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上着を、作ってもらいましょう。



「……わかった」

「じゃあ明日出発でいい?」

「全然オーケー。間に合わなかったらごめん」

「すずちゃん寝坊しないでね」

「……がんばる」




 明日の準備をするために部屋に戻りながら考える。

 どのくらい遠いんだろう、何があるんだろ、どんな服がいいのかな。

 そんな時に頼れる子達がいる。1人目はサリア。確かここら辺の地形に詳しかったはず。2人目はラレットという。

 階段を登る途中でばったりある妖精と鉢合わせた。


「すずさんじゃないですか。どーもどーも。毎度お世話になってます」

「ちょうどいいところに来てくれたね」


 茶色の髪を横で二つに結んだ髪型に、キリッとしたややつり目がちな目元を隠すようにかけられた丸メガネが特徴の、この子がラレット。ちなみに風の妖精。

 色々な布製品を作ってもらっていて、特に彼女が作る洋服はデザインも着心地も最高だ。

 作ってもらったお礼はどうしようかと迷っていたときにリルから、妖精は大体お菓子が好きと聞いたので手作りのものをあげてみた。そうしたらすごく感激されてこれからもよろしくお願いしますと言われてしまった。

 そのことがあってから、積極的に仕事はないかと探しているようだ。


「今回も何か注文があるんですか?」

「うん。とっても寒いところでも大丈夫な上着が欲しいの」

「保温性に優れた上着ですか。デザインはどうしましょう?」


 さすが、話が早い。もうメモ帳を取り出していたり、そういう仕事熱心なところがとても尊敬できる。お菓子のためかもしれないけど。


「トレンチコートとか憧れてるんだけど、長かったりして動きにくくなっちゃうかな」


 少し長めだから動きにくそうだと思ってたんだけど、実際はどうなんだろう。


「トレンチコートなら、短めの裾にすると、おしゃれで動きやすいデザインになっていいかもしれませんね」

「そんなこともできるんだね。私は全く分からない……。じゃあデザインはそれで、色はどんなのがいいかとかある?」


 ラレットは、すぐに色々とメモをして、返事をしてくれる


「そうですね......、白、黒、茶などがメジャーですけど、その中でもすずさんには白が合うと思います。それから、毎度ながらこのわたくしのすごい技術で特殊な加工をしておきますので、汚す心配はしなくで大丈夫です! そうだ! イニシャルとかつけてもいいですね!」

「そうなのね。それでお願いします......」

「ではすぐに終わらせて持ってきますねー!」


 スキップでもしそうなくらいの輝く笑顔を浮かべてすぐに階段を降りていった。

 結局全部任せてしまったけど、ラレットの案が良すぎて何も言えない。この発想力もすごいけれど、いつも一瞬で仕上げてくるのだから仰天するばかりだ。





この家にあるカーテンやベッド、ソファなどは主に彼女が担当しており、それ関係のことになるとすぐに燃えます。たまに仲間が手伝いに来たりします。

仕事に生きる妖精です。

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