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新たな仲間を求めて

新キャラの設定悩みました。悩んで悩んで思い付かなかったのですが、他の方の作品を読んでたら突然思い付きました。不思議なものですね。

それから1週間が過ぎた。

ニースとエメスは相変わらず10階層で延々とファイアリザード狩りを続けていた。

と、同時にギルドに仲間募集の依頼を出しておいた。

既に稼いだ金額は18万オーロ程になり、十分契約神ミスラへの誓いの金額に届いている。


この様な依頼の場合、依頼を受諾する冒険者が神父への寄進を行い、手数料を担うのが一般的なのだが、ニース達は自分達で支払う事にした。

それはそれだけ真剣に相手を探している事をアピールする為であるのと、将来有望だが未だ路銀を稼ぐ能力のない新人を発掘出来ればそうしたいという思いがあった事の両方である。


「この階層の効率もそろそろ落ちてきたと思わないか?」

剣に水を纏わせる魔法、アクアソードで2匹のファイアリザードを切り裂いたニースがエメスに話しかける。

「そうね。ニースを消化した栄養はこの階層で使い果たされてきているのかもね。」


実力はさることながら実績においてはニースも初心者である事に変わりはない。1週間も過ぎれば迷宮の強化効果も落ちてくるのだろう。


「そろそろ先に進みたいところだな。」

「あたしたちだけじゃこの先は辛いわ。」


事実、この先の階層で現れる魔物は状態異常攻撃を仕掛けてくる者や初級ながら魔法を使ってくる者など様々であり、2人だけでは手に余る。


「今日は少し早いけどこの辺りで切り上げてパーティメンバー募集に応募がないか確認してこよう。」


◆ ◆ ◆


実はパーティメンバー募集にはこれまでにも多数の応募が集まっていた。

しかしそれはハイレベルな冒険者達がニース達の実力を買って自分達のパーティに入れたいという物だったのだ。

これにはある理由からニースは応じる事が出来なかったのである。


パーティになればニースの秘密 – 迷宮内で死んでも蘇ると言う – を知られてしまう可能性があった。顔の広い上級冒険者達にそれを知られれば他の人間に漏れないとも限らないのである。逆に知られても彼等に保護して貰うと言う方法もあったのだが、出来るだけ気を遣わずに戦える様にしたかったのでその方法を選ばなかったのだ。


新人に限って選考を絞り直したところ、募集に応じて連絡をして来たのは2人の戦士達だった。


◆ ◆ ◆


1人は二刀流の短剣を扱うスカウト(斥候師)、ゲオルグ・サバスと言う猫人族キャットピープルの若者、年齢は18歳である。耳と尻尾が白黒茶の三毛猫(トライ)カラー、細身ながら引き締まった長身で、装備は最小限のパットタイプの軽装鎧(メイル)を身につけており、素早さに任せた連続攻撃を得意としている様である。


もう一人はまだ少女というのが相応しい女性であった。ノア・カルサスと言うその少女は背中にヒエログリフ(神聖文字)の彫り込まれた弓を携えている。浅黒い肌に紫色の髪、年齢に見合わない豊満な胸をコンバットスーツタイプの全身鎧の下から押し上げさせ、顔には涙の様な形の彫り物をしている。その肌の色と尖った耳から彼女がダークエルフである事が分かる。年齢は15歳、何とニース達より年下だ。


ニースはローラにも立ち会って貰い、選抜試験を行う事にした。

「どうしようかな。模擬戦でもやって貰おうかと思ったけど戦闘スタイルが違いすぎて相性が悪いと意味が無いし・・・。」

「ねぇ、ニース、こう言うのはどう?」

エメスが何か思い付いたらしく相談を持ちかけてきた。


「ん?どうした?」

「それぞれに好きな方法で自己アピールをして貰って、彼等3人にそれぞれ他の応募者を採点して貰うの。アタシ達は3人全員で10点、彼等はそれぞれ10点ずつで合計20点満点で採点して判断して貰うって言うのは?」

