魔物と、聖女様。
フワン
「よっ、と。えーとここは?」
「どこだろうね~」
転移をしてスチャッと地面に着地し、辺りを見渡す。
そこは森だった。確かに森だった。でもジャングルという言葉がとても似あう森だった。辺りはうっそうとして、草木が生い茂っている。
「うわ~確かに森だけどなんか思ってたのと違う!」
「もうしょうがないよ~」
「うん。そうだね。悲観してても仕方ない! うん! やっと冒険っぽくなってきた!」
もう開き直ってここを楽しもう!
なので、まずここを探索するにあたって拠点を作ろう。
険しい森の中を苦労しながらしばらく歩き回った後、小さい木が1本だけ生えた、開けた場所に出たのでここに作ることにする。
「なぜかわからないけどここだけ開けてて日当たりもいいし、すっきりした感じがあるからなんかここに拠点を作った方がいい気がする!」
「そうだね~真ん中らへんにある小さい木から神聖で綺麗な空気が出ているから魔物とかも寄って来なそうだね~」
「そうだね~って、うん? え? あれ? 今魔物って言った?」
「うん。言ったよ?」
うわーこの世界魔物がいる感じか~。嫌だな~。でも知っておいた方がいいよね。
「魔物のこと教えてよ」
「いいよ~。えっと、まず魔物っていうのは、鈴も知っている動物が邪気に当てられて狂暴化したもののことだよ~。」
「そっか。魔物って可哀そうな生き物なんだね…。ねえ、魔物を元に戻すことってできないの?」
「う~んできないわけじゃないけど限られたひと達しか出来ないんだよね~」
「それってどういうこと?」
「生まれながらにして、聖属性の魔法が使いこなせる才能があって「浄化」ができる人しかできないの~。魔物を救える唯一の存在だね~。そしてその人たちはこの世界に数少ない光の妖精に愛された光の巫女とか、聖女様とか呼ばれているんだよ」
光の巫女、聖女様。
私はその言葉に聞き覚えがあって衝撃を受けた。
なぜかその言葉を聞いたことがないはずのにどこかで聞いた気がする。
「そういうのは、わかるひとにはわかるんだよね。巫女には普通の人には分からない、何か特別な力があるらしいよ~。」
「ふぅん。」
「基本的には魔物に会ったら倒すしかないかな。それか邪気が発生している根源を浄化する。未だに見つけられてないけどね」
こんな悲しいことがあっていいのか! いや、絶対にあってはならない! 私のできる限りの力をつくそう!
お読みいただきありがとうございました。
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