かわいすぎる、謎の猫。
その後、セラたちには周辺の警備を命じて、やってもらっている。
そうしていると、他の狼たちも集まってきていつの間にか大所帯になってしまった。なので、狩りとか警備、もっと使える土地を増やしたいので開拓など、いろいろな役割をつくって分担してやってもらう。
ちゃんとやってくれるか心配だったけどセラが狼たちをまとめてくれて、「お任せください!」と自信満々で言っていたのでたぶん大丈夫だろう。
「よ~し今日は、最近たくさん働いたからアルテアで癒されよう」
部屋でそう呟いて私が抱き上げたのは、先日ここにやってきた、水色とアイリス色のグラデーションの瞳が神秘的な、白猫。名前はアルテアにした。
アルテアは一緒にいるとなんだかとっても癒されて元気になる。癒しの力でもあるのかしら。
そして私にとても懐いてくれて、一緒にいてくれる。アルテアが来てからは疲れることが少なくなった気がする。でもリル達妖精とは会おうとしない。来た時にはいつの間にかいなくなっている。
「あ~今日もアルテアがかわいい。可愛すぎる~」
自分の思考が親バカっぽくなって恥ずかしい。でもかわいいのだからしょうがないと思う。
アルテアが膝の上でうとうとしていたとき、耳がピクピクと動いた。そして、ドアがノックされガチャッと開いてロディニアが顔をのぞかせた。
「鈴様。少しよろし……あの、そちらは?」
「アルテアのこと?そういえば顔を合わせたことなかったね。こちらは先日ここにいらっしゃった猫のアルテア様です。」
丸まって顔を隠しているように見える。見られたくないとでもいうように。
「アルテア様、初めまして。セイクルドウルフのロディニアと申します。鈴様、ご存じかわかりませんが、その方はただの猫ではないんです。霊獣と呼ばれる存在で、見た目はただの動物ですが、知能は人や妖精以上、中には浮世離れした魔法を使えることもあるんだとか。簡単に言えばとても偉い動物です。滅多に特定の人物に懐かないと言われているのですが…余程気に入られているようですね。やはり貴方様には動物を引き付けるような、何か素質があるのかもしれませんね」
「ふふん、うちのアルテアはすごいでしょ」
私はドヤ顔で言う。
「いえいえ。それは否定しませんがアルテア様に懐かれる鈴様もすごいと私は思っていますよ」
そうなのかしら。
それはそうと、アルテアももしかしてすごい力が使えたりして!?
「ねえアルテア。あなたも特別な魔法とか使える?」
返事が返ってこないことを承知の上で話しかける。
するとこっちを向いて、まさかの。
「うん。使えるよ」
返事が返ってきた。
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