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高い山、対する私たち。



 やっと追いついて、登り始めようとするけど、ここで一つの問題が発覚。


「これ……どうやって登る?」


 目の前は、ザ・断崖絶壁。

 その横は岩山なんだけど、なぜかすんごくつるっつるだし、ほぼ90度にそそり立っている。

 その反対側の横を見ると、山のいちばん上から流れてきてるっぽい大きな滝。

 それらは遠くから見ると、綺麗だなー、意外と登れるかもしれないなーとか気楽に思えるけど、いざ目の前にすると、「これ、無理じゃね?」って思うやつです。コイはもちろん、人でも一番下に行けば即死レベルの水の勢い。

 頂上に修道院とかそんな感じのものがありそうな。


「私の魔法でまた飛ぶこともできるけど、この前みたいなことになるのはいやだ」


 魔力が少なかったし、油断もあったのかもしれないけど、ちょっと、ちょっとどころじゃないけどトラウマみたいな感じになってる。


「今登ろうとしているところから登るのは難しそうだから、もう少し回り込んで、登れそうなところを探してみようか」


 そのルアラスの提案で少し周りを歩いてみたけど、低くて登りやすそうなところがあっても半円状に湾曲しているところ最初は低いから越えられるかもしれないと思っても、深く、中に魔物がたくさんいる渓谷が待っているところ。煙がもくもくと立ち昇って今にも噴火しそうなところ、凍っていて、なぜかそこだけとても寒いところ。

 ──などなど、ここからは通さんぞとばかりに、登れない山──なのだろうか──に道をふさがれて、とても迷惑している。


「私はもともと妖精だから、上まで飛べないこともないけど、引っ張るのはさすがにちょっとね〜」

「やっぱり自力でロッククライミングみたいに登るしかないよね! 気合いで!」



 そうは言ったものの、岩にクナイを何度も叩きつけて地道に登るのでは時間がかかりすぎた。


「疲れたよぉーー......」


 時間をかけて、もう結構登ったかな、と思って「今どのくらい登ってるー?」とそう下の3人に聞いてみても、ルアラスがジャンプしながらこのくらい、と言うくらいの高さしかなくて、この登り方は断念した。

 そしていま、私は地面と共にある。


「私にこの山は早かったようだ….....」

「諦めるのはや~い」

「現実逃避してる」

「あ、それならいいものがあるよ」


 それでルアラスが取り出したのは。

 ──謎の小瓶だった。


「なにこれ」

「魔法の薬。僕がつくった身体強化できるすごい薬。多分疲労も回復できる」

「怪しすぎない?」

「まあまあ。ルアラスが変なものを持ってくるはずが….....はずが….....。あるのかも?」

「そこはないと言ってほしかった。でも安心して。効果は実証済みだから」


 安心していいのだろうか。どこからどうみても、怪しい緑の液体。どこかの植物から作ったのだろうか。

 でもルアラスは実証済みと言っているので効果はあるらしい。


「そうだ〜。ちなみに、副作用とかは大丈夫〜?」

「副作用は、僕が試したときには特になかったよ、顔がいつもより白いって近くの妖精から言われたくらいで」


 間違いなく体調崩してる!


「まずは飲んでみなよって」

「飲んじゃダメなやつなのでは?」

「一応効果が消える薬もセットで作ったから大変なことになったら使えばいいよ」

「解毒薬….....」

「毒とは失礼なー」

「いやそんなつもりじゃ、これは毒じゃないんだよね? じゃ、じゃあ飲んでみるよ?」


 ここで迷ってたって時間が過ぎていくだけ!

 ルアラスから受け取った小瓶を、立ち上がった勢いに任せてグイッと一気に飲み干した。味はしない。

 のどからひんやりとしたものが流れていくのを感じて少しすると、疲れがなくなったような気がした。


「わ、効いてきた。今ならいろいろできる気がする!l

「あー何もなくてよかった….....」

「ちょっと、今の聞こえたよ。やっぱり危ない薬?」

「それは......」


 まあいいやと試しに跳んでみると、私の身長をはるかにこえ、森の木と同じくらいの高さまで目線が上がった。


「おー! たかーい!」


 これならいけそう!





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