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不思議な、趣味。



 歩いている間にも、いろんなことが気になるらしい妖精たちは、ルアラスにたくさん質問をしている。


「ねーねー、今までどこ行ってたの~?」

「ちょっと遠くに行ってたよ」

「じゃあ何してたの?」

「趣味とか、あと……面倒なことを片づけたりかな」

「ふーん」

「それじゃあ次は……」

「ほらほら、質問攻めにしないの。そういうのは後でゆっくり聞けばいいから」

「「はーい」」



「ではではこちらへどうぞー」


 家の玄関のドアをガチャッと開けて、久しぶりにルアラスを招き入れる。


「前よりにぎやかになった?」

「あー、まあ、うん」


 多少散らかっていたり、にぎやかなのはいつものことだ。

 でもいつの間にか家具や雑貨とかが増えている。妖精も。


「みんなのお(うち)だからね」


 みんな勝手に住み着いているからもう少し広くしたいけど。

 とりあえずソファに座ってもらって。お茶を出して。

 私も正面に座って。

 それでは。


「えー植物の品種改良が趣味とお聞きしました。どんなものなのか、お見せいただいてもよろしいですか?」

「……」

 

 一拍置いてからルアラスの笑い声が響く。


「……笑わないでよ。ちょっと聞いてみただけなのに……」

「ごめん、少し驚いて。突然そんなことを言われるとは思わなかったからさ。真剣そうに最初に言うのがそれなのか……? ──ぷっ、くく」

「別にいいじゃん。気になったんだもん」

「……ふう。気になるなら見せてあげる」


 と、笑いが収まった彼は、持ってきていたバッグから鉢植えを取り出した。

 そこには綺麗な大きな赤い花が咲いた植物が植えてあり、葉っぱと茎、全体がくねくねと動いている、とても不思議で、見ているだけで楽しい花だった。

 思った以上にすごかった……。


「これが一番面白いと思う。踊る花」

「わぁ……。すごい。本当に花が動いてるし踊ってる……」

「これは、動きを活性化させる物質を魔法でつくった水と一緒に花にあげたんだ。単なる実験だったんだけど、1か月くらいしたら急に動き出したから驚いたよ」

「そんなことがあるのね……。でも混ぜた成分か魔力、どっちの効果があったのかは分からないね」

「ああ、そうかも」


 それは実験にならなくない?


「趣味でこんなことができるってすごいね」

「……いや、そんなことは……」


 ルアラスは少し照れ臭そうに言っている。

 その横では、さっき花がキレのある動きをしている。ポーズも決めちゃったり。意思でもあるのか……?


「他にもあるの?」

「そうだなぁ……。変な曲みたいなのが流れるのがあったり、花が石だったり──」


 そのあとも花とか魔力とかいろいろ楽しく話していたら、いつの間にか夕方になっていた。


「もうこんな時間かー」


 あ、肝心の話ができていない。

 呪いとかいう話を忘れていた。そのために来てもらってるんだよ。

 そういえば、こんな話には伝説とかがつきものなんだよね。なぜか。


「そういえば前に言い忘れていたことがあったんだけど──」

「呪い関係の伝説とか?」

「どうしてわかったの?」

「言い伝えとかよくある話だなーと思って」

「ちょうどそんなところ。関係あるかはまだ分からないのだけど……」


 そうしてルアラスは話し始める。



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