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怪しい、訪問者。


 飛び出した先で、瞬時に状況を把握する。

 ロディニアと他の狼たちと、敵が戦っていた。

 ロディニア達と戦っているのは、青みがかった髪をしている青年だった。お互いほぼ互角らしく、一進一退を繰り返している。

 だがだんだんロディニア達が押されてきたようで、攻撃を防ぐばかりになり、負傷して動けなくなる狼も増えてきたようだ。

 そこで魔法を使い続けていたその敵が腰から剣を取り出し、次々に狼たちに切りかかっていく。狼たちは魔法で防いだりよけたりするが、攻撃にあたってしまい、ロディニアの援護が難しくなっていった。そこで皆から離されたロディニアへ、敵が飛び上がり剣を振りかぶる。ロディニアは火の玉を飛ばし、防ごうとするがあっさりと避けられ、目の前に刃が迫る。

 こいつ、強い。

 このままではまずいと思った私は身体強化の魔法を自分にかけて、即座に剣を取り出し敵が振り下ろす剣とロディニアの間に剣を差し込み敵の剣を防ぐ。

 すぐに剣を押し返し攻撃を入れるけど弾かれて、敵は後ろへ飛び上がり距離を取られてしまう。

 一度敵が剣を下ろし話しかけてくる。


「こんにちは。人間のお嬢さん。珍しいな、人間なんて。もうこの世界に人間はいないのかと思っていた。しかも蒼玉の瞳。……申し遅れました、私はルアラスと申します」


 私のことを、バイオレットの瞳で上から下まで観察してからわざとらしく言う。なぜか礼が無駄にきれいだからなんかむかつく。


「鈴です。ここに何の御用でしょうか」


 ご用があったのなら、いきなり攻撃していきなり礼儀正しくするとかありえないと思うけど。

 そんなことを思いながらかろうじて笑みを絶やさずにいる。

 

「これは失礼。私はここの統率者に少しお話が合って会いに来たのですよ、貴方にね。もちろん敵対する気はないですから安心してくださっていいですよ」

「そうでしたか。ここで立ち話もなんですし、ひとまずこちらへどうぞ」


 とりあえず仲間の治癒をしてから来た道を戻り、この前必要かなと思って一応造った応接室に案内する。

 表面上は人好きのする笑みを浮かべているが、目の奥は全く感情が読めない。こういう奴は面倒だ。これまでこんな人種に会ったことはないが、内心ため息をつきながらそう思う。


 ソファに腰掛けながら、改めて。


「では改めてお聞き致しましょう。こちらにはどのようなご用件で?」

 

 

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