。」


「俺の名前はウル・ヴァニック・デルクール、デルクール侯爵家11男だ。それと君は転生者だろう?本名も教えてくれないか?」


相手が混乱から完全に抜け出せす前に、情報を頂こう。


「私の本名は赤谷 翔夏…って何で私が転生者って知ってるんだ!?」


「言動が不自然と大人びてるし、俺は相手のステータスがわかるからアルク…翔夏って呼んでもいいかい?」


「あぁ、良いけど…というか私のステータスがわかるって本当か?」


少し疑惑のこもった目で見つめてくる。


「そういうユニークスキルだ。わかるのは名前と状態と転生者かどうかと、あとスキルもだな。」


「スキルまでわかるのか!?凄いユニークスキルだな。」


感心しているのがよくわかる。

この子は感情が表情にでやすいらしい。


「そんなに私に情報を渡していいのか?このまま逃げるかもしれないぞ?」


もっもとな疑問である。


「じゃあ逆に質問するが、翔夏はその状態で逃げれるのか?

しかも、もし逃げれたとしても、ツテも何もない元貴族のお嬢ちゃんが生き延びれるのか?」


「うぐっ…。」


痛いところを突かれた、という表情をしている。

少ししょんぼりしたような顔で、


「私はウルに頼るしか無いのか…。」


と呟いた。


「長い付き合いになるだろうからな、どうせあてもないんだろう?俺に着いてこいよ、待遇は悪くないぜ。」


美少女は周りに居るだけで癒されるしな!


「あぁ、不束者ですが宜しくお願いします。」


あれ?

それって結婚を申し込んだ時の返し方じゃなかったっけ?

うろ覚えだな…。まぁいいか。


「よろしく。取り敢えず何か食べるか。」


と言いながら《無限の箱》からお粥を取り出す。

無味無臭の栄養剤を大量に混ぜこんだ、卵粥だ。

本当の意味で栄養満点の代物だ。


「ありがとう。………いまこれを何処からだした。」


湯気の出ている卵粥を指差している。


「空間魔法は時間を停めることなんて出来ないはずだぞ。まさかそれもユニークスキルなのか?」


やっちまった。

俺は前世の慎重さを何処に置いてきてしまったんだ!


「……その通り、ユニークスキルだ。無限に物を入れられて、いれている間は時間が停まっている。」


「ずるいぞ!2つもユニークスキルを持ってるなんて!私のなんか魔法を改造出来るだけだぞ!?差別はんたーい!」


手足をしたばたさせながら不満を爆発させている。

毛布が俺のほうに飛んでくる。

起伏の少なさと、背の低さがあいまって小さな子供のような印象をうける。


「いいから食べなさい。それとも食べさせてほしいのか?」


子供を叱るようになってしまった。


「え……うん…。」


え、マジで?


思わず黙りこくってしまった。

まさか出会って一日目なのに、肯定が返ってくるとは思うまい。


《無限の箱》からレンゲを取りだし、卵粥を掬う。

軽く息を吹き掛けて冷ます。


「はいアーン。」


翔夏が小さな口を頑張って開けている。


ヤバい、可愛い。

ステータスウィンドウで写真を撮ってしまった。


「はむっ。」


翔夏がモグモグと口を動かしている。

あまり熱くは無かったようで、ゴクリと飲み込んだ。


「う…うん。美味しいなウル」


真っ赤になった笑顔が眩しい。





こうして俺は翔夏と行動を共にすることになった。



発展が早すぎると思うかもしれませんが、思い切りが良ければこんなもんだと作者は思ってます。

恋愛経験はゼロだがな!



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