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少女は、魔力を使いこなしたい。①


 返事が返ってきてしまいましたな。


「え、話せるの?」

「もう正体がわかっちゃったでしょ?だからこれからはわたし、好きなようにしゃべるね」


 しかも子供っぽい少し舌足らずな声。


 「あとさっきの質問。力はあるけどまーだ秘密っ」


 かわええぇぇ!

 この姿とこの声、加えてしぐさがかわいすぎる。こんなにかわいい生き物が存在していいのか。


「改めてよろしくね、すーずっ」

「こちらこそよろしく。ねえねえ、これからもたくさんふわふわしてかわいがってもいい?」

「好きなだけどうぞ?」

「やった!」


 そういうと私はすぐさまアルテアを抱き上げて、抱きしめた。


「かわいい~」


「あっ、そういえばね」


 アルテアがそう切り出して話し始める。

 と思ったら。


「もっとあなたたち気を付けた方がいいよ。なーんかここ、狙われてるっていうか、見られてるっていうか」


 なんて物騒なことを言ってきた。

 私はここで平和に楽しく今まで過ごしてきたというのに。それを脅かそうとしているかもしれない者がいるというのか。

 少し前に、それっぽいことがロディニアから報告はきていたけど、一旦放置していた。

 でもアルテアからも言われたってことは警戒しておいた方がいいってことよね。


「では、ここ周辺の警備のものを増やし、警戒をしておきましょう。采配はあなたに任せます。不審な者を見たらすぐに報告を」

「承知しました。では失礼いたします」


 指示をするとロディニアは部屋を出て行った。

 

「アルテア、何で気づいたの?」

「えー?魔力かな?」

「ま、魔力」


 魔力まだイマイチ使いこなせてないんだよな~。


「うん。周囲のものが何となくどこにあるのかわかるの。練習すればすずもできるようになるよ」

「その方法教えてください!」

「りょ~か~い」

「ありがとう!」

「すずの頼みなら」

 

 これを機に、頑張って魔力を好きなように使いこなせるようになるぞ!



 アルテアが少し高いところに乗って、私がその前に座る。


「これから周囲察知の仕方を教えまーす」

「はーい」

「でもその前にまず、体の中に魔力が巡ってるイメージをして。こう、魔力っていう水みたいなのが体の中をぐるぐるっと回ってる感じ」

「魔力が体をぐるぐると…。分かった気がする」

 

 スーッと滑らかに流れてた感じかな。


「習得早いね。次は手を出して、今感じた流れを手に集めて、そこから外に出す。流れを変えるのは難しいかもしれないけどがんばって〜」


 ふむ。流れをぐいっと…

 あ、あれ?手応えがない。できてないのかな?


 うーん。えーっと。う~ん?あれ~?こうじゃないな~。


 私が苦戦していると、アルテアが助言してくれる。


「教え方が悪かったかも。イメージの仕方が合ってないのかな〜?手から出す練習だから、イメージの仕方は人それぞれでいいよ」


 うーんなら、魔力を水だと思うなら、魔力の流れは川かな。川の流れを変える。焦らず少しずつ手の方へ流す。

 おっサラッと外に出せた気がする。


「アルテア! どう?」

「できてるねぇ~。でも頑張りすぎちゃったんじゃない? 少し休めば?」

「え?あ、そういえば…」


 そう自覚した瞬間、集中して忘れていた疲れを思い出して、眠くなってきてしまった。

 眠るつもりはないのに瞼が下がってくる。

 

「あらまあ。やっぱりか。最初って慣れないから疲れちゃうんだよね。じゃあ、おやすみ。今はゆっくり休もうね」

「うん…」


 そこで私は眠ってしまった。


「才能はあるけど、無茶をし過ぎるのが玉に瑕だな~。でも伸びしろがたくさんあるし育てがいがありそうだね」



 お読みいただきありがとうございました。

 面白いと思って頂けたらいいねや★、ブックマーク、感想よろしくお願いします。

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