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序 神成 勇人

序 神成 勇人


 手を、延ばす。

 頭上、遙かな高みにあるそれに。手が届くような距離ではないことはわかっている。でも届きそうだと思ってしまう。それが何かはわからない。でも、自分にとってとても重要で、どうしても手に入れなくてはならないものだという事だけはわかる。

 だから、手を延ばす。何度も手を延ばし、それでも届かなくて、掴む手は空を切ることを繰り返すだけなのに、それでも諦めることもできず、何度でも。

 あるいのは、何かの拷問なのか。届くような気がするのに届かない。永遠の徒労、しかし一筋の希望。それがあるがゆえに、やめることは出来ない。あの葡萄はすっぱいのだと、そう諦めることが出来さえすれば、楽になれるというのに。それでも、また手を延ばす。

パンドラの箱に詰められていたのは災厄。その中にあった、たった一つの希望。箱の中に、他の災厄全てが出切ってしまってもまだ残るほどに深い最奥にしまわれていたもの。封印の箱の中で、更にパンドラに『出す』という契約を結ばせなければ出ることすら出来なかったほどに強い封印をされたもの。それが、それほどに厳重にしまわれていたものが、他の全てを凌駕する最悪の災厄ではないと、どうして言い切れるのだろうか。

 それでも手を延ばす。今度こそは届きそうな気がする、届きそうな気がするという以上の理由などないその希望へと向かって。

 あと、もう少しで届く。もう少し、あと、もう少しだけ・・・

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