第5話 過去、その後笑い
今日俺は1人になろうと思い、放課後に食堂へ行った。
職員はもう帰っている頃と狙いをつけて行ったのだが、意外にも時藤友子が残っていた。
「あっ、あのすいません!これ終わったらすぐ帰りますんで…………」
アイツはそう言って忙しく働いた。
そんなアイツを見ながら聞いた。
「お前って『時藤茜』っていう双子の妹がいないか?」
アイツは一瞬ビクッと肩を震わせ、
「いますけど」
と、一言だけ言った。
「そいつ俺の元カノ」
「えっ……けど妹は中谷君が好きだって言ってたのに。まさか………」
アイツは相当ショックを受けたみたいだった。
「俺は大丈夫だ」
本当の目的は時藤友子に付け込んで友達みたいな位置を取り、アイツの情報を流していこうという作戦だった。
俺ってあったまいー!
だがおろおろしている時藤はちょっと可愛かった。
ハッ、いかんいかん。同情しては前回の二の舞だ。
だいたいコイツだって信用無いんだから。
「あの……妹が傷付けちゃったみたいでごめんなさい」
「いや、もう気にしてないから」
うっわーコイツフェロモン出まくり。
こんな量どこにあるんだよ。
まったく、フェロモンは毒だ。
前の話とは関係無いが、後日職員室にて。
「マジっすか?」
「あぁ、そういうことでヨロシク」
放心状態で教室に帰ると、
「よ〜うカズ!ゴリラの用事はなんだったかぁ?」
と、聞かれた。
「おいカズ、顔色悪いぞ。何かあったか?」
とも聞かれた。
「…………………学食委員長」
ボソッと答えると、まず
「…長すぎ」
と言う応答があって、その後、
「「マジで!!!!!??」」
のフルコーラス。
「うるさい!!」
「あんのゴリラ……そんな事で呼び出したのか」
「許せん!!」
「日本男児か!!」
「タカトシか!!」
「漫才やってんじゃねーよ」
「学食か………」
「しみじみ言うな!」
「取り合えず『頂きます』って言う委員だろ」
「あと昼休み潰して机拭くんだろ」
「その委員との繋がりは………」
「まったくなし」
「じゃあ」
「何で」
「ゴリラは」
「お前選んだんだ?」
「さぁ?ゴリラに聞いてみれば?」