呪いと、秘密。
25話まできました。
ルアラスは淡々と話し出す。
「ご存じの通り今は人間なんてほぼいなくなったも同然で、血筋なんて全く意味のないものになってしまいました。でも前は、僕の家は中々の権力を持った家で、僕はその跡継ぎの立場でした。僕は家の長男として生まれたその時から、呪いにかかることは決まっていたようなものです。なぜなら、その呪いというのは代々当主が亡くなると、跡継ぎにかかるというものだったからです」
「嘘…」
「嘘じゃないですよ。そのことを教えられたのは、僕が15歳になった頃でした。もちろん僕は呪いが嫌で、何とか避けられないかと家の図書室で資料を探したり、父に話を聞いたりしました。ある日、父はなぜ僕たちが代々呪いに苦しめられているのか、その原因が分かるような、秘密裏に伝えられてきた言い伝えを教えてくれました。それは、先祖がした元々は妖精との契約だったが、その契約が不要になったときから呪いと呼ばれるようになった、という話でした。他にも、当主が早死にすることが多いのは、呪いに苦しめられていることが原因、といろいろなことを話してくれました。父は自分も呪われた身体だから若くして逝くものだと思って、僕に様々な知識を授けたのでしょう。父はその時三十路でしたから。結局あまりこの話が少しでもお役に立てればいいですね」
そこまで話したところでルアラスはいったん区切る。
「アルテア、妖精と契約ができるものなの?」
「一応ね。大体の妖精は契約してもあまり力がないからする人は少ないよ。だからこのルアラスの先祖が契約をしたのは、数少ない力の強い妖精だと考えられるね」
「やはりですか……もしかすると言い伝えが間違っていて、契約したのが精霊だったという線はありますか?」
「そうね、それも視野に入れておこう。……しかもその血筋に伝わって代償が発生するなんて、余程力が強い妖精。意外と早く見つかるかも?」
とアルテアが答えるが、そう簡単にはいかない。
「僕が何年探していると思っているんです?」
「そうね~、簡単にはみつからないか」
みんなでう~んと頭をひねる。
「……」
「……」
「……ここでずっと考えてもあまり良い案は出ない気がしますので、一度外に出て気分転換するのはどうでしょう?」
ルアラスの提案に私は頷いて立ち上がる。
「そうですね。外を散歩してきましょう」
***
外に出ると、今日は雲一つない晴天だ。初夏らしい爽やかな風が吹き、周囲の綺麗に咲いた花々が揺れる。
それを見るとなんだか嬉しくなって、今日も頑張ろうと思えてくる。
花畑で、花に触れて、魔力で元気にしながら、ルアラスと話す。
「そういえばこの敬語、面倒なのでやめてもいいですか?」
「はい、話しやすい方が良いですから」
「ありがとう。ルアラスさんも気軽に話してね。私のことは呼び捨てでいいよ」
「さんはつけないでいいですよ。では、お言葉に甘えて。改めましてよろしく、すず」
「よろしくね、ルアラス」
と言って握手をした。
それからお互い今までどんな風に過ごしてきたかとか、好きなものとかをを話したりした。




