表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リモート会議してたらダンジョン管理者になって、改善してたら魔王に定義されました  作者: 遠藤 世羅須


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/15

第8話:バックアップ定義 v1.1

直人はダンジョンの脆弱性に気付く。「気付く」と改善の意識が持ち上がってくる。仕事柄放っておけない性分が身についている。しかし、現実との狭間で葛藤が続く。

撤退ログが消えるのを待って、直人はキーボードを叩いた。

必要なのは感情じゃない。次の一手だ。

ミリアが覗き込む。

「新しい子、追加するんですか♡」

「“オーク投入”はまだ早い。中間が要る」

直人は新規ドキュメントを開く。


【バックアップ定義 v1.1】メイジ&リザードマン(ペア運用)

ミリアが頷く。

「わあ♡ 急にRPGっぽい♡」

「今さらだろ」

挿絵(By みてみん)


1) 目的

目的:勇者級の偵察・連携に対し、“戦闘で勝たずに情報を渡さない”

ゴブリンの巡回・段階式対応の“上”に置く

オークほど露骨に「魔王が本気」だと悟らせない

ミリアが囁く。

「“本気に見せない本気”ですね♡」

「そう。社会人が一番得意なやつ」


2) 役割分担

メイジ(後衛・環境担当)

“魔王の存在”を確信させないレベルの介入(派手に倒さない)

リザードマン(前衛・迎撃担当)

斥候狩り(特に“影走り”系の動きを止める)

ゴブリン隊の退路確保・回収

ミリアが付け足す。

「リザードマンは真面目なので、巡回と相性いいです♡」

「真面目は運用に向く」


3) 発動条件(いつ出すか)

侵入者が“戦わずに条件を探す”動きをした場合

ゴーレム封鎖が誘導として見破られた場合

ただし、侵入者が一般冒険者なら出さない(過剰)

ミリアが指を一本立てる。

「出したら“魔王がいる”が確定しちゃいますから♡」

直人が即答する。

「確定させない。疑わせて帰す」


4) 行動ルール(“勝たない”ための制約)

撃破禁止(勝ってしまうと次が硬くなる)

情報遮断優先(手札を見せない)

派手技禁止(目立つと“魔王の指”が太く見える)

撤退導線は必ず残す(撤退が合理的であることがKPI)

ミリアがにっこり。

「KPIが“撤退”って、素敵ですね♡」

「素敵じゃない。胃が助かるだけだ」


5) 侵入者側への見え方(演出)

メイジ:偶然の霧、偶然の暗がり、“ダンジョンが息をした”ように見せる

リザードマン:単独の古強者に見せる(指揮系統を感じさせない)

“操ってる感”を出しすぎない


メイジとリザードマンの運用を固めた直後、直人は息をつく暇もなく、

さらに部隊枠を増やした。

増やさないと回らない。回らないと、現実側に漏れる。

追加したのは三組。

ゾンビ&ワイバーン。

ワーウルフ&トロール。

スコーピオン&ベヒーモス。

それぞれの“役回り”と投入の基準だけ、最低限まとめて、システムに通す。

細部は後だ。今は穴を塞ぐ。

挿絵(By みてみん)


ミリアが、腕を組んで涼しい顔をした。

「……直人さま、増やしすぎじゃないですか♡」

「必要なんだよ」

「必要なのは分かります♡ でも、管理が地獄になります♡」

「既に地獄だろ」

「種類が増えると、地獄の“管理工数”が増えるんです♡」

「離職防止だ。ダンジョンはブラック企業じゃない!」

ミリアはため息をつき、にやりと笑った。

「管理って言葉、ダンジョンで使うと急に怖いですね♡」

「怖くしないでくれ。現実側も同じだ」

直人は画面の警告を一つ潰しながら、ぼそりと言った。

「……数を増やしても、回せなきゃ意味がない。次は“回し方”だ」

ミリアは、笑顔だけは極上のまま頷いた。

「はい♡ では、管理者さま。次は“運用”のお時間です♡」


直人は最後に太字で書いた。

※勇者に「魔王の仕様」を学習させない。

※直人の口癖は封印(努力目標)。

ミリアが即座に追撃する。

「努力目標♡」

「笑うな」


直人は保存ボタンを押し、深く息を吐いた。

現実のSlackが鳴り、ダンジョン側のログも鳴った気がした。

ミリアが囁く。

「二度目、来ますね♡」

直人は低い声で返す。

「来る前提で回す。……俺は、“魔王”でもなんでもいい・・・いや良くない」

ミリアは嬉しそうに笑った。

「はい♡ では次回、勇者再戦(対策済み)です♡」

直人は画面を見つめたまま、短く呟いた。

「……面倒が、始まるな」


(第9話に続く)

「改善」は始めたら止まらない。直人は二正面(三方向)対応を求められるようになってゆく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