花魔法は、有能でした。
「これ食べればいいんだよ~」
「えっと…これリルがやったの?」
そうじゃないと辻褄が合わない。だって今は春なのに夏や冬が旬のものもあったから。
「うん。そうだよ~。教えてなかったっけ。花属性は植物属性ともいわれていてね、植物をはやすこともできるのよ~。だから植物である野菜と果物はいつでも食べれるんだよ!花魔法すごいでしょ!」
リルがドヤ顔で言う。
いや教えてもらってないですリルさん! そんな便利な魔法あったのね! 花魔法有能すぎるじゃん!
「そ、そうなんだ。これ、もちろん食べられるよね?」
「そりゃあ食べるために作ったんだから~」
いけない、いけない。びっくりして思わず疑っちゃった。そうだよね。食べれないわけないよね。
「じゃあいただきます!」
「どうぞ~」
リルが作った、生でそのまま食べられる野菜と果物を食べてみる。
リルも私の隣で小さめのものをむしゃむしゃ食べる。
「わっ!すごくおいしい!野菜や果物が一番美味しい旬の味だ!」
「ふふ~ん。私はそういうの熟知してるからこんなことは朝飯前だよ!」
「リルすごーい。花の妖精の本領発揮だね!」
ふんす、と威張っているリルが可愛かった。
その後は、楽しくリルと話したり、魔法の練習をしたりして過ごした。
***
夕ご飯を食べて、寝る準備をしながら私は考える。
どうしてこうなったのだろう、と。
最後に眠った時から200年経った今、目覚めたのはなぜなのか。なぜ人間だけいなくなったのか。なぜ私は生きているのか。考えれば考えるほどよくわからない深いところまで考えてしまって、結局最初の疑問に戻る。
というかこれってある意味異世界転生じゃない?
もう過去のことをいろいろ考えても仕方ないので、これからのこと、これからどうするかを考える。いっそ思い切って旅に出てみるとか? 魔法も使えるようになったしそれも案外いいかもしれない。時には思い切りも大事だ。いろんな種類の妖精に会ってもみたいしね。
「リル~~。私旅をするの!」
「そうなの?いいんじゃな~い?それなら明日旅支度をしよっか~」
「うん!そうだね!」
すごく簡単に今後のことを決めてしまった。
なんだか楽しみになってきたぞ~!
学校や勉強から解放された今、これからは自分の好きなことをとことんやるんだ!
私はわくわくしながら眠りにつき、とても長く感じた目覚めてからの1日目が終わった。
お読みいただきありがとうございました。
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