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手堅く攻略

筆が中々進まず苦労しています。気分の乗った時に纏めて書く様にしています。

ニースはエメスにパーティメンバーについての相談を持ちかけていた。

「俺が前衛と後衛を兼任出来て、エメスが前衛だろ?俺の精霊魔術は剣と組み合わせてより威力を発揮するから、俺は中衛で遊撃を担うのが良いと思うんだ。」

「そうね。ニースが後衛的中衛を担って前衛職をもう一人増やすか、その逆のパターンか、何れにしろもう一人は欲しいところね。」


「問題は・・・。」

「ええ、実力もさることながら信用出来る相手かどうかね。」

何せニースは初回のアタックから2連続で盗賊に襲われているのである。慎重にもなろうという物だ。


「金は掛かるけど契約神ミスラに誓って貰おうか?」

契約神ミスラの前での証言には絶対嘘が吐けないという強制力がある。その代わり神殿で神の代理者である神父に依頼を出さねばならず、その際の手数料が掛かるのだ。

金額はその内容によりピンキリである。

犯罪の時の証言など、街の治安部隊が行う刑事裁判の時などは高額になるが、個人の些細な証言 – 主に浮気調査など – の場合は比較的安めである。

今回ニース達が利用するパターンであればその中間と言ったところだろう。


「10万オーロってとこかな?」

「それぐらいでしょうね。」

ニースを襲った盗賊の褒賞金が丁度まだ10万オーロちょっと残っている。


「暫くは地道に稼ぎに行こうか。」

派手な命のやりとりを繰り返したばかりでニースは暫くは手堅いアタックに臨みたいところであった。

「そうね。じゃぁ先ずはニースの装備をもう一度揃えに行かなきゃね。」

「あ、そうか。そうなると残りの銀貨も殆ど使っちゃうね。」

「装備の値段は命の値段よ。仕方ないわ。」


◆ ◆ ◆


いつも通り迷宮入り口のギルド職員にカードを見せる。

「聞いたぞ、ニース。2度も盗賊に襲われたんだってな。」

嫌な事を思い出させられたニースだが、ギルド職員に悪気がある訳でもないので黙って頷き返す。

「2度もはね除けたのは驚きだが、その事で今後も逆に目を付けられるかも知れん。くれぐれも気を付けて無理せず行く事だ。」


中に入ったニース達は1階層の構造が以前と同じである事を確認する。

「7階層まではさくっと進んでファイアリザードをメインに狩ろうかと思うけどどう思う?」

「そうね。低階層で稼ぐにはそれが良いかもね。」

ファイアリザードは喉元に炎の精霊石であるルビーと石炭を持っており、全身を覆う鱗は耐火性に優れ、各種装備品の素材として初~中級冒険者に人気が高い。

綺麗に剥ぎ取れば1匹で1500オーロ程度になる。70匹も倒せば目的の10万オーロに手が届く


「・・・っと、団体さんのおでましだ。」

ホーンラビット3体にジャイアントラットが2体の群れだ。


「ウィル・オ・ウィスプよ、我に力を!ライトニングファイア!!」

ニースは詠唱を省略せずに精霊魔術を放つ。

詠唱を省略すると素早い発動が可能だが、その分威力が弱くなるからだ。

今回は敵までの距離が十分にあったので威力を重視した攻撃を放ったのである。


ぎゃおぅ、と悲鳴を上げてホーンラビットが火あぶりにされる。

固い角は燃え残り、剥ぎ取りの手間も省ける。

ジャイアントラットに炎を放つと尻尾まで焼けてしまうのでホーンラビットをターゲットにしたのである。


次々と炎の矢を放ちながらニースはホーンラビットに間合いを詰める。

「ネズミは任せた!」

「了解、任されたわ。」

ニースもエメスも流石にこの階層の敵ならばまだまだ余裕がある。

ナックルガードで覆われたエメスの拳がジャイアントラットに撃ち込まれ、ごきり、と音を立ててあらぬ方向へ曲がる。

ニースも残った1匹を一刀の下に切り伏せ、20秒もかからずにこの日最初の戦闘は終了した。


◆ ◆ ◆


ニース達は10階層に来ていた。

