ちょっとなら、イタズラしても。
部屋に戻ってバルコニーからサリアを探す。この時間なら外の畑とか花壇ら辺にいるだろう。
そう思って探すと予想通り畑で野菜に、雨を降らせるみたいな方法で水やりをしていた。
そうだ! 普通に呼ぶんじゃなくて、せっかくだから魔法を使って気づくか試してみよう。ちょっとしたイタズラで。
まずは水で。サリアのところに少し雨を降らせてみる。
「ほいっ」
杖をちょっと振って魔法を使うと、サリアは指で上を指して、ひょいっと前に振った。私の雨も畑の上へいってしまう。
どうやら自分がつくった雨が上にきたと思ったらしい。
悔しい。
次は花と風。
魔法で出した花びらを風で運ぶ。
「そーれっ」
杖を振る。花びらと風がサリアの元へ届いてサリアの周りを回ったが……。サリアは微笑んで周りを見渡し、また視線を畑の方へと戻す。多分、綺麗だなーだけで終わっている。少しくらい不思議に思わないの? 綺麗な花びらが自分の周りを心地よい風と共に回ってるんだよ?
またもや失敗。
今度こそ。炎だー!
火の玉を送り込んでみる。普通じゃ分からないかもしれないから色が変わるようにしておく。
「えーい」
杖に力を込めて振った。火の玉がサリアの横へといくと、流石に驚いたようで火の玉を見て飛び退いている。
それから私がそれを引き寄せると、サリアはこちらを向いて、目を見開いた。
「すずさん!?」
やっぱり驚いてるね。作戦成功。
「そーだよー! ちょっとこっちに来てくれるー?」
「はい、今行きますね!」
そう言ってから、サリアは玄関の方へ飛んでいった。
そのまま飛んで来るんじゃないんだ……。
「──すずさんこんにちは! 呼びましたか?」
そんな事を考えていたら、サリアが駆け込んできた。いや、飛び込んできた?
「やっほー、来てくれてありがとう。北の山脈と、その向こう側のことが知りたくて呼んだの。どんなところがあるか知ってる?」
「あのとても遠いの山脈ですよね……。情報は少ないですが、寒くて魔物も強いという、過酷な場所ということは知っています」
「魔物も強いの?」
「はい。この前わたしたちが戦った、レッドカルフくらいの魔物が多いらしいです」
「え〜……」
レッドカルフは、この前ここの近くに出た大きなクマの魔物だ。体は大きいし力は強いし、なかなか手強かった。あれがここら辺の弱めの魔物と同じくらいたくさんいるとなると、倒せないこともないけど面倒だ。でもあれからもっと鍛錬したから少しは楽になってるかな。鍛錬はずっと必要! 力は裏切らない!
もっと、ちゃんと色々聞いてから判断するべきだったと今さら思う。
でももう、行くしかないし、別に後悔はない。
メリークリスマスです。いつか、クリスマスエピソードも書きたいな….....なんて思います。




