友だちふたりの、ひみつごと。
「えーーーーー」
いい感じのって何!? 大きい動物って強いんだよ! 魔物も動物も、人間を乗せてくれることなんてないよね!?
捕まえたところで、上手く乗って制御できるの?
「大丈夫、君なら簡単にできるから」
そう言われてしまったので、リルとアルテアに助けを求める。
「りぃるぅ〜アルテア〜、いまの話聞いてたよねぇ〜。私にできるかな?」
「う〜ん、わたしもやったことないから分からないけど、頭が良い動物なら、話をわかってくれる可能性も….....」
「無くはー….....….....ないかも」
「ね〜、って感じ〜」
沈黙が長い!
やっぱ難しいそうだよ!? そういう思いを込めてまたルアラスを見るけど、大丈夫、大丈夫と言った感じに流されてしまう。
こんなことならロディニアとか連れてくるべきだった。
どうしようどうしようと悩みながら歩いていると、突然「危ない!」という声がしてすぐに、おでこに痛みが走った。
「っ、いっったーー!」
どうやら木の幹におでこをぶつけたらしい。血も出ているし、とっても痛い。
「もう少し早く言ってよぉ」
「ごめんよ」
「ちゃんと気づくと思って」
「なんとかなるかなって」
みんなテヘッと笑っている。
おでこって意外とダメージ大きいね。
治癒を使って傷を治していると、「光魔法使えるの?」とルアラスから尋ねられた。
「言ってなかったっけ、まだ少しだけど使えるよ」
ほら、と傷が治りかけているおでこに指を差しながら答える。
「へぇぇ」
「こうやって傷を治したり、ちょっとした光を出せる程度だけどね」
「….....それでも使えるのはごく少数だよ」
光魔法を使えるひとは限られてるって聞いていたけど、ここまで驚かれるとは思わなかった。
おでこの傷をちゃんと治した後、魔法について色々教えてもらいながら歩いていくと、面白いことがたくさん聞けた。
その話を聞いて思ったのは、この世界は、やっぱり私が知っている世界とは全く違うこと。私が普通の中学生だった頃には科学で世界が成り立っていたけど、今は魔法で全てが動いていると言っても過言ではないらしい。電気は火魔法や光石っていう光る石があるから夜も明るいし、水は魔法で生み出せるし、川の水は、どこも飲めるくらい綺麗らしい。温めるとか焼くっていうのは言わずもがな。冷蔵庫は氷魔法。私の場合は、空間魔法が作動しているバックやポケットの中に入れておけば保存できる。
ということで、おおよそ魔法で代用できているわけだ。
それに、リルとかから聞いたことがあった妖精の国。
あとは、昔人間でも妖精を見ることができる国があったとか言ってた気がする。
たくさん聞いた話をを整理していると、ルアラスが信じられないことを言った。
「それから、これはとっておきの話」
「ほほう。なんでしょうかね」
「今からこえる山脈のどこかに、竜が住んでいるとする説があって、その証拠に付近では竜が目撃されている」
「初耳〜! 今すぐにでも探しに行きたい!」
「結構有名な話だから、そこのおふたりも知っていると思うな….....」
このふたり──リルとアルテア、さっきからなにも言わない。
そのことに気づいてふたりの方を見るけど、わかりやすく目が合わない。
もしかして、知っていて私に教えていない──!?
と思った瞬間、リルの口が動いたのを私は見逃さなかった。
『だから言わなかったのに』と、私でもぎりぎり聞こえるかというくらいの声量で言ったのを聞き逃すはずがない。




