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紙ひこうき大会、開催しちゃいます。~結果発表編~①


「そ・れ・は・ね~」


 ゴクリ。


「ほ」

「──炎の力なんです!」

「わっ!」


 答えたのはサリアだった。


「ちょっと! あたしが言いたかったのに~」

「別にいいじゃないですか」

「うん?」

「あ、この紙ひこうきは、私が考えたんです。でも飛ばすのはエルラさんの方が上手だったのでエルラさんにやってもらいました」

「そうなんだ。でも」

 ──どうやって飛ばしてるか全くわからん。


「あとは秘密~」

「です!」


 せっかくすごい紙ひこうきの仕組みが分かると思ったのに~! ここで諦めるわけにはいかない。

 だけど………うーん。

 少し考えて分からないからもういいや。


「…ふーん、そっか」

「えっ、もっと聞かないの?」

「だって私がちょっと考えて分からないから、難しい仕組みなんだろうな~って思って」

「せっかく教えてあげようと思ってたのに」

「そう? 教えてくれるなら、聞く聞く!」

「実は、あれは魔法でもなんでもなくて、2人も火で紙を燃やしたら小さくなって飛んでいくのを見たことがありますよね? それを使って高く飛ばしたんです。つまり、そういうことです」


 あれ……それは、もしかして……


「もう燃えて消えちゃったとか、言わないよね?」

「せいかーい!」


 あーあ、せっかく紙ひこうきの研究ができるとおもったのに。


「でも、がっかりする必要はありません! とっても軽い紙で、高く飛ぶ紙ひこうきを作ればいいんです。すずさんなら私たちよりも良いものを作れるはずです!」

「そっか! 分かった! ありがとう!」 

「1位はあたしがもらうからね!」


 と言い放ったエルラとサリアとはそこで別れた。

 あの……部門が違うんです。



 その後の競技は、最後の速さ部門が盛り上がってたなー、というくらいしか覚えていない。

 サリアの話と、どうやって紙ひこうきを作るかを考えていたのだからやむを得ない。


 でも流石に最後はちゃんとやったよ。 


「では、ドキドキハラハラの競技の時間が終わり、いよいよ表彰のお時間です! 審査員の皆さんから、各部門の上位3人を発表してもらいまーす! それでは、どうぞ!」

「…えーっと、ここからはわたし、アルテアが中心になって結果発表をしまーす。では、早速みなさんが気になっている飛び方部門から! 第1位は…………すずさんです!」


 その声と共に、私はみんなからの盛大な拍手を受けた。

 称賛の声の中に、「もう一回見せて」という声が聞こえたので、せっかくだからもう一回飛ばそうと思い、思いっきり鳥ひこうきを飛ばす。

 さっきのように戻ってくると思ったけど…

 突然、ぶわっと強い風が吹いた。あ、マズい。

 鳥ひこうきの方を見ると、風に煽られて森の方へ飛んで行ってしまった。大変だ。


「あ、アルテア! ちょっと鳥ひこうき取ってくるからしばらくよろしく!」

「えぇ、待ってよすずぅ…」


 私を呼ぶアルテアの声も聞こえたが、早く追わないと鳥ひこうきがどこかに行ってしまうかもしれないのだから追うしかない。

 集まったたくさんの妖精たちをかき分けて走って行く。

 はあ、森の中じゃ気が邪魔して鳥ひこうきが見えにくいし走りにくい。も~う! タイミング悪すぎだよ! どこまで行くの⁉

 高度が落ち始めた。よりにもよっていい感じに風に乗ってすごいスピードで飛んでるから追いつけない。あのまま落ちたらぬかるんだ地面で泥だらけになってしまう。この状況はピンチ中のピンチだ。それにあのひこうきは私にも進路が予測不可能だからいつ落ちるか見失うか分からないのだ。

 うわ! 急降下した!     


「あー! ダメダメダメ、落ちないでよ~」


 そんな私の思いとは裏腹に、私が作った見事な鳥ひこうきは、ベチャッと水たまりに落ちた。


「あぁ……。私の最高傑作が……。泥だらけに………」


 拾い上げると、予想通りびしゃびしゃの泥だらけだ。

 うぅ……、作るの時間かかったのにな……。

 まあ、今はとにかくみんなのところに戻ろう。この鳥ひこうき第一号は見事な生き様を見せてくれた。



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