紙ひこうきと、再会。
「あーこの間の紙ひこうき大会楽しかったな~」
もう紙ひこうき大会が終わって数日経つ。
折るのに苦戦したり紙ひこうきを水たまりに落としたり、ドッキリ仕掛けられたりしたけど、最後は楽しく終われたからよかった。
あの時落とした鳥ひこうきは、いろいろな方法を使って、汚れを落とせないかと工夫した結果、少し跡は残っているけれど、ほとんど綺麗になった。
今、バルコニーから鳥ひこうきを飛ばして、どうやったらちゃんと戻ってくるのか試している。
「あっ、またあっちにいちゃった」
実験に失敗はついてほしくないけどついてきて、10回飛ばしたうちの6回くらいは変な方向に飛んでいって戻ってこない。
そのたびにバルコニーから降りて取りに行っている。
幸いに、昨日も今日も雨は降っていないから前みたいに泥だらけになる心配はないから安心だ。
「よいしょっと」
上から飛び降りて地面に着地。決まった。
バルコニーから降りるといっても、わざわざ部屋から出て階段を下りて、玄関から出て……という、そんな面倒なことはしない。
瞬間移動は疲れるから使用は最低限。
私はそのまま走って紙ひこうきを追いかける。
紙ひこうきはそのあと少し飛んで、速度を落とし、近くの森の近くまでいってポトリと落ちた。
取りに行こうとしたとき、聞き覚えのあるような魔力の音が聞こえた。2つの音が混ざっている感じのとにかく不思議な魔力。普通はスッと一つの音が聞こえるのに。前と少し違う感じもするけど。
もしかして、と思って森の方に目を凝らすと、大きな荷物を持った誰かがこちらに歩いてくる。一応戦えるようにしておくけど、多分この人は。
そう思ったときに、その人に日が当たり、綺麗な顔が見えた。そして少し手を上げて声をかけてきた。
「久しぶり」
「わぁ」
と、そう言ってしまった。だってびっくりしたから。
しばらくどう答えるべきか迷ってから、言葉を返す。
「……しばらくぶりだね。あ、おかえり?」
「ただいま──かな?」
その人──ルアラスはふっと笑った。
「──わ、笑わないでよぉ」
「だって質問に質問で返すような会話をしたから面白くなって」
「分かんなかったから仕方ないじゃん」
ふん、とそっぽを向く。何に笑ったかは知らないけど。
そうすると、落ちた紙ひこうきを拾ったルアラスが話しかけてくる。
「ほら、こっち向いてよ。この紙ひこうき君のでしょ? 振り向かないと受け取れないよ」
「分かったからそれ返して」
「凝った折り紙だね。何かに使ったの?」
「ふっふっふ、よくわかったね。これは、この前の紙ひこうき大会で使ったものなのです!」
ジャーン、と取り返した鳥ひこうきを掲げる。
「それに、これは2つの部門で最優秀賞をもらったんだから!」
「へえ、すごい紙ひこうきだったんだね」
「そうだよ! 名付けて鳥ひこうき!」
と、そこまで言ってからハッと我に返る。
いけないいけない。
少し褒められたらすぐに機嫌を直して、これじゃあ子供みたいだ。
「あれ~、ルアラス~? 久しぶり~」
「あ、本当だ!」
「本物だ!」
しばらく話していたから、妖精たちが気付いて寄ってきた。
「じゃあ、ここで話してるのもなんだし、とりあえず家に行こう」
また久しぶりで、すみません。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。




