探索、開始します。
翌朝、私は綺麗さっぱり疲れも取れて、とてもすっきりとした気持ちで目覚めることができた。
でも見知らぬ天井があった。
「え~と…」
起きてすぐに思い出すことができなくて、しばらくボケ~っとしてからやっとここがどこなのか理解できた。ここは私が昨日作った新しい家だ。
あれ、今更だけど、家作ったら冒険も旅もできない?
そう思っていると、部屋の入口のドアがバーンと開いた。
「す~ず~!!おっはよ~!よく寝れた?」
うーわびっくりしたぁ。心臓止まるかと思った。
「もー朝からうるさいよぉ。起きてなかったらどうするの」
「ごめんごめん。でもね、今そこで塩を見つけたの~」
「え、塩?それならしょっぱいものが食べられる?」
「うん。そういうこと~。あと~今思い出したんだけどね、砂糖もお米もパンも今すぐ食べられるんだよね。サトウキビと稲だから」
「それもっと早く言ってよー!」
砂糖が使えてご飯も食べられる。パンも作れる。食べるものの幅が一気に広がるじゃん。何で今まで思い出さなかったんだ! 私!
いや待てよ、器は?
今日の朝ご飯はもちろんお米を入れた。なぜかリルが持っていた飯盒で炊いたから少し焦げたけど、すごく懐かしい味がした。
***
よ~し今日は本格的にこの森を探索だー!
森の中を歩いて、どこにどんな場所があるのかできるだけ覚えていく。
中には光り輝いているようなとても綺麗な池や、大きな滝などもあって、インスタ映えするだろうな~と思いながら見ていた。
私は周りを見ながらリルに話しかける。
「ねえねえリル。」
「なあに鈴?」
「リル以外の妖精とか動物に一回も出会ってないんだけどこれはどういうことか分かる?」
「あ~これは仕方ないと思うよ。みんな警戒心が強いからね。それに、鈴だって動かないと思っていたものが突然動き出したら警戒するでしょ?」
うわーそんなふうに思われてるかもしれないってことかな?確かに私も近づいていこうとは絶対に思わないわ。
「でももう少ししたら近づいてきてくれると思うよ~?」
「そっか。じゃあ気長に待つか。」
まずは害が無いって理解してもらわなきゃだね。
そんな感じで楽しくおしゃべりしていた時に、少し先を飛んでいたリルが、
「わっ!」
と叫んだ。
「えっ、どうしたの?」
「み、見ちゃう?」
リルが少し揺れた声で言って、先を指し示す。
そうすると、そこには真っ白な毛をした狼がいた。
それだけならまだよかったのだが、その狼が血を流して倒れていた。
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