「そっち!4時の方向からファイアリザード2匹!」

「了解!ストーンショット!!」

地面が突如隆起したかと思えばファイアリザードに石つぶてが雨霰の如く降り注ぐ。

石と言っても子供の頭程もある物が高速で飛来するのである。

いかに丈夫な鱗をもつファイアリザードとは言え、打ち所が悪ければ命に関わる。


トカゲ達が飛び上がって回避したところにはそれを待ち構えていたかの様にニースの剣が閃いた。

ブレスを吐いて応戦しようと開けた口に剣を突き立てられ、トカゲ達は敢えなく絶命した。


「ふぅ、やっぱりこの階層は少し強化されてるみたいだね。」

「そうね。構造も変わってるわね。この辺りなら効率よく稼げるかしら?」

「そうだな。強化されてると言ってもこの階層なら流石に2人で連携して狩っていれば死ぬ事も無いだろうしここで暫く狩りを続けようか。」


バックパックに入れて持ち運ぶにも精霊石と鱗は嵩張らず重量もそこそこなので容易いのである。


ところでニースとエメスは年齢も同じでしょっちゅうお互いの家を行き来しながら育った。

所謂幼馴染みの腐れ縁という奴なのだが、お互い憎からず思い合っている。

何より一緒に居て肩肘張らないところがお互い楽なのである。


それは戦闘に置いても同じであった。

視線で何となく会話が出来るのである。

実際は声に出して指示を確認し合っているし、会話が出来る程知能のある敵というのはこの階層では居ないので作戦を知られたりという意味ではそれ程影響は出ないのだが、コンマ数秒の連携ではやはり気心の知れた相手の方がやりやすいのは確かである。


「ブレス来るわよ!」

「了解!氷霊セルシウスよ、我に力を!ブリザードラッシュ!!」

この様に声を掛け合って戦闘してはいるが、ブレスの発動をエメスが止められなかった段階でニースの側にファイアリザードが受け流されているし、ニースもそれを声掛けの前にエメスが流してくるのを理解している、と言った具合である。特にその場の精霊の力を借りる精霊術では力の集中に時間が掛かる為、間合いの取り方が命取りに成りかねない。

炎の精霊と契約しているニースにとってファイアリザードは決して相性の良い相手ではないが、エメスと組みながらであればこそ容易に相手出来るのだ。


この日は結局夕方まで狩りを続けて17体のファイアリザードを狩る事が出来た。


◆ ◆ ◆


迷宮の中に潜ると太陽も何もかも見えなくなる。

ではどうやって時間を知るかと言えば、魔術である。

現在時刻を知るのが【タイム】、特定の時刻までの残り時間を知るのが【タイムリミット】であり、2人は午後5時になると【タイムリミット】が発動して帰宅時刻を知らされる様に設定していた。

初心者とは言え2人はそれなりに熟練した戦闘技術を持っているのでこの様な魔術に頼らなくても適当なスタミナ配分は出来るのだが、最初の内は決して迷宮を舐めてかからない事をローラからキツく言い渡されていたので丁寧に対応する事にしている。


「5時になったみたいだな。」

「そうね。良い運動になったわ。」

数日前に狩りを始めたルーキーは決して10階層で良い運動になどならないどころか辿り着けずに斃死するのがオチなのだが、2人はそう言う意味で遙かに初心者離れした力量を持つ。

普通なら1階層で1日狩り続けられれば初日としては二重丸、と言う具合だ。


この日の成果は2万5千オーロであった。

「この調子なら1週間もあれば目標額に達するな。」

「そうね。少し気が早いけど帰りにギルドに寄って仲間募集掛けてみましょう。契約神ミスラに誓って邪な事を考えてないと誓える人を、ね。」

「出来れば後衛職の人が良いなぁ。魔術師か弓師か。」


果たして彼等のパーティに次に仲間になるのはどんな人物なのであろうか。

次のお仲間、実は作者の頭の中にもまだ居なかったりします。只、ジョブは既に決まっていますよ。

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