「成程、冷静に他者を採点出来る公平性とかも見れるって訳か。」

「そう言う事。明らかに不正な点数を付けた場合は本人の採点から差し引くって事にすればみんな真剣になるんじゃないかしら?」


「そう言うやり方でやろうと思うけど、みんなそれで文句は無いかな?」


「良いですニャ。」

ゲオルグが即座に答えた。

「私もです。」

ノアも問題無い様だ。


「では年齢順で行きましょう。ゲオルグさんからどうぞ。」

「了解ニャ。力を見せるやり方はこっちで決めて良いかニャ?」

「勿論です。」

「ニースさん、貴方は剣士だったかニャ?」

「精霊魔術剣士ですが、剣も十分鍛えているつもりですよ?」

「では私と模擬戦に付き合って貰えますかニャ?ギルドから刃を潰した練習用の剣とナイフを借りて来るニャ。」


成程、単純に刃を交わして会話をしようと言うのか。それは分かりやすい。


「良いでしょう。お相手させて頂きます。」


「じゃぁここの判定はアタシがやるわ。怪我してもちょっとやそっとなら治してあげるから思いっ切りやって良いわよ?」

エメスが立会人を受けてくれた。


「魔法無し、1本勝負、始め!!」


◆ ◆ ◆


ナイフを逆手に、半身に構えたゲオルグ。

尻尾がピコピコ動いているが他は微動だにしない。

隙の無い構えだ。


開始から30秒、正中に構えたニースと共に二人とも動きが取れないで居る。


「さっさとやりなさいよ、ニース。果たし合いって訳じゃないんだから。打ち合わないと意味ないでしょう。」

ぬぐぐ、と困った顔でエメスをチラリと覗き見たニース。

ニースには既に分かっているのだ。

相手の実力が自分と接近している事を。


「はぁっ!!!」

ニースの気が一瞬逸れた隙にゲオルグが地を蹴り駆けよってくる。


「くっ!しまった!!」

右、左、右、右、左、右、と不規則に繰り出されるナイフの剣撃。

更に彼の特筆すべきがその尻尾だ。

足に絡みつき気を逸らしたかと思えば、クルリと巻き付き足を取ろうとする。

自由に動くその動きで本来のペースを狂わされてしまう。


「舐めんなコラァ!!」

ニースも負けていない。

ニースの剣は父親譲りの正統派だ。

真っ直ぐ過ぎる嫌いはある物の、正当故の隙の無さで押して行く。

そもそもナイフで彼の剣撃を幾合も防いでいる事自体、ゲオルグの実力を現していると言える。


ニースはバックステップで距離を取った後、一気に首筋に突きを放つ。

ナイフでいなしきれないその強力な一撃を首に喰らい、ゲオルグが膝をつく。


「それまで!!勝者ニース!!!」

エメスの声が響き渡る。


「驚きました。僕はこの歳ではかなり鍛えているつもりでしたが魔法無しでここまで追い詰められたのは同年代ではエメス以外で初めてです。」

「流石に強いニャ。最後は敵わなかったニャ。」

「いえいえ、楽しい戦いでした。」


◆ ◆ ◆


続いてはノアの番だった。

「私は2つの力を持っている。それぞれ見せたいと思うがそれで良いか?」

「良いよ。また俺が相手をしようか?」

「いや、ギルドの練習場にある案山子で良い。」

ギルドの案山子とは練習相手の居ない時に無人でもターゲットとして使える様に【再生】の魔術を掛けられた木製の案山子である。幾ら切り刻んでも燃やしても時間が経てば元通りになるのでボッチの冒険者に重宝されている。


案山子から200m程離れた位置に立ったノア。

「始めて良いか?」

「良いよ。いつでもどうぞ。」


「ノア・カルサス、参る!!」

掛け声と共に彼女は弓を抜き、自らの影に突き立てた。

「出でよ、シャドウウルフ!」

弓に彫られたヒエログリフ(神聖文字)が光ったかと思えば彼女の声に従う様に、影が3m程もぬぅっと伸びたかと思えば何とその影はそのまま立ち上がり体長3mの狼の姿になった。それは更に3体に分かれ、地を蹴り案山子に飛びかかって行く。

シャドウウルフの牙、爪が雨霰の如く案山子に降り注ぐ!あっという間に案山子は削られ、嬲られ、見るも無惨に細い心棒を残しバラバラにされた。


コココーーン!!!!


清らかささえ感じさせる音を立てて残った心棒に寸分違わず3本の矢が突き刺さる。

ニース達が振り向けば、そこには矢を放った姿勢で立つノアの姿があった。


「私は影を操り狼や大鬼(オーガ)を実体化出来る。数は実体化する物の大きさ次第だ。威力は今見て貰った通り。それと私自身は弓の腕に自信がある。この距離なら3mmと狂わず射通す自信がある。」


「・・・見事だ。」


ニースの声ににっこりと微笑んだ少女の顔は口調に似合わず年相応の朗らかさを見せた。

短めですがキリの良いところまでです。さて、次の仲間になるのはどちらでしょうか?

2012/11/27

*追記*ゲオルグの口調を少々修正しました。

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