第1話 出会い
ロシアには「赤の広場」と、呼ばれる広場がある。
本当の広さは知らないが、オレ達の学園にも本物の6分の1サイズの赤の広場がある。
それでオレらはこの学園を『赤の学園』と呼んでいる。
もちろん本当の名前を「赤峰学園男子高等高校」と言うのもあるが。
4月、新しい季節が来た。
校庭の桜が美しく咲き誇る。
あくびをしているのは、我らが爆睡王、龍馬。
始業式で校長が、
「新任の先生を紹介します、時藤友子先生です。」
と、言った。で、その先生を見た瞬間、誰かが、ガタッと倒れた。
もちろんこの学園にも女の先生はいたが、そのセンコーは、
丸メガネで(今ドキそんなのあるか!!)
三つ編みで(戦前か!!)
背が低かった。
「初めまして!食堂で働くことになった、時藤友子です!
まだ18歳の未熟者ですが、よろしくお願いします!!」
「と、言う訳で皆さん仲良くして下さい。」
どーゆー訳だよ!!
始業式の後、オレ達はオンボロ教室の隅でたむろってた。
「つーかありえなくね!? あの丸眼鏡とか三つ編みとか」
「そーだよな!挨拶も関西弁訛りだったしよぉ」
「でも18って」
「ありえないし」
「オレら(高3)と同じだし」
「まっさか」
「恋に落ちる奴なんて」
「いねーよなぁ」
なかなか滑らかなトークパス。
「拓也はもういるし」
「あのたっくんって呼んでる女だろ」
「晋吾はいたっけ?」
「ハァ!?何言ってんだ、こないだきただろ!」
「セリフなげーよ、読者飽きるだろ」
「同じく」
「古っ」
「どうでもいいだろ!」
キーンコーンカーンコ〜〜ン
最後だけやる気のなさそうなうちの学園のチャイム。
席に着く真面目なヤツ数人。
席に着かない大多数。
だいたい先生も遅れる。
それじゃだめじゃん!!と、
他の学校の生徒は言うだろう。
だが、この学園ではいいのだ!
なんせ落ちこぼれの集まる学園。
先生も落ちこぼれ。
生徒も落ちこぼれ。
生徒にセクハラして追い出された先生あり。
煙草に手を出して退学した生徒あり。
秩序なんか死語だ。
そんな学園に舞い降りた天使。
・・・・ではないが、一見真面目そうな彼女に、この劣悪な環境は耐えれるのか!?
でもまあ、保健室の先生も耐えてるしいいか!
ほっとけば